前回の「近い将来、僕たちはリハビリをしていられるのか?」は皆さん気になったようですね。
いつものコラムよりたくさんの方が見てくれたようです。
オチは「思考体力をつけていこうぜ」だったのですが、ではどう考えたらいいのでしょうね。
そこで今回は思考のガイドラインをいくつか紹介します。
なぜガイドラインが必要なのか?
なぜガイドラインが必要だと思いますか?
と質問するまでもなく……
- 現在位置を確認するため。
- 考える方向性をつけていくため。
- 到達したいゴールを明確にするため。
- 行動に落とし込むため。
- 行動で迷わないため。
です。
クリニカルパスであるとか、ICFなども大きな枠で話せば同じですね。
どんなガイドラインがあるか?
では、どんなガイドラインがあるのかを紹介します。
以前紹介した齋藤式マネジメントシート(SMS)は、フリーダム過ぎましたね。
ガイドラインやフレームワークって知ってますよね~って前提で進めていました。
臨床経験が10年目を過ぎ、自分の思考方法がある程度明確になった方には良かったようですが、そもそも思考の組み立てに自信がなかったり、まだ学ぶ過程の方には、少々不親切だったようです。
そこで今回は、よく使われる考え方を紹介します。
- PDCA(管理のサイクル)
- KJ法
- 連関図法
- 系統図
- 5W1H
PDCA(管理のサイクル)
考える際の大枠があいまいになりやすい方におすすめです。
P(Plan:計画)、D(Do:実行)、C(Check:評価)、A(Act:評価に基づいた行動)を繰り返し行う方法です。
管理のサイクルと呼ばれている通り、現在何をしているか、次にどうするのかがわかりやすく、改善や質向上に有効です。
リハビリの評価ー再評価の繰り返しをイメージするとわかりやすいです。
KJ法
1つのカードに1つの情報を書き出すので、頭の中で考えがこんがらがってしまう方におすすめ。
言語データをカードや付箋に記入し、類似したものを順次グルーピングしながら情報整理する方法です。
2つ以上の似た情報カードが集まったら、そのグループに名前をつけていき、グループ同士の関係性を解明していきます。結果ではなく、解明のプロセスが大事です。
連関図法
要因が複雑に絡み合っている状態を紐解いていきたい方におすすめ。
KJ法が情報のグループ化であるのに対し、連関図法は情報個々の原因と結果の関係を矢印でつないでいきます。
KJ法を先にしていたら、同じカードを用いて(または複製して)、原因と結果とつないでいく事で、根本原因に到達することができます。また現在の状況を構造化するのにも一役買います。
系統図
リハゴール(人生の目的)と目標、リハプログラムの関連性を明確にしたい人におすすめ。
目的-長期目標-中期目標-短期目標-リハプログラムへと、ツリー構造的に具体的な方策まで落とし込んでいく方法です。
その際、「それは何故?」、「だから何なの?」とツリーの上下を行き来することで、行う理由が明確になります。
5W1H
具体的な行動計画を立てるのが苦手な方におすすめです。
文字通り5つのWと1つのH……When(いつ)、Where(どこで)、Who(だれが)、What(何を)、Why(何のために)、Howto(どのような手段で)……に書き起こし、行動する為の計画を立てます。
場合によっては2HとしてHowmuch(いくらかけて)を追加する場合があります。
でも、実際に使えるの?
と、これらを紹介しても、実際に「現場で使う」に落とし込まないことには話になりませんよね。
IAIR会員向けのオンラインセミナーとしてやってみたいと思ってますが、どうですか?
もちろん会員の方向けなので、IAIR年会費に追加してお支払いなどはありません。
IAIRホームページにログインした状態で視聴できるようにするか、IAIRオンラインサロン「IAIR-Cafe」内で行う形でいきます。
ご意見をいただきたいので、コチラから声をきかせてほしいです。
ご意見アンケート
5年目を過ぎた療法士の君へ
今回紹介したガイドライン……思考のフレームワークは、この先患者さんやクライエントさんの複雑に絡み合った因子を紐解き、その人の人生に関わリハビリテーションをしようとするなら、必須の道具です。
リハビリの技術を学ぶように、考える技術もあわせて学び、使っていきましょう。
リハビリの技術は、IAIRコンセプトを実現するTGA(組織滑走法™️)がおすすめです。
サイエンスベースで作られたアプローチなので、客観的に個別性を紐解き、相手を理解できる最も良い方法の一つであると自信をもっています。
また、マルチファクター(多因子)に対しては、ハンズオフテクニックとしてIBFアプローチがあります。
孫子の「彼を知り己を知れば百戦あやうからず」という言葉通り、相手を理解し、自分自身を理解することで、相手の望むリハビリテーションを提供する方法を共に学び練り上げていくことができるものです。
5年目を過ぎ、療法士としてこの先の変化に適応できる、思考する療法士になりたいあなたを、僕は全力で支援したい。
その支援の手段が、IAIR創設以来伝え続けてきた「マネジメント」です。
あなたとなら、絶対にできます。
共に、思考する療法士になっていきましょう!
IAIR副会長 齋藤 信