予防医療と緩和ケアの記事から【iairニュース】

気になったニュース、発表、論文についてピックアップしてお届けします。

 

本日は2つ。ネットニュースのBuzzFeedから。

 

1.健康は義務ではない 「予防医療」を医療費抑制の道具にするな
2.みんな、患者を苦しみから救う鎮静のことを誤解している

 

です。

 

1.健康は義務ではない 「予防医療」を医療費抑制の道具にするな

(引用元:https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/ryuniki-3 BuzzFeed News 2019/01/27)

 

医療経済学者、二木立さんのインタビューシリーズの第3弾として公開されています。

(ちなみに第1弾、2弾もなかなか興味深い話ですよ)

 

ちょっと前に落合陽一さん、古市憲寿さんの対談がかなり論争を巻き起こしました。

対談とはこちら→落合陽一×古市憲寿「平成の次」を語る #2 「テクノロジーは医療問題を解決できるか」

 

そこでも触れられていたテーマを話題にしたインタビューです。

 

現政権の安倍首相は医療や介護の予防にインセンティブを設け、健康寿命を延ばそう、という方針を公表しました。

二木さんは基本的な方向性としては賛成されているようですが、予防医療で医療や介護費を抑制できるという主張には強い疑問を持っているようです。

 

その主張の根拠として

1985年の論文は、当時勤務していた代々木病院での脳卒中早期リハビリテーションの実績に基づいて、経済効果を試算したものです。
この研究は、脳卒中患者が急性期治療と並行してリハビリテーションを受けて平均1.5〜2ヶ月入院後に退院する場合を、120日間一般病院に入院し続ける場合と比べると、19〜48%の費用削減効果が可能なことを理論的に明らかにしたものです。

という調査をされていたことがあります。

しかし、1985年といえば今から30年以上前。

病院における環境もリハビリの体制も技術も医療そのものも比較は難しいです。

そこで、

さらに、2006年に脳卒中のリハビリを適切に行った場合の医療費抑制効果は短期的にのみ言えることであり、長期的には累積医療費は増加する、とはっきり訂正しているんです。
その患者が初回の発作ならいいんですよ。そして、1年ぐらいなら経済効果もあるかもしれません。しかし、その人は残念ながらかなりの確率で再発します。良くなると長生きをするけれど、それで医療費も増えるんです。

この部分は、大事なことをおっしゃっていますよね。

適切な医療(リハビリ)の結果、短期的な医療費抑制効果はあっても、長期的には増加するというのです。

寿命が延びることで再発のリスクが上がるという主張ですね。。。

 

予防医療の医療費抑制効果に対しては、財務相も懐疑的なのだそうです。

 

 

そして後半は主張が強くなっていきます。

経産省が目指しているのは、インセンティブによる個人アプローチで、このままでは自己責任論が強まってしまう恐れがあります。
健康は義務ではないんです。権利です。健康は義務だという考え方はナチズムと通じるものがあります。

義務とか権利とかというふうに「健康」を考えたことがなかったので、この発言の主旨を未だに理解できておりません。。。

 

 

「生活習慣病」にならないように、認知症にならないように国によって個人へのインセンティブが強化されたら、「生活習慣病」になった人、認知症になった人が差別、排除される危険があることも考えなくてはいけません。

 

ここの主張を見て、少しわかった気がしてきます。

職場や家庭あるいは学校でも、風邪をひいて具合が悪そうにしていると「普段から不摂生しているからじゃない?」という意見をもらった経験はありませんか?

自己責任論ってそういうことですよね?

風邪をひいたのは、自分が健康的な生活を送っていないからだ、っていう主張。

それを自己責任論というわけですよね?

 

それってすでに存在していると思います。

ただし、紛れもなく本人の責任による部分と、本人がコントロールできない部分が、混在して現象として病が発症しているということを忘れてはならないのだと思います。

 

自分でコントロールできる部分はコントロールしようね、っていうのが予防的考えで、どうにもならない時は治療しようっていうふうに医療が用意されている。

そういう解釈でいましたので権利とか義務とかの「どちらか一方」では判定できないように思っています。

 

予防医療がどういう形で着地するのかはまだ、これからの分野だと思いますが、ビジネスも絡んだ予防の流れは今後大きくなることでしょう。

何らかの施策によって寿命が延び、そのぶん医療費が余計にかかるのだとしたら、それは予防がうまく機能していないのではないでしょうかね???

うまく予防ができれば、高額な医療費を必要とする病気になる前に寿命で亡くなるのではないでしょうか?違うのですかね??

