精神科OT今昔物語

精神科作業療法今昔物語【5年目を過ぎた療法士の君へ】(44)

後輩「先輩に聞きたかったんだけど、精神科ってどんなトコですか?」
新人「あ、私も知りたいです!」

先輩「んふふふふ……よくぞ訊いてくれました!」
科長「お!OTにとうとう興味を持ってくれた?」

後輩「(うわ、科長も出てきた……)僕らPTだってメンタルヘルスとか興味ありますって」
新人「そうですね……実習では行ったことがないですし、認知症の方もいますし……」

先輩「そうね、そうだよね。精神科にはここにない魅力があるのよ!」
科長「……探している就職先、精神科だったね。そう言えば、今はどんな現場なんだろう?」

先輩「……昔ながらの集団療法や作業をしているところを探してるけど……」

新人・後輩「けど?」

先輩「都内にない! 山奥にしかないのよ~!」
科長「市街地は大病院で移動がほとんどないし、デイケアが主かな?」

新人・後輩(二人だけで盛り上がってるな~)

 

OTさんが突然目をキラキラさせて話し始めるタイミングがつかめず、PTさんにヒかれているんじゃないかとドキドキすることがあります。

まぁ、あまりビビらずに、生暖かい目で見てあげてください。

今回は「精神科作業療法今昔物語」をお話しします。

 

そもそも精神科のリハビリって何をしているの?

リハビリ

精神科作業療法……と一言で言ってしまうには幅があり……でも説明するには複雑に過ぎる。

一言で言えば「その人が健康で幸福な人生を歩むためのリハビリ」をしています。

で、その促進の為に「作業に焦点を当てた介入」をしています。

作業療法の定義より「作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す」と言っています。

生活行為を大きく分ければ、日常生活、仕事、遊び、社会活動、余暇の五つです。

IAIRで言えば、Hand’s Onな介入よりもHand’s Offの介入を中心としています。

 

もう少し具体的に……

ディスカッション

ですよね。大枠はPTさん、STさんらと大きく変わりはありませんからね。

具体的な介入方法には、個人作業療法と集団作業療法があります。

その方の心理、社会的な状態に応じて、個人と集団を使い分けながら介入します。

精神科の作業療法室が1人のOTに対して50平方メートル与えられ、その方、その方を含めた集団に合った環境設定を行います。

その際……特に個人で行う場合、創作作業を通じて構成力や感情の状態を評価しつつ、対話による介入もしていきます。

OTさんと1対1から始まり、小集団、大集団など集団の中に入り、社会の中で適切な対応が取れるかどうかを調整していきます。

場合によっては「休む」こと自体が治療介入になります。リハビリなんだから何かをしなきゃ、させなきゃ、と思うのは療法士のエゴになる場合もありますよ。

 

今後の課題として

相談

うん、具体的に書きづらいな~。ICFの個人因子が分類不能なように、個々人の多様性……いえ、人生に合わせて柔軟に変化していきます。

一見突飛な内容であったとしても「生きる行為そのもの」が作業療法。

その行為にその人の意味や目的、価値があるなら、それを最大限に支援する為の取り組みをしていきたいところです。

ですが、実際の現場ではそうもいかない場合があります。

点数取れとか、集団療法しかできないとか、設備が足りないとか、人員が足りないとかとかとか……

それらを把握する為にも、みなさんの経験などを集められたらいいな、と思いっています。

 

アンケートの形ですが、ご協力ください!

精神科作業療法についてのアンケートにご協力ください!

