インフォームドコンセント

インフォームド・コンセントできてますか?【5年目を過ぎた療法士の君へ】(48)

前回のエピソードでは、後輩くんがこの職場で期待されていないのではないかと勘違いしていました。
辞めると言い出した後輩くんを前に、科長はどんな対応をするのでしょう……

 

後輩「もし、自分も辞めると言ったらどうしますか?」
科長「困るね!」
後輩「いや、そうでしょうけど……」

先輩「あれ?どうしたの?」
新人「何だか、変な空気ですね……」

後輩(間が悪いな、俺……)

科長「うん、後輩くんがね、辞めるって言ったらどうする?って言うからさ」

後輩「って、えぇ、言っちゃうんですか!」
新人「科長……あの、それって……」
先輩(ん?いつもと何か違う?)

科長「うん、色々考えちゃってね……僕たちはいつもここで話しているけど、話していないんじゃないかな、って思ってね」

 

さてさて、少々長くなりそうなので、本題に入りましょう。

対話しているようで、本音で話せていなかったのではないか?
そんな思いの去来した科長。

そこには「説得」、「同意」、「選択」、「意思決定」様々な考えが横切りました。

科長の思いと、時代の移り変わりと共に考え方の幅が広がったものがあります。

それは「インフォームド・コンセント」です。

 

 

1年目:新人視点「インフォームド・ディシジョン」

意思決定

実は、近年話題になっている言葉に「インフォームド・ディシジョン」と言うものがあります。簡単に言えば「情報開示による意思決定」です。

医療者は全ての情報を開示し、クライアント自身でその治療を受けるかどうかの意思決定をする事を言います。

説明すること、その上でクライアントの意思決定で介入の内容が変わる、変化させていく。これからのリハビリテーションは、よりオーダーメイドなものになっていきます。

 

 

7年目:後輩視点「インフォームド・チョイス」

選択

実はインフォームド・ディシジョンの前に、「インフォームド・チョイス」があります。「説明を受けたうえでの選択」や「情報開示からの選択」などと言います。

リハビリに限らず、治療法は様々存在します。

効果や、期待値、介入後の変化、予後などで、大きな差がない場合、クライアント自身で治療法を選択できることを言います。

治療法を選択したら……先に言ったように、インフォームド・ディシジョン……その治療を受けるかどうかを意思決定する事になります。

十分説明し、選択に必要な情報も、意思決定に必要な情報も提供することで、本人じしんで選択、意思決定することになるのです。

 

 

13年目:先輩視点「インフォームド・コンセント」

インフォームドコンセント

とは言え、日本はまだインフォームド・ディシジョンの後進国と言われています。

「インフォームド・コンセント」は「説明を受け、納得した上での同意」であるとか、「医師が患者に情報を与えて、患者から治療の同意を取り付けること」などと認識されています。(後者は医療者の誤認も含まれていますが)

実際、なんでもかんでも「インフォームド・コンセント」とまとめていますし、認識の違いから、逃げ道のない同意前提の説明になることもあるようです。

ですが、それが常に悪い影響を与えるとは限りません。明らかに医療的な介入が必要であり、医療人の責務として、最後のその時まで生命をつなぐ行動が求められ、また行動します。

インフォームド・ディシジョンもチョイスもコンセントも、その方に合わせて用いられる対応の姿勢、視点ということです。

 

 

20年目:科長視点「シェアード・ディシジョン・メイキング」

意思決定の共有

さて、もう話は決着したように思えたかもしれませんが、もう一歩先があります。

それは、SDM……「シェアード・ディシジョン・メイキング」と呼ばれるものです。

医療者とクライアントが科学的な根拠(エビデンス)を共有し、一緒に治療方針を決定するものです。そのため「意思決定の共有」と呼ばれます。

価値観が多様化した現在、科学的な根拠があったとしても、生活の質と引き換えに治療することを望まないケースが生まれています。

そのため「対話を通じて共に熟考・判断」していく過程が重視されるようになりました。そう、対話なんですね。

インフォームド・コンセントは、対話の裏付けがあって、初めて本来の意味が実現できると言います。

本気の対話が、臨床現場に限らず求められる時代になったのでしょうね。

 

 

まとめ

まとめも何も、今回もまた次回につづく、です。

でも、「対話」の重要性を少しでも感じていただけたら嬉しく思います。

リハビリテーション専門職として、対話能力が鍵となる……対話能力を一緒に磨いていきたいものですね。

 

 

4つの対話能力

リハビリテーション専門職に必要な対話能力を紹介しています。
「マルチファクターの足がかりを求めて」をご覧ください。

 

 

リハビリ専門職に求められるスキルを底上げするには?

今回のような、徒手以外のリハビリテーションスキルは、知ることと、実践することがカギとなります。

それらが同時に行える講義があります。


Saito Makoto

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精神科作業療法に従事する。そのなか、臨床実習指導と院内改善指導に携わり、統合的な視点で医療の質向上をマネジメントする取組みを10年にわたり行ってきた。 IAIRに参加することで、病ではなく人をみる視点を手に入れ、同時に組織も人と同じく、病を抱えていることに気づく。共に育む「共育」をテーマに、療法士一人一人が組織に関わるための多角的な視点を持てるよう、人財育成とマネジメントに関する発信を行っている。
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