在宅医療に必要とされるスキルを持った療法士

「在宅医療」という言葉について大まかに説明すると

医師や看護師、もちろんリハビリ職種も含めた専門職が、患者の自宅や高齢者住宅、介護施設などを訪ね、医療的処置やリハビリテーションを提供する、現在政府が推進している医療体制のことを指します。

医療や介護が必要な状態になったとしても、できる限り住み慣れた地域で暮らせるよう、高齢化に対応する新たな類型として進められています。

 

2025年問題が取り沙汰されているように、団塊の世代が後期高齢者である75歳を迎え、これまで以上に医療や介護、特に在宅へのニーズが高まることが予想されています。

人口の4人に1人が75歳以上となる、世界でも類を見ない社会に後5年で日本は突入しますが、そこで問題になるのが

  • 人材不足
  • 社会保障費の問題

 

医師や看護師をはじめ、介護に従事する人材も現時点で既に不足しています。リハビリ職種に関しては、不足するというのは実感が無いかもしれませんが、ある意味「不足していく」ことが私の中で懸念されています。

不足していくであろうスキルを持ったリハビリ職種」について、今日は考えていきたいと思います。

 

◆リハビリ職種の専門性

これまでのリハビリ職種は、それぞれの職域におけるその専門性を追求してきました。

具体的に言えば、○○専門領域とか、認定○○療法士等と言うように、ある領域の分野におけるエキスパート(専門家)を育てるカリキュラムが組まれてきたのは、過去の例からも分かるかと思います。

脳血管リハビリ、運動器リハビリといった疾患別の算定が生まれたのもそのためであり、リハビリに限らず、それぞれの病院やクリニックが○○専門となっていった社会的背景が、医療業界における分岐であったのだろうと個人的には予想しています。

 

社会が医療業界にそれを求め、EBM(Evidence-Based Medicine)を必要としたからでしょう。

 

リハビリ職種が専門性を高めるのがある意味当たり前になったのは、そのような社会的背景があるからなのではないでしょうか?

 

◆求められるリハビリ職種のスキル

では、今の社会的背景から医療業界に求められていることは何でしょうか?リハビリ職種に必要とされるスキルとは何でしょうか?

これまでと同じような○○専門の療法士ではないと考えています。

序盤でお話ししたように、今社会は在宅医療の充実を求めています。医療や介護が必要な状態、もっと言えば、死に場所を自宅でと求める人は、人口の7割を超えます。

 

しかし、多くの患者が病院で死を迎えます。終末期の医療が充実している反面、亡くなる前に多量の薬剤投与を遂行する医療機関も少なくないのではないでしょうか?

そのような社会からのニーズと医療業界が抱える問題(?)がある中で、我々リハビリ職種が必要とするスキルは、

  • 横断的な人体の知識
  • 疾患別の身体状況(リスク)
  • 人としてのコミュニケーション能力
  • 多職種と連携出来る幅広い医療知識

 

幅広い知識と技術を持った専門職が求められ、病院や介護施設以外での働き方も提唱されてきています。

更にもう一つ、療法士が学ぶべきことがあると考えています。

 

◆学ぶべきこと

これまでの変遷や現在の社会背景を振り返り、今私たちが学ばないといけないことは、人体に関すること、疾患の理解、そして他職種の知識であることが分かりました。

勿論医学的リハビリテーション、急性期から回復期におけるリハビリ提供においては、より専門性を強め、可能な限り早期の退院が求められるでしょう。前述の社会保障費の観点からも、それは分かります。

 

在宅医療が推進されているのは、病床削減の受け皿という狙いもある¹⁾と言われているからです。

 

日本は世界一の病床大国であり、病床が多いと医療費が増える医療経済学の考え方(医師需要誘発仮説)に沿うと、病床を削れば医療費を削減できることになり、結果的に国民が負担する税金や医療保険料を抑制できる可能性が高まります¹⁾。

ただ、単に病床を削るだけだと、入院している患者が行き場所を失う「医療難民」になりかねないので、病床削減の受け皿として、在宅医療が重視されているという面もあるのです。

だからこそ、急性期から回復期といった施設で働く療法士には、アウトカム(成果)が求められています。

 

効果的でないリハビリを提供する施設(療法士)には、税金を投入することが出来ないという仕組みです。

 

これは当たり前のことだと思います。

例えば、建設業界においては入札制度があります。公共工事をする際どこの業者が行うかを、工事の規模、予算、納期など(実際には予算)で選ぶわけですから。選ばれなかった業者は、また違う仕事を探さなければなりません。

 

建設業界と医療業界が全く一緒とは考えていませんし、医療は公共性もある観点からそうなることはないでしょう。

しかし、現実問題アウトカムによる加算は発生しています。

 

最後に、もう一つ学ぶべきことは、社会のことではないでしょうか?

  • 今の社会が何を求めているのか?
  • 今の人たちは何を必要としているのか?
  • 私たちは何が出来るのか?

 

IAIRは、以前からこのコンセプトを提唱しています。

このように変遷していく社会の中で、自信を持って患者利用者と相対できる、そんなリハビリ職種が求められています。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

◆参考

  1. ニッセイ基礎研究所「在宅医療が進められているのはなぜ?」https://zuuonline.com/archives/196010

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一般社団法人 国際統合リハビリテーション協会

理事 九州地区 理学療法士

福留 良尚

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福留 良尚

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国際統合リハビリテーション協会常任理事 IAIR九州専任講師 理学療法士 コンディショニングサロン仁愛クリニカルルーム代表 3児の父 
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