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1年目:新人(PT)視点「友人にメンタルの大変な人がいる」

メンタルヘルス

精神疾患が五代疾病に数えられていますね。うつや認知症の方がどの分野であるかに関わらず一定数いらっしゃいます。

PTだから、STだから、身障系OTだから……は、昔の話。

身近な人でいらっしゃると、質問されることだってあります。

国家試験以来かもしれませんが、基本を押さえておきたいですね。

 

7年目:後輩(PT)視点「分かってはいるけど、必要かなぁ?」

エビデンス

統計を見ても、予防の観点からも、メンタルヘルスの重要性に気づいてはいるんです。

でも、直接関わりはないですし、そこまで困らずに来ました。

学生時代の記憶を辿れば「OTって楽しそうだよな~」と思ったことが。

同時に、学校の先生らから触診や解剖の話はされても、心理面の話は一切なし。

ガイドラインやエビデンスで明確になっている手法じゃない事に意味あるの?

と言われて反論できず凹んでいるOT学生を横目で見ていたり。

学生時代に言われたことって、全部鵜呑みにしていいのかな?と疑問を持つといいでしょうね。

 

13年目:先輩(OT)視点「苦い思い出と共にOTを志した理由が……」

カーオーディオ

実は彼女、実習中にRPTから「車に例えるならPTはエンジンや足回り、機能の全てだよね。でもOTはいいとこオーディオでしょ(笑)」と言われて泣きたくなった記憶があります。

「運転している人も乗っている人もみんなを楽しませる(気持ちを豊かにできる)事ができるの?」って反論できたら良かったね……と言われて救われた気持ちになったのが精神科作業療法実習でした。

最初はただなんとなく医療の資格を取ろうとボヤボヤしていた彼女も、志を得た瞬間でした。

それを思い出してしまったからには、改めて精神科で働いてみたい、と気持ちが暴走し始めた次第です。

やりたい!と思った時は、少し深呼吸して(も収まらないでしょうが)、昔の良かった記憶だけではなく、今の状況を調べてみる事をお勧めします。

 

20年目:科長(OT)視点「統合失調症の入院が減り、うつなどの外来が増えている」

増減

以前は30年、40年と入院し続けている方達が多数いた、都心から離れた郊外型精神科病院も様変わりしてきました。

統合失調症の方は超高齢化とともに認知症の併発、そのまま行き場もなく一生を終えられる事も。

彼が実習で行ったのは、デイケア。1988年に小規模デイケアが点数化されたので、始まって9年前後。

行った実習地も試行錯誤の真っ只中で、作業療法と言うより、生活指導をしながらレクリエーションをしている色合いが強く、個々人の居場所の提供以上の意味を当時は見出せなかった。

今は当時と異なり、デイケアも役割を持たせたり、うつの方の職場復帰の為の中間支援だったりと、昔とは異なる面があると聞いています。

19歳~54歳の死因の第3位内に自殺が含まれている昨今。

身体の不調から、心理面の不調、社会との不適応へとつながらないよう、身体領域で働いている意味をOTとして、管理職として伝えていきたいですね。

 

まとめ

今回は「精神科作業療法今昔物語」と大見得を切っておきながら、悩ましい回となりました。

今後も「今だからこそ、リハ職がメンタルヘルスに関わる意義」を考え、お伝えしていきますね。

 

厚労省のデータを見たい?

以前、厚生労働省のデータを引用した記事を書いたこともあります。

https://iairjapan.jp/archives/12662

セットで読んでいただけると……

より悩みが深まるかもしれませんよ(笑)

 

精神科作業療法の研修会

精神科作業療法の研修会って、あったら嬉しいですか?

むしろリハ職の為のメンタルヘルス……の方がいいのかな?

今後の為にも声を聞かせてください!

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Saito Makoto

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精神科作業療法に従事する。そのなか、臨床実習指導と院内改善指導に携わり、統合的な視点で医療の質向上をマネジメントする取組みを10年にわたり行ってきた。 IAIRに参加することで、病ではなく人をみる視点を手に入れ、同時に組織も人と同じく、病を抱えていることに気づく。共に育む「共育」をテーマに、療法士一人一人が組織に関わるための多角的な視点を持てるよう、人財育成とマネジメントに関する発信を行っている。
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