自律神経とリハビリテーション

自律神経に関する基本的な内容は、テレビのバラエティー番組でも取り上げられるように一般的な知見となってきた。

昼は活発になるための交感神経、夜はリラックスするための副交感神経。

この二つの神経の優劣で説明されるケースが、実は専門家の中でも多く見受けられる。

 

ヒトの自律機能(心臓の動き、呼吸、消化活動など)は、これらの単純なバランスで成り立っているわけではない。

例えば、唾液腺は交感神経と副交感神経のいずれも促進的に働くとされており、汗腺のように交感神経支配のみのものもある。

自律神経系の伝達物質に関しても、ノルアドレナリンとアセチルコリンのみで説明される場合があるが、複数の伝達物質が共存し、自立神経機能に関与していることも分かっている。(遠山正彌:分子脳・神経機能解剖学,金芳堂,京都,2004.)

 

リハビリテーションの現場で患者や利用者と相対すると、この自律神経系の問題に直面することは多い。

  • 不眠
  • 食欲減退
  • 便秘など

自律神経系の問題だけではないことは確かだが、それらを意識した介入が求められるのも理解できるのではないだろうか。

 

自律神経の理解

自律神経の役目の一つに、生体の恒常性(ホメオスタシス)を保つということがある。

ホメオスタシスとは、生体の内部環境が大きく変動しないように保つ働きのことだが、ここでよく間違われている点は、常に真ん中に戻ることをイメージしているということだ。

自律神経の説明をする際に、このような図が使われることがあるが、ヒトの内部環境はこのような単純なものではない。

その一つが、動的恒常性という言葉で説明される。

環境の明るさや温度、様々な外的な変化に対応して自身の活動性を支えるために、ホメオスタシスの平衡点、セットポイントを変化させているということである。

 

例えば血圧は、日中行動する際は筋肉へ十分な血流が提供されなければならないため高くセットポイントを持ってくるのに対し、その必要がない夜間帯は低くセットされる。

時間の変化に応じて、また身体の活動量に応じて複合的にセットポイントが変わるので、生活習慣や普段からの運動量によって、つまり人によって変わってくることを意味している。

 

生体リズム

時間の観点から考えると、時計遺伝子については自律神経を説明する上で外すことは出来ない。

前世期末の時計遺伝子の発見(1997)によって、医学的な生体リズムの概念は大きく変わったと言われている。

生体リズムは、それまで外界の明暗の結果として付属的に引き起こされると考えられてきたが、実はヒトの細胞内で自立して生み出されていることが明らかになったのである。

(2017年に、これらの遺伝子がどのように24時間のリズム(サーカディアン・リズム)を生み出しているのかを明らかにした米ブランダイス大学のホール(Jeffrey C. Hall)博士とロスバシュ(Michael Rosbash)博士、ロックフェラー大学のヤング(Michael W. Young)博士がノーベル生理学・医学賞を受賞している)

 

この生体リズムが侵されると、例えば眠りたいときに眠れない(=不眠)症状や、朝起きることが出来なくなる起立性調節障害など、睡眠障害を引き起こす可能性も出てくる。

病気を有した多くの患者が、多量の薬を飲んで自律機能を調整している。

つまり、自律ではなく他律である。

他律となった生体内で何が起こっているか、想像の域を脱しないが、多分に不活動な状態が全身で横行していることが予想される。

 

血圧を自己でコントロールしなくて良くなった血管壁は、不活動によって更に硬化が進むであろうし、血糖を自己でコントロールしなくなった腎臓は、インスリンの分泌コントロールという役目を放棄してしまうかもしれない。

蠕動運動をしなくても良くなった腸壁は、細胞の異化が進み、不要な細胞によって埋め尽くされていくかもしれない。

あくまで想像の域であり、全ての薬剤がカラダを不能な状態にしているという訳ではないが、自身の臨床経験からもそこに関係性があると感じている。

 

リハビリテーションにおける自律神経

リハビリテーションにおける身体機能の回復には、モチベーションが大きく関係している。

しかし、ヒトは不眠の状態や食事が満足に摂れないと、活動的になりにくい。

自律神経の関与を認識することは、身体機能の回復に大きく関係してくるのである。

 

その観点を学ぶことが出来るのが、コチラの内容となる。

 

特に、これまで筋骨格系の技術を学んできた療法士が、現場で使っても上手くいかないケースは、この観点を持って介入出来ていないことが原因ではないだろうか。

モチベーションの上がらない患者に「頑張りましょう!」と声を掛けるのか、それともリハビリ以外の時間に何が起こっているのかを把握して、チームでその患者をサポートする方法を考えられるのか、どちらの専門家が必要かは言わずとも分かるだろう。

IAIRは、そんな療法士の育成に全力で取り組んでいる。

 

それでは最後まで読んでいただけて感謝です。

Author.Yoshihisa Fukudome,RPT

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国際統合リハビリテーション協会

理事 理学療法士 福留良尚

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福留 良尚

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国際統合リハビリテーション協会常任理事 IAIR九州専任講師 理学療法士 コンディショニングサロン仁愛クリニカルルーム代表 3児の父 
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