Pusher症状が残存する患者さんへのアプローチ

今回はPusher症状へのアプローチについて。

脳卒中患者さんの治療に関わる方にとって、Pusher症状の残存はADLの自立を阻む、厄介な存在です。

特に回復期以降で残存している場合介助量の多さから、病棟での離床時間の減少など、活動性を落とす要因になりがちです。

まだまだ、Pusher症状に対する明確なアプローチは確立されていませんが、私の経験則を踏まえて考えていきたいと思います。

ポイントは

・Pusher症状についてのおさらい
・「押すこと」は悪いことか?
・体性感覚入力

の3つです。

【pusher症状の簡単なおさらい】
1985年にDaviesが著書で紹介したのが始まりで、3つの特徴的な現象を基本としています。

1.麻痺側への姿勢傾斜
2.非麻痺側上下肢で押す現象の出現
3.修正する他者の介助への抵抗

これらの原因としては視覚的垂直軸認知や身体的垂直軸認知の障害が関与し,空間に対する垂直判断の偏倚がその生起メカニズムとされています。

【押すことは悪いことか?】
pusher症状があると、座位保持困難や移乗動作の介助量増加など、ADL自立を阻害する大きな要因となります。
しかし、「非麻痺側で押す」という反応は果たして悪いものなのでしょうか?

少なくとも、患者さんは「押したくて押している」わけではなくかつ、「倒れることがわかっていない」わけでもありません。

「今の身体の状態」で「環境とのやり取り」をした結果、pusher症状という状態を作り出したに過ぎません。なので、「押す」こと自体は決して悪ではありません。

ここで、pusher症状のおさらいの部分を読み返します。
~視覚的垂直軸認知や身体的垂直軸認知の障害が関与し・・・~

視覚的垂直軸認知の障害に関してフォーカスする方もいらっしゃいますが、ここに直接的に障害を受けているとはちょっと考えにくい・・・。脳からくる視覚の問題であれば、そもそも私達が介入できる範疇外の可能性が高いからです。

ここは私の経験則と私見ですが、身体的垂直軸認知障害をベースにその状態で過ごすことで、結果として視覚的垂直軸認知が障害されるというふうに考えると、少し打つ手が見えてきます。

【体性感覚入力】
身体的垂直軸認知障害がベースと仮定すると、「垂直軸の認知」をどのように行うか?にかかってきます。

そこで「認知」というところを考えます。「認知」とは感覚・知覚・認知という3つのなかで、「知覚を統合したもの」を指します。認知するには知覚が必要で、知覚するには感覚入力が必要です。

つまり患者さんにとって、「今の身体」から入力される「体性感覚」は「垂直軸を認知するため」に必要な条件を満たしているのか?という疑問があります。具体的にどんな条件が必要かはわかりませんが、少なくともボディスキーマの不具合がベースにあるように思います。

そこを解決する手段として「体性感覚入力」が一つの方法になるかと思われます。
過去の文献等でも、視覚からの関わりよりも体性感覚入力がpusher症状の緩和に寄与したとの報告もあります。

https://ci.nii.ac.jp/naid/130004582160

(一例です)

方法は確立されていませんが、「体性感覚入力」がキーワードになってきそうです。

体性感覚入力をするとなると、運動や動作で介入したくなりますが、「押す」症状のため、運動刺激からの適切な感覚入力は難しいはずです。適切な身体運動のベースにはボディスキーマの更新が必要になるので、まずはそこを目指す必要があります。

ボディスキーマの更新には、統合に必要な感覚入力がまずは必要です。

私達が普段介入する皮膚、皮下組織をはじめとする浅層の結合組織には、多くの感覚受容器があります。

まずはこの感覚受容器が豊富な浅層の結合組織に対して、アプローチする方法があります。

一つはIAIRコンセプトでお伝えしているTGAがその一つ。

もっと簡単にアプローチしたければ、「皮膚をさする」だけでもOKです。

Pusher症状が残存している方は、臥位の状態でも非麻痺側をベッドに押し付けている場合が多いです。
まずは非麻痺側の押し付けている上下肢、体幹部のベッドへの接地面をさすってみてください。

その後に押し付けの減少、過剰な緊張が低下がみられたり、患者さんに感想を聞いて「軽い」「楽」等の感想がいただけたら、新たな感覚入力を利用してボディスキーマの更新がされているはずです。

その状態で、また座位の評価をしたり、介助量の評価をしてみてください。

Pusher症状に何か変化が出る可能性が見えてくるでしょう。

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最後まで読んでいただき
ありがとうございます。

IAIR 理事
理学療法士 中嶋 光秀

 

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