言葉の定義の国民的合意形成がまずは必要ですね。

そのためには医療者や予防に関わる人たちが正しく理解できていないとですね、言葉も政策も。。。

 

 

2.みんな、患者を苦しみから救う鎮静のことを誤解している

(引用元:https://www.buzzfeed.com/jp/takuyashinjo/chinsei-anrakushi-1 BuzzFeed News 2019/01/28)

 

こちらは緩和ケア専門の在宅診療クリニック医師の新城拓也さんの記事です。

近年は癌のリハビリテーションや在宅でのリハビリテーションの中で、介入されている経験がある療法士も増えてきているのではないでしょうか?

私自身は緩和ケアの現場での経験はなく、手術後、問題なく日常生活を送られている方のコンディショニングでの経験しかありません。

なので、この記事は非常に考えさせられる記事でした。。。

 

あらゆるケアと治療を尽くしても緩和されない苦痛に対して、最後の手段として「鎮静」が用いられるそうです。

その鎮静には3パターンあるようで、

一つ目は、少しずつ薬を使って、呼びかけると目を覚まし、眠気は浅く、そしてある程度苦痛が緩和する方法です。
鎮静が始まってからしばらくは、話しかけると目を覚まし、答えることができることがほとんどです。その状態で苦痛がないときは、この浅い眠りのまま、死を迎えることもあります。
実際には、鎮静はこのようなやり方がほとんどです。この方法で苦痛が緩和されない時には、少しずつ薬の量を増やします。結果的に完全に眠ってしまうこともあります。
この方法は、患者を眠らせてしまうことではなく、苦痛を緩和することを一番の目的とします。
二つ目は、一度に多量の薬を使って、呼びかけても目を覚まさず、眠気は深く、そして苦痛が完全に緩和する方法です。
患者の苦痛が余りにも強いと、少々の薬を使ってもうまく眠れないときがあります。このような時は、苦痛が緩和するまで、薬の量を増やすと、患者は深く眠ってしまいます。
この方法は、苦痛を緩和することと、同時に深く眠らせることを目的とします。
三つ目は、数時間だけとか、一晩だけとか予め時間を区切って、短い時間のみ鎮静をし、苦痛を緩和する方法です。

恥ずかしながら、こういったことを全く知りませんでした。

漠然と「安楽死」のような印象を持っていました。

 

人生の最期が近づく人たちと向き合う中で、気づかれたことがあるようです。

患者が不治の病に罹ったとき、家族は「できるだけ長く生きてほしい」と思いながらも、「苦しみが終わるよう、早く楽にしてあげたい、逝かせてあげたい」と、同時に矛盾したことを考えているのだと、経験的に分かってきました。

苦しむ本人、その本人を見て苦しむ家族、その両者を救う手段として鎮静というものがある、と。

 

 

しかし、ある患者との出会いにより別のことにも気づかれたようです。

「鎮静を実際に受ける患者自身は、きちんともうこれ以上苦痛はとれないという自分の状況と、鎮静という眠ることで苦痛を緩和するという治療を理解していたのだろうか」と思ったのです。
さらに、「患者が自分で受ける治療を、自分で考える機会を私は本当に与えていたのだろうか、自分は患者が治療をきちんと理解できるように心を尽くしてきたのだろうか」という、疑問がわいてきたのです。

 

命の最期が近づいてきた時、人は冷静に判断ができるでしょうか?

苦痛が自制内であった時に行なった判断と、耐えられない苦痛を味わっている時の判断に相違はないでしょうか?

本人の判断と、家族の判断に相違はないでしょうか?

 

緩和ケアに関わることで、強くストレスのかかる状況が生まれることが想像できます。

この記事、そして終末期と呼ばれる存在が「死生観」について考えようよ、と呼びかけている気がしてなりません。

 

1.の記事も、ある意味終末期に対してどうするかの部分に関わります。

「死」は誰もが迎えるものです。

逃げることができない対象です。

考えないわけにはいかないのです。

 

「こんなに辛いなら、はやくあの世に行きたい」

「もう辛くて仕方ないんで眠らせてください、目が覚めないように・・・」

こういった発言をされる方は、この世で起きる辛いことを経験され、あの世に行けば苦しみから解放されることを「すでに」知っているのかもしれません。

 

こういった話は宗教を学んでいく必要がありそうですね。

少なくとも「私はこのように思います」と命に対しての発言ができる程度には、命に対して考えようと思います。

 

 

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