東洋医学とリハビリテーション 自律神経のバランス「中庸(ちゅうよう)」とは?

From.IAIR 福留良尚

 

 

前回に引き続きリハビリテーションの臨床に東洋医学を取り入れていくための考え方について。

 

前回の内容は、「東洋医学と西洋医学の違い」そして「気・血・水」の概念についてでした。

 

まだご覧になっていない方は、是非併せてお読みください>>>「西洋医学と東洋医学の違い リハビリテーションに東洋医学の考え方を導入するには?

 

 

 

前回の記事にもありました通り、体内に存在する気・血・水は、その量が適正であること、体内を絶えず循環していることが重要であるということでした。

 

一時的に増えたり減ったり、またゆっくりになったり速くなったりすることはあっても、決して一方に偏らないことが重要です。

 

これは中間であれば良いという意味ではなく、どちらにも偏らず、かつどちらにも行ける状態を指し、東洋医学では「中庸」という言葉で表されます。

 

 

 

例えば、普段良く見聞きする「血圧」で考えてみましょう。

 

一般的に血圧は120前後が良いとされており、それに近づけるような薬が処方されています。

 

ですが、血圧が常に一定になってしまったらどうでしょう?

 

運動時は大量の酸素を筋肉に送らないといけませんが、血圧が一定であれば静脈血が心臓へ返ってこないため、ガス交換が滞り酸素を含んだ血液が送れなくなります。

 

 

 

反対に血液がドロドロで流れが悪くなっている人は、血圧を高くすることで末梢の血液を循環させています。

 

このような状態で血圧が一定になってしまうと、血液の循環が滞り、最悪血管内に血栓が作られてしまいます。

 

心筋梗塞、脳梗塞、深部静脈血栓症ですね。

 

 

 

血圧を下げる薬は、高血圧によって引き起こされる病の発生を軽減させている反面、こうした血流量の低下を引き起こすリスクもあります。

 

人体は血圧を上げることも下げることも出来なければなりません。

 

どちらかに偏ってはいけないのです。

 

 

 

この機能を担っているのが【自律神経系】です。

 

 

 

自律神経失調症という病名が取り沙汰されますが、医学的には正式な名称ではありません。

 

検査で自律神経の失調が確認できるわけではなく、暫定的に自律神経失調症と診断してその症状を緩和するための薬を処方することが西洋医学的には行われています。

 

 

 

交感神経と副交感神経のバランス

 

自律神経が失調しているということは、交感神経と副交感神経のバランスが崩れているということを意味しています。

 

日中の活動的な時間帯は交感神経が優位になり、夜間の休むべき時間は副交感神経が優位になる。

 

この変動のバランスが保たれていることが指標であり、先程の「中庸」の状態であると言えます。

 

どちらかに偏っていては良くないのは、お分かりになるでしょう。

 

 

 

リハビリテーションを受ける患者さんは?

 

病院に入院してリハビリテーションを受けている患者さんの多くは、大量の薬剤と慣れない環境での生活をされていますので、交感神経が優位になっていることがほとんどでしょう。

 

交感神経が優位になると夜眠れなくなります。

 

多くの患者さんが睡眠導入剤を飲んでいるのではないでしょうか?

 

そして昼夜逆転から昼間眠くなるケースが多いのではないでしょうか?

 

 

 

疾病による体の変化、大量の薬剤、慣れない環境。

 

これらが患者さんの自律神経のバランスを崩し、交感神経優位になることは想像に難くありませんし、リハビリテーションの効果を妨げているのも容易に想像できるでしょう。

 

セラピストが安易に「頑張りましょう」と言うことは、場合によってはどれほど酷なことかも分かるのではないでしょうか?

 

 

 

陰陽論

 

自律神経のバランスにも当てはまりますし、もっと言えば世の中の全てのものを陰と陽の性質に分けて対立させたのが東洋医学の「陰陽論」と言われています。

 

  • 五臓と六腑
  • 下半身と上半身
  • お腹と顔
  • 夜と昼
  • 冬と夏

 

 

ヒトに置いては、この陰と陽のバランスが保たれていることが健康であると説明されていますし、先の説明の通りどちらかに偏ってはいけないのはお分かりになるでしょう。

 

夜と昼、冬と夏のように、私たちの取り巻く環境もこのようにバランスを取っていますし、自律神経との関係からも、これらの存在と心身が繋がっているのは分かります。

 

 

 

この陰と陽を体内で上手く循環させているの前回の記事でも紹介した「気」の役割と言われています。

 

自律神経のバランスは、通常はヒトが本来持っている気によって保たれているはずですが、入院するほどの病気、大量の薬、慣れない環境によっての乱れ、結果として陰と陽、交感神経と副交感神経のバランス(循環)が上手くいかなくなり、眠れない、食欲が出ない、やる気が出ないといったリハビリテーションを阻害する因子となってしまいます。

 

 

 

リハビリテーションでは勿論ですが、ヒトを見る専門職としてこの「中庸」の考え方は非常に重要です。

 

ヒトの健康は平均値や中間値といったものでは定義できるはずもありませんし、まして病気をしている人なら尚更です。

 

自律神経以外にも、免疫系や内分泌系といった刻々と変化する外界の環境に合わせて働くシステムが、人体では24時間駆動し続けています。

 

ヒトを筋力や可動域だけで評価しては、とてもとても不十分であることが分かるのではないでしょうか?

 

 

IAIRでは、コースで学ぶことでヒトを包括的に見る視点を養うことが出来ます。

 

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

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国際統合リハビリテーション協会【IAIR】

理事 九州地区代表 理学療法士

福留 良尚

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