肩の可動域制限があったら見過ごせない『肩鎖関節』の滑走って?【国際事業部 Step.62】

IAIR(国際統合リハビリテーション協会)
国際事業部より

 

ハロー!
IAIR国際事業部 所属の
吉田頌平です。
1週飛んでしまいましたが、今週より再開いたします!

本日のテーマは、「肩鎖関節」です。

肩鎖関節といえば肩甲骨・肩峰と鎖骨遠位部で構成され、
肩関節の挙上や外転、水平内転のときに支点となるポイントですよね。

また、鎖骨によって体幹と上肢が唯一、骨でつながるポイントでもあり
寝返りや起居動作、ハイハイ、いざり移動など、上肢で身体を支えられるように体幹の力を効率よく伝えたり、
上肢に加わる大きな衝撃を、鎖骨を通して身体全体に逃がす役割を持っています。

お恥ずかしい話なんですが、臨床2年目まで、私は肩の動きを上腕骨頭と肩甲骨の動きだけで評価していて、手を挙げづらい方に対して効果的な介入がなかなかできず、先輩方にフォローされまくってました…
当時、担当させていただいた患者さんにはホントに申し訳ないですね。

ということで、肩の機能を生活で活かすときに重要なファクターとなる「肩鎖関節」をテーマに、本日はコラムをお届けいたします。

 

【そもそも肩鎖関節って?】

肩鎖関節は関節軟骨によって結合し、さらに靭帯で覆って動きを安定させています。

肩甲骨とも肩峰で関節しており、特に下方回旋・上方回旋のときに大きく動く特徴を持っています。

徒手的理学療法で、肩甲骨モビライゼーションが肩ROM、肩甲骨上方回旋角度の改善に即時効果があることを伝えており(1、解剖学的な特徴から考えると肩甲骨モビライゼーションは肩鎖関節へも影響すると考えられます。

(引用元:(2) 村木 孝行.バイオメカニクスに基づいた肩関節障害の評価と治療.理学療法の歩み. 2014. 25(1). p. 8. 図5.)

ちなみに、主にタンパク質(プロテオグリカン)やコラーゲン繊維で作られる関節軟骨には水分が豊富で、
しっかりと肩甲骨と鎖骨をつなぎ止めつつも、鎖骨や肩甲骨が回旋する動きに対応し、さらに衝撃を緩和するクッションの役割も担っています。

ガチッと硬くつながってるわけではなく、とはいえユルユルというわけでもなく、程よく弾力と硬さを併せ持っているんですね。

【肩鎖関節が動きにくくなる要因】

しかし、加齢や外傷などにより関節軟骨から水分が抜けてくると、関節軟骨は厚みが増して動きが硬くなり、弾力が減る特徴があります。

例えば肩を挙上する場合には鎖骨と肩甲骨は大きく回旋し、水平内転の場合には肩甲骨が鎖骨を圧迫するため鎖骨が背面へ滑って逃げる動きがあります。
関節軟骨から水分が抜けていくと、これらの肩の動きが阻害され、上肢・体幹から鎖骨へ効率よく力を伝えることができなくなります。

先ほど肩甲骨モビライゼーションが肩ROMの改善に即時効果があるとお伝えしましたが、肩鎖関節を含めて肩甲骨をモビライゼーションすることができていないと、関節軟骨の動きが硬いままで肩甲骨の上方回旋はなかなか改善しないんじゃないかと考えられます。

さらに、厚くなった肩鎖関節の関節軟骨は肩峰下で棘上筋を圧迫しやすくなり、インピンジメントが強く発生させる要因となります。
こうなると肩運動時に疼痛が発生しやすくなるため、回旋筋腱板による安定した肩の動きが崩れることとなります。(3~5)

目立たないですけど、肩鎖関節って大事ですね…
肩鎖関節を脱臼された方の術後リハビリは慎重に!!っと、先輩や執刀医から口すっぱく言われた理由がわかります。

ちなみに、加齢や外傷のほかに圧迫が続いても関節軟骨の弾力は減る可能性はあります。

 

【】

皮膚の研究論文から推察するに、軟部組織の多くはタンパク質(プロテオグリカン)やコラーゲン繊維は血液循環によって必要な水分を循環させていると考えられます。

(引用元:(6) 土井 一浩.皮膚組織の経皮加圧に伴う圧密現象と 血流障害の定量化に関する研究. 博士論文 (埼玉大学大学院理工学研究科(博士後期課程)). 2017.p. 51.Fig.3-9 退行性変化に伴う組織内血管の圧閉.)
そして関節軟骨を含む軟部組織は、圧迫が続くと血流が阻害されるため、水分を十分に循環できなくなります。

関節軟骨から水分が抜けてくると、関節軟骨は厚みが増して動きが硬くなり、弾力が減る特徴があるので、
長期の圧迫は関節軟骨の変性を早めることになります。

肩の動きで見ていくと、肩甲骨の前傾と外転の肢位は肩鎖関節を圧迫する動きにつながります。
生活面で見ると、猫背姿勢や円背、長時間の側臥位キープは、肩鎖関節の動きを阻害する因子となり得ると考えられます。

だから肩の介入では、肩甲骨の内転・下方回旋・上方回旋に合わせて肩鎖関節を動かせることと、
「どんな生活を送ってきたのか?」を把握した上での生活指導が重要となってきます。

肩甲骨へアプローチしてもなかなか肩の動きが変わらない時は、『軟部組織が滑走する』イメージをもって肩鎖関節の動きと生活面を再度評価してみることをオススメいたします!

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*引用資料

( 2 )  村木 孝行.バイオメカニクスに基づいた肩関節障害の評価と治療.理学療法の歩み. 2014. 25(1). p. 3-10.
( 6 )  土井 一浩.皮膚組織の経皮加圧に伴う圧密現象と 血流障害の定量化に関する研究. 博士論文 (埼玉大学大学院理工学研究科(博士後期課程)). 2017.

*参考資料

( 1 )  日本理学療法士協会. 理学療法診療ガイドライン第1版. 2011.16.徒手的理学療法 診療ガイドライン. 4.上肢に対する徒手療法の有効性. p. 1183.
( 3 )  林 紘三郎. 生体軟組織の力学的性質.日本ゴム協会誌. 1989.62(6). p. 346-356.
( 4 )  橋口 宏.肩鎖関節の生体力学的特性.日医大誌.1993.60(6).p. 381-389.
( 5 )  大工谷 新 一. 骨関節疾患に対する理学療法と動作分析―力学的負荷に着目した動作分析とアライメント―.関西理学. 2001. 1. p. 1-5.

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

IAIR国際事業部

吉田頌平

【著者プロフィール】

2012年4月:作業療法士免許を取得
6月:カナダへ留学

2012年9月〜2013年9月:
カナダのクリニックへ
1年間勤務したのちに帰国

2013年12月〜:
急性期〜生活期の方々を対象に
整形外科の病院・クリニックへ勤務

現在:
IAIR関東支部で
インストラクターを務める傍で

国際事業部を担当しており、
IAIRの国際化を推進しています。

 

 

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