怖い失敗談

怖い失敗談【5年目を過ぎた療法士の君へ】(31)

新人「はぁ……」
先輩「んん?どうしたの?」
新人「先週、研修会に行ってきたのですが、仮説がなかなかたてられなくて」
先輩「あ~そうだよね~まだ繋がらないよね」
新人「つながる、ですか?」
先輩「そうそう。じゃあ、質問するね。今の担当さんにやっているリハビリの目的は?」
新人「えっと……自宅に帰って自立した生活をすること……です」
先輩「うんうん、じゃあ自立した生活って何?」
新人「それは……」

 

先週、研修会に参加し、ガッカリして帰ってきた新人さん。

ようやく先輩に相談することができたようです。

ですが、仮説を立てるにはまだまだパズルのピースが足りないようです。

さて、あなたならどんな視点でアドバイスしますか?

 

リハビリの目的、その具体性

先入観

さて、先輩の質問している意図を先に紹介すると、新人さんの生活感の無さが原因ではないかと仮説を立てたので、それを探り出そうとしています。

若手が陥りがちなことに、自分の生活習慣をベースにクライアントさんの生活をイメージしてしまう、というものがあります。

頭で分かっていても、現場を見て、初めて理解することの一つですね。

失敗しながら、積み重ねていくものかもしれませんね。

 

失敗談を共有してる?

失敗

以前も話題にしたかもしれませんね。

成功談も失敗談も、気づきが得られるならば、お互いに得るものが大きくなります。

特に失敗談ほど「自分はそうするまい」と気を引き締めるきっかけになります。

先輩の立場だからこそ、より多くの失敗談を共有したいものですね。

 

怖い失敗談

怖い話

さて、言ったからには齋藤の失敗談や、練習生さんの体験談を少しだけ紹介します。

 

『若気の至り』齋藤のエピソード。

経験2年目。作業療法中に面会に来ていた、ある青年(やや発達障害があり)のお母さんに「うちの子、どうですか?」と尋ねられ、

「う~ん……微妙なところです」

と前後の説明なしに言ってしまい、お母さんを泣かせてしまったことが。

実際、発達障害のある子が集まる作業所に通所するにはレベルが高く、かと言って、一般の方と混じって作業をするには難しい。

精神障害者向けの職業訓練に送り出しても、できなくはないけど、本人の負担が大きい。

緊張にさらされるとすぐに部屋を出て行こうとしたり、座り続けているとソワソワし始める。

就職、社会に出る夢と、子供を守りたいの狭間で揺れる親御さんの心情を考えると、不適切な表現だったと反省。

以後、言葉を吟味するよう、一旦飲み込んで即答しない癖をつけた。

 

『ごめんなさい、言ったこと忘れてました』ある練習生さんのエピソード

退院前の患者さんが私に

「うしろばかり向いてたらだめですよって言ってくれたから変われました」

私は覚えてなくて「えっそんな生意気な事言ったんですか?申し訳ありませんでした」と本気で謝罪。

すると

「いいえ、私は自分がかわいそうなのを皆さんにアピールしてました。

(中略)

先生に会って、初めて自分の気持ちが分かってもらえたと思いました。これまでの人生肯定できました」

私の方がありがとうございます。

 

『もう電話してこないでください』齋藤の教官のエピソード

ある学生が実習に来ました。

ある仲良くなった患者様から「ねぇ、電話番号教えてよ」と言われ、教えてしまったのです。

実習が終わった翌日から、毎日何回もその患者様から電話が来るようになりました。

対応に困ったその学生は言いました。「もう電話してこないでください」

翌日、その患者様は自殺をしてしまいました……。

 

共通している教えは?

先入観

さて、ショッキングなものを最後に持ってきてしまいました。

このエピソードの真偽は定かではありませんが、学生時代の教官が実習前の僕らに対して語ったエピソードで、最も心に残っていたものでした。

これらのエピソードを採用するにあたり、共通する教え……教訓が見えてきました。

それは「自分の認知した世界で判断している」ことです。

うん、言い回しが難しい。

要するに「自分視点で生きている」ってこと。

仮説を立てるにしても、失敗談にしても、

  • 誰の目で見た世界の話なのか?
  • その人はどうしたのか?
  • その人はどうしたかったのか?

などの視点を加えることで、教えにも雑談にもなります。

せめて、あなたがその時どんな視点でものを見ていたのか、に気づくタイミングがあるといいですね。

IAIR副会長齋藤信
作業療法士 齋藤 信

 

多面的・多角的にクライアントさんを見る方法

IAIR Concept

今回のエピソードのように、物事は様々な方向から見る必要性を感じませんか?

IAIRコンセプトでは「ひとを見る」ことにフォーカスします。

その方法として、徒手的な介入以外の方法も準備しています。

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齋藤 信

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精神科作業療法に従事する。そのなか、臨床実習指導と院内改善指導に携わり、統合的な視点で医療の質向上をマネジメントする取組みを10年にわたり行ってきた。 IAIRに参加することで、病ではなく人をみる視点を手に入れ、同時に組織も人と同じく、病を抱えていることに気づく。共に育む「共育」をテーマに、療法士一人一人が組織に関わるための多角的な視点を持てるよう、人財育成とマネジメントに関する発信を行っている。
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