5年目を過ぎた療法士の君へ

5年目を過ぎた療法士の君へ【5年目を過ぎた療法士の君へ】(最終回)

科長「みんながキャリアについて考えていること……ひとまずわかった」
後輩「ひとまず……ですか?」
科長「そう、ひとまず。それぞれが受けた教育や触れてきた情報で考え方、受け取り方が全く違う。それがわかった」

先輩「たしかに……ねぇ。まさかここまで違っているとは思わなかったかも」

新人「でも、私はなんだか希望……みたいなものが湧きました」
後輩「希望?」
新人「希望です。だって、療法士になって良かった……って思えましたから」

先輩「療法士になって良かった……」

新人「臨床実習中、実は療法士に未来は無い……って言われ続けてました。でも、そうじゃ無いんですよね。小さなコミュニティにいる事で、同じ理念やイメージが共有できる強みもあれば、思考が狭小化だってする。組織に縛られない……って言っても、まだ入職したばかりなので、法人に守られないのはちょっと怖いです。でも、自分の人生軸をしっかりさせる事ができれば、療法士としての経験を活かす場はいくらでもあると思いますし、時代の変化にも向かって行けそうな気がしました」

先輩「言うねぇ~、ここで出来ないなら次、次……ってしか考えられなかったけど、ちょっと見方が変えられそう……かな」

後輩「じゃあ、先輩辞めないんですか?」
先輩「いや、辞める。うちの病院、精神科無いし」
後輩「まぁ、そうですよね」

先輩「でもね……ここで経験した事を全部持って行くよ。前と違うのはそこかな」

科長「……さて、君はどうするんだい?」
後輩「……自分は……」

 

 

5年目を過ぎた君へ……というタイトルで書き続けて51回目。

号外を加えれば、約60回、お話をしてきました。

このシリーズを書き続けるにあたり、様々な声をいただきました。

なかでも面白いと思ったのは……

「学生のうちに知りたかった」

と言う声。

でもね……きっと学生の時には分からなかったのだと思います。

学生時代の「今」ではないでしょうから。

 

年相応・分相応

以前ある女優さんが両親から言われた言葉を紹介しています。

「背伸びはいつでもできるけど、その年齢はその年しかない。その年に合ったこと、その年にできることをやってほしい」

その方の座右の銘は「年相応・分相応」となったそうです。

若い時には若い時なりの、経験を重ねてきたら経験を重ねたなりの生き方がある。

これは業界は違えど、僕ら療法士にとっても同じ事が言えますね。

 

 

療法士はキャリアデザインしてるのか?

今回「療法士のキャリアデザイン」と言う方向に着地してきました。

このシリーズを追いかけてくれた皆さんは、今、臨床何年目でしょうか?

僕は走ってたら、いつの間にか20年目を迎えそうです。

 

臨床10年目の記念に「作業療法学生の虎の巻」を上梓してからもう10年なんですね。
思えば、その本がきっかけで IAIRの仲間と繋がることができました。
20年目になるからこそ、もう一度書いてみるのもおもしろいかもしれませんね。
大改訂版。

 

おっと、それは個人的な話でした。

 

改めて……

「あなたは、今、臨床経験何年目でしょうか?」

  • 新人さんのような1年目でしょうか?
  • 後輩くんのような7年目前後でしょうか?
  • 先輩さんのような13年目前後でしょうか?
  • 科長のような20年目前後でしょうか?

それぞれ、経験年数相応の体験をしてきたのではないでしょうか?

それを途切れる事なく、縦横無尽に使いこなす事こそが、療法士として生きていくたった一つの方法です。

 

 

5年目を過ぎた療法士の君へ

療法士は人の人生に関わっていく事を生業としています。

でも、上記の表現だと、「療法士」で在り続ける理由にはなりません。

人生に関わっていく事を生業とするなら、どんな仕事でも、人生に関わらない事などないのですから。

 

ですが、それでも「療法士」として人の人生に関わっていくのなら、「療法士」である事の「意義」や「価値」を自らが見出し、使いこなす事がカギになると思いませんか?

