肩へのアプローチに行き詰まったら、「解剖イメージ」と「生活面の評価」を見直そう【国際事業部 Step.61】

IAIR(国際統合リハビリテーション協会)
国際事業部より

 

ハロー!
IAIR国際事業部 所属の
吉田頌平です。

本日のテーマは、「上腕二頭筋長頭腱」です。

猫背姿勢や円背など、肩甲骨が前傾した姿勢の状態だと、
肩甲骨外転と上腕骨回旋作用の低下により、肩峰下で大結節が衝突し
肩関節の機能不全を引き起こすことはよく知られていますよね。

ところで、肩甲骨が前傾した姿勢が慢性化していると
上腕二頭筋長頭腱周辺で組織変性が起こり、関節可動域制限をもたらすことをイメージしたことはありますか?

肩関節の機能障害に対して、これまでの生活歴や生活上のクセを見直す機会を設けることは非常に重要なポイントとなります。

本日は肩関節の中でも「上腕二頭筋長頭腱」に注目しつつ、肩関節へのアプローチ戦略を再考してみます。

 

【筋肉が伸びる、とは??】

まずは、肩関節の解剖学的な特徴を再確認します。

(引用:(1)より)
(左図:右肩 内外旋中間位・前面から見た関節包)
(右図:右肩 外旋位・前面から見た筋)

関節窩で上腕骨頭を接着するために関節唇があり、さらに上腕骨頭を覆うように関節包が付着しています。そして関節包には、靭帯組織や回旋筋腱板が付着する構造をしています。棘上筋は関節包上部を、棘下筋、小円筋は関節包後方を密着して覆っています。

そのため臨床上では関節包の動きが拘縮の主な要因として重視され、
棘上筋・棘下筋・小円筋の伸長や上腕骨頭の回旋動作が注目されると思います。
もちろん、これらの動きもとても大切です。大切。

このことを確認して、続いて上腕二頭筋長頭腱に注目しながら解剖学的な特徴を確認していきますね。

 

【エンドフィールを超えてない??】

少し視点を変えて、関節包よりも深部にある関節唇に注目します。
関節唇上縁には、上腕二頭筋長頭腱(下図 LHB)が付着し、また先ほど出てきた棘上筋・関節包上部が接着します。

(菅谷啓之 編集.診断と治療のテクニック 肩と肘のスポーツ障害. 中外医学社. 2012.p1.図1-1)
(引用:(2) 菅谷啓之 編集.診断と治療のテクニック 肩と肘のスポーツ障害. 中外医学社. 2012.p1.図1-1)
・上図 LHB:上腕二頭筋長頭腱
・上図 ★:前方関節唇
・上図 GHL:関節上腕靭帯

そして関節唇後縁には棘下筋、小円筋が関節包後方を密着して覆っています。
上腕骨頭を支える関節唇に、関節包と回旋筋腱板が密着しているため、関節唇と関節包がいかに滑り動く状態を保つことも重要ですね。

上記のような解剖学的な特徴から、上腕二頭筋長頭腱は関節唇上縁に対して牽引する力が発生します。
そのため肩を動かしている間、回旋筋腱板が上腕骨頭を安定させることができない場合に、上腕二頭筋腱が強く収縮し回旋筋腱板の機能を代償することがあります。(3

肘を曲げて手を上げようとする方を見かけたことはないですか?
上腕二頭筋腱は2つの起始をもち
・長頭腱→肩甲骨・関節上結節から関節唇と癒合
・短頭腱→肩甲骨・烏口突起
遠位部で1つの腱として癒合し、橈骨粗面へ停止しますので
回旋筋腱板を代償している時には、肘は屈曲位をとりやすくなります。

ここで改めて解剖学的な特徴をお伝えしますと、
実は肩甲下筋と烏口上腕靭帯は、どちらも上腕二頭筋長頭腱と肉眼では識別が難しいほどに密接している特徴があります。

肩甲下筋・烏口上腕靭帯とも肩外旋時に伸長されますが、これらが短縮している場合、肩運動時に上腕二頭筋長頭腱に対して摩耗ストレスを与える可能性があります。

つまり肩外旋動作が短縮されている場合、上腕二頭筋長頭腱に炎症が起こりやすい状態になると言えます。

『じゃあ、やっぱり回旋筋腱板へのアプローチが大事ってことでいいんじゃん!』
その通りではあるんですが、もうちょっと掘り下げて考えてみます。

 

【どうしたらいいんだ・・・?】

そもそも肩甲骨前傾位を長期間保持する姿勢が続いた場合、上腕二頭筋腱は近位から収縮位となり、そのまま肩甲骨があまり動かない状況が続けば萎縮し短縮する可能性が高くなります。

上腕二頭筋長頭腱の解剖学的な特徴から関節唇上縁も短縮する可能性はあり、
また密接する関節包・棘上筋が滑り動きにくくなることも予想されます。

つまり、生活のクセに気づくきっかけがなければ、肩の機能障害は再発する可能性が高い、ということです。

こうした場面では、まず炎症が起こらない範囲で、肩関節内の滑り動く運動をサポートするROMexなどの徒手介入、肩甲骨アライメントを改善するための体幹へのアプローチが重要になってきます。
理学療法ガイドライン(4 でも、関節内運動を意識した徒手療法は肩の動きの改善に有効であるエビデンスが記載されており、下記のような展望が述べられています。

筋の短縮以外の理学療法のターゲットとしては,関節包・腱板疎部・烏口上腕 靱帯の伸張性の低下と短縮,肩甲下筋下滑液包の閉塞,肩峰下滑液包の滑動障害というこ とになりそうである。(引用:(4) p.257)

その上で生活のどのような場面が大きく影響しているのかをクライエントにお伝えし、生活習慣を変えるきっかけを提案できると、長期的に肩を動かし続けやすくなります。

もし肩の動きが今一歩かわらない。。。と感じた時は、
肩関節が「滑り動く」イメージを確認しながら介入することと改めて生活歴を確認するようにしてみてはどうでしょうか?

 

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*引用資料

( 1 )   Henry Gray.  Anatomy of the Human Body.  1918.
( 2 )  菅谷啓之 編集.診断と治療のテクニック 肩と肘のスポーツ障害. 中外医学社. 2012.p1-5.
( 4 )  日本理学療法士協会. 理学療法診療ガイドライン第1版. 2011.(4)各疾患・領域の理学療法診療ガイドライン.4. 肩関節周囲炎.

*参考資料

( 3 )  吉川 玄逸, 堀 克弘, 平岡 誠司 他.腱板断裂に伴う上腕二頭筋長頭腱障害の組織学的検討. 肩関節. 2001.25(2).249-252.
( 4 )  日本理学療法士協会. 理学療法診療ガイドライン第1版. 2011.(4)各疾患・領域の理学療法診療ガイドライン.4. 肩関節周囲炎.
( 5 )  吉村英哉他:烏口上腕靭帯の肩甲下筋腱付着部に関する解剖学的研究:その意義について.肩関節25(3):707-710,2011
( 6 )  藤澤宏幸:肩関節の身体運動学と運動療法.理学療法の歩み. 2010. 21( 1 ). p.14-22.

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

IAIR国際事業部

吉田頌平

【著者プロフィール】

2012年4月:作業療法士免許を取得
6月:カナダへ留学

2012年9月〜2013年9月:
カナダのクリニックへ
1年間勤務したのちに帰国

2013年12月〜:
急性期〜生活期の方々を対象に
整形外科の病院・クリニックへ勤務

現在:
IAIR関東支部で
インストラクターを務める傍で

国際事業部を担当しており、
IAIRの国際化を推進しています。

 

 

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