急性期リハビリと生活期リハビリの共通点

急性期のリハビリの重要性は、改めて話す内容でもなく周知の事実です。

脳卒中における早期理学療法の推奨グレードは「信頼性、妥当性がある」 A、エビデンスレベルは「行うように勧められる科学的根拠がある」2。(脳卒中 理学療法診療ガイドラインより)

他の病気においてもやはり急性期からのリハビリの必要性は高く、診療報酬からも重要視されているのが分かります。

 

一方、生活期におけるリハビリテーションは、医療保険での日数制限、介護保険における点数の上限などの問題から手厚く行うといったことは難しく、セルフケア指導や再発予防、生活機能維持といった視点で行われているケースが多いです。

現在在宅医療に携わっている私は、急性期と生活期の相違点をこのように理解しているが、同時に共通点もあるのを感じている。

本日は急性期と生活期のリハビリにおける共通点について考えていきます。

 

急性期のリハビリテーション

急性期のリハビリテーションにおける役割は、脳卒中などの脳の特異的な問題を覗くと廃用の予防が中心となる。

  • 廃用症候群の予防
  • 骨関節系などの身体支持機能
  • 呼吸、循環、代謝機能
  • 神経-筋の伝達機能
  • 脳、内分泌などの制御機能
  • こういった機能低下を可能な限り防ぎ、早期にADLの獲得、早期の社会復帰を目標としてリハビリテーションがスタートする。

しかし、急性期においては状態変化もあることからリスク管理を十分に行わなければなりません。

以下は基本的なリハビリ開始基準ですが、再度確認しておくことをお勧めします。

 

リハビリテーションの開始基準

積極的なリハを実施しない場合

  • 安静時脈拍 40/分以下または 120/分以上
  • 安静時収縮期血圧 70以下または200以上
  • 安静時拡張期血圧 120以上
  • 労作性狭心症の方
  • 心房細動のある方で著しい徐脈または頻脈がある場合
  • 心筋梗塞発症直後で循環動態が不良な場合
  • 著しい不整脈がある場合
  • 安静時胸痛がある場合
  • リハ実施前にすでに動悸・息切れ・胸痛のある場合
  • 座位でめまい,冷や汗,嘔気などがある場合
  • 安静時体温が 38℃ 以上
  • 安静時酸素飽和度90%以下

 

途中でリハを中止する場合

  • 中等度以上の呼吸困難,めまい,嘔気,狭心痛,頭痛,強い疲労感などが出現した場合
  • 脈拍が 140/分を超えた場合
  • 運動時収縮期血圧が 40以上,または拡張期血圧が 20以上上昇した場合
  • 頻呼吸(30回/分以上),息切れが出現した場合
  • 運動により不整脈が増加した場合
  • 徐脈が出現した場合
  • 意識状態の悪化

 

いったんリハを中止し,回復を待って再開する場合

  • 脈拍数が運動前の30%を超えた場合.ただし2分間の安静で 10%以下に戻らない時は以後のリハを中止するか,または極めて軽労作のものに切り替える
  • 脈拍が120/分を越えた場合
  • 1分間10回以上の期外収縮が出現した場合
  • 軽い動悸,息切れが出現した場合

 

その他の注意が必要な場合

  • 血尿の出現
  • 喀痰量が増加している場合
  • 体重増加している場合
  • 倦怠感がある場合
  • 食欲不振時・空腹時
  • 下肢の浮腫が増加している場合

参考:リハビリテーションの開始基準(日本リハビリテーション医学会)

 

可能であればネームプレートや常に携帯しているノートなどに記載しておくことをお勧めします。

 

生活期のリハビリテーション

生活期のリハビリテーションにおける重要目標は、ADLを維持していくことです。

「維持」という言葉はリハ職種にとってはモチベーションを下げるワードに聞こえるかもしれませんが、身体機能は1日1日低下していきます。

言わずもがな「老化」です。

病気や障害による低下なのか、それとも年齢や環境的な問題による低下なのか区別できているでしょうか?

 

私が生活期のリハビリテーションに携わるようになって強く感じるのは、その違いを理解してプログラムを進められるかが重要だということです。

「維持」という目標は、本質的には成り立ちません。

何故なら、人は20代を過ぎたころから低下し始めるからです。

  • 筋力
  • 柔軟性
  • バランス
  • 呼吸
  • 敏捷性
  • 脳機能
  • 内臓機能

「40代を過ぎて脂っこいものが欲しくなくなった」って良く聞きませんか?

内臓の消化機能が低下しているからです。

子供の運動会で転ぶ大人を良く見ませんか?

柔軟性やバランス機能が10代20代と比べると明らかに低下しているからです。

 

共通点について

病気や障害によって低下してしまったこういった機能を、可能な限り維持していくことが生活期のリハビリテーションです。

ここが急性期のリハビリと共通していることに気づくでしょうか?

  • 骨関節系などの身体支持機能=筋力・柔軟性
  • 呼吸、循環、代謝機能=呼吸、内臓機能
  • 神経-筋の伝達機能=バランス・敏捷性
  • 脳、内分泌などの制御機能=脳機能、内臓機能

つまり、急性期であろうが生活期であろうが人が生きて生活をしていくための機能にリハビリが貢献しているのは変わらないということです。

そういった視点で患者利用者を見るようになって、私はどのフェーズにリハビリにも本質的な考えを持って介入できるようになりました。

 

今担当している重症児は、ADLは全介助で意思疎通は不可能です。

しかし、生きて呼吸し、唾液や痰が出たり、筋肉が反応したり、眼球の動きがあります。

その表出を評価しながら「自分のリハビリがこの子の何に貢献しているか」を考えられるようになりました。

急性期も生活期も対象としているのは人です。

 

どんなフェーズにおいても我々療法士の果たす役割は大きいと考えています。

 

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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一般社団法人 国際統合リハビリテーション協会

理事 理学療法士 福留良尚

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福留 良尚

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国際統合リハビリテーション協会常任理事 IAIR九州専任講師 理学療法士 コンディショニングサロン仁愛クリニカルルーム代表 3児の父 
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