 

あなたの経験年数に応じた、と言うことは……

その経験を積み重ねてきた年月の全てを「今」に使う、と言うこと。

 

受け取るだけではなく、自ら発信し続けること。

それが、学会の発表でも、こうしたWeb上での発信でも、市民講座や講演、勉強会やイベントを主催するもいいでしょう。

 

国家資格はあくまで夢を実現するツールの一つ。

 

過去に体験した感動から、未来を夢見て、先に向かって今を生きる。

まだ夢を見つけられずにいても、悩むことではありません。

 

夢を見つける途上なだけ。

 

一歩と言わず、半歩でも歩き続けること。

歩みを止めなければ、歩いた先からふと振り返った時に、「療法士」である事の「意義」や「価値」を見つけられるでしょう。

 

一度手にした「療法士」と言うキャリアは、あなたの人生のキャリアに大きな、とても大きな「価値」をもたらしてくれています

時には、全てを投げ出したくなるほど、辛い気持ちになることもあるでしょう。

納得したり、腑に落ちるまで時間はかかるかもしれません。

 

それでも、時間はあなたの味方です。

 

考えること、解釈をすること、解釈している自分を疑い、その疑う自分をまた疑う……

歩み続ける事を止めなければ見える景色がきっと変わって見えますよ。

改めて……今を生きていきましょう。

 

 

エピローグ

科長「……さて、君はどうするんだい?」

後輩「……自分は……やめません!」

科長「……うん」

後輩「……まだ上手く言えないですけど、このリハ科で、もっと色々なことをやってみたいです」

科長「……そうか」

後輩「……でも、もっと色々な事もしてみたいし、体験したいです。だから、まずはリハ科とか病院の外にも出てみようと思います。今なら同級生が居酒屋でバイトをしている話も違った視点で観れるかもしれない。今まで考えたこともなかたけど、リハビリ以外の勉強もしてみたい。だから科長、また暴走しないよう見ててください」

科長「……わかった」

後輩「……これからも、よろしくお願いします」

 

 

と、言うことで……

改めて、この「5年目を過ぎた療法士の君へ」の連載は今回まででございます。

療法士にとってのキャリア構築……

なかなかニッチに過ぎる内容だったのかもしれませんね。

直接届く感想では「今の自分の状況にドンピシャでした」とか「いつも(じぶんにとって)タイムリーだな~と思って読んでます」と言っていただけておりますが、キャリアを考えること自体少ないのでしょう。

 

僕が「これはイイ!」とワクワクしてしまう内容って、好みが分かれるのでしょうね。

なので、今後はコア過ぎる内容や、徒手療法以外の話などで、どっぷりがっつりな話をするのは、別枠でやろうと思います。

今後も齋藤の話を聞きたい、と言う方は、メルマガ登録か、LINEのオープンチャットにご参加ください!

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齋藤の好き勝手な暴走話をお送りします。

さ~て……来週からは、精神科作業療法のシリーズにしようかな。

 

 

こぼれ話

新人「なんだか、まとまったみたいですね」

先輩「そうだねぇ。ま、これからが大変だろうけど」

新人「これから?」

先輩「私が抜けるから、後輩くんには色々引継ぎしなきゃね」

新人「あ……私もですよ……ね?」

先輩「んふふふふ……先に後輩くんだね。まずは教育委員会からかな? ご希望通りリハ科の外に行ってもらいましょ」

新人「……先輩、悪い笑顔になってますよ」

 

5年目を過ぎた療法士の君へ – 了

 


Saito Makoto

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精神科作業療法に従事する。そのなか、臨床実習指導と院内改善指導に携わり、統合的な視点で医療の質向上をマネジメントする取組みを10年にわたり行ってきた。 IAIRに参加することで、病ではなく人をみる視点を手に入れ、同時に組織も人と同じく、病を抱えていることに気づく。共に育む「共育」をテーマに、療法士一人一人が組織に関わるための多角的な視点を持てるよう、人財育成とマネジメントに関する発信を行っている。
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