作業療法とは?シリーズも第8回。
約2ヶ月ほど経ちましたが、そういえば「作業療法の定義」についてお話していませんでしたね。
このシリーズは、作業療法士はもちろん、理学療法士、言語聴覚士の皆さんにも、
「作業療法ってなんだろう?」
「作業療法士の意味不明な言動・行動の裏には何があるの?」
を一緒に考えていく機会を作りたくて始めました。
特に僕ら一般社団法人 国際統合リハビリテーション協会(IAIR)では、
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
の三大リハビリテーション専門職が一同に会して、同じ内容を学ぶことができます。
機能分化などで分散したものを再び統合して、クライアントの生老病死……人生そのものに関わることができる療法士を育成してきました。
特にハンズオンとハンズオフの両輪が求められる時代、作業療法士的な考え方を持っていることが強みとなりました。
相互理解を深めるためにも「作業療法とは?」シリーズをご活用くださいね!
今回提供するコンテンツ
- 「作業療法の定義を確認しよう!」
- 「健康で幸福な人生って何だろう?」
- 「対話で新たな選択肢が生まれる」
目次
作業療法の定義を確認しよう!
そもそも論はお嫌いですか?
でも、定義されているものですから、それを確認しましょう。
「作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。作業とは、対象となる人々にとって目的 や価値を持つ生活行為を指す」
(註釈)
- 1)作業療法は「人は作業を通して健康や幸福になる」という基本理念と学術的根拠に基づいて行われる。
- 2)作業療法の対象となる人々とは、身体、精神、発達、高齢期の障害や、環境への不適応により、 日々の作業に困難が生じている、またはそれが予測される人や集団を指す。
- 3)作業には、日常生活活動、家事、仕事、趣味、遊び、対人交流、休養など、人が営む生活行為と、 それを行うのに必要な心身の活動が含まれる。
- 4)作業には、人々ができるようになりたいこと、できる必要があること、できることが期待されていることなど、個別的な目的や価値が含まれる。
- 5)作業に焦点を当てた実践には、心身機能の回復、維持、あるいは低下を予防する手段としての作業の利用と、その作業自体を練習し、できるようにしていくという目的としての作業の利用、およびこれらを達成するための環境への働きかけが含まれる。
さてさて、注釈の部分が解説してくれていますね。
数回に分けないと大変そうだ。
今回は「健康で幸福」にスポットを当ててみましょう!
健康で幸福な人生ってなんだろう?
あなたは「健康で幸福な人生」って何だと思いますか?
おっと、ここだけ切り取って、いわゆるスピ系の話と思わないでくださいね。
精神科作業療法で話題になる、生物・心理・社会モデル(BPSモデル)のなかでは、それらを三角錐で表現した時に、土台となるのがスピリチュアリティ……精神性や信仰、宗教観など……と言っています。
難しく言わずとも、その人の個別性……「ICFで言う個人因子によって変わるよね」ってだけですけどね。
なので……もう一度質問します。
「あなたにとって健康で幸福な人生って何でしょう?」
健康も幸福も考えたことがない?
あまり意外には思いませんが、日々生活していると「健康」も「幸福」も考える余裕がないのではありませんか?
事実として、先の質問に即答できなかったのではないでしょうか?
個別性があることが前提なので、ここで「健康」や「幸福」を文字化すること自体ナンセンスかもしれませんね。
一般化はできるかもしれませんが、そんなステレオタイプな話がしたいわけではありません。
本当のところ、何が健康で、何が幸福なのか……
それを自他共に知ろうとする姿勢が大事なんです。
人は作業を通して健康や幸福になる!
「健康」な状態も、「幸福」な状態も医学的な視点だけでは語れません。
「薬を飲めば、副作用がキツくて、生活の質は下がるけど一定期間生存できる」
「生活の質は下がらないけど、薬を飲んだ時よりも生存期間は少なくなる」
このどちらかを選択しなければならない状況の時、あなたならどちらを選択しますか?
多分、悩む人もいれば、即決する人もいるでしょう。
その人が望む選択肢をたとえ本人が諦めても諦めない。
そんな作業療法士は第三の選択肢を勝手に作り出すのではありませんか?
日本作業療法士協会は理念として「人は作業を通して健康や幸福になる」と掲げています。
「作業」は「対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為」ですから、健康も幸福もどっちも取りたいとその人が望むなら、こう考えるでしょう。
「薬も飲みつつ、生活の質も下げず、薬による生存期間拡大できる方法を一緒に探す」
夢物語や無理ゲーな提案を真顔でしてくる姿が見えて来そうです。
カギはクライアントとの対話から生まれる!
ICFでも個人因子は分類不能とされているように、健康観も幸福観もそれぞれ。
医療職視点だけでは片手落ち。
クライアント視点だけでもリハビリじゃない。
療法士とクライアントが対話のなかで新たに生み出される手段がリハビリテーションと齋藤は考えています。
作業療法士はそこで作業を媒介にしていますが、理学療法士、言語聴覚士の皆さんは、それぞれの関わりの中でそれらを行っていけるといいですね。
まとめ
- 「作業療法の定義を確認しよう!」
- 「健康で幸福な人生は個人の価値観により変わる!」
- 「対話で新たな選択肢が生まれるプロセスがリハビリテーション!」
以上になります。
2020年は作業療法について考える講義を増やしていきます。
チャレンジングな講義もしていきますので、楽しみにしていてくださいね!
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