モラルエデュケーションの時代、臨床実習中のパワハラは無くせるのか?【5年目を過ぎた療法士の君へ】(04)

先月……2018年の10月に、理学療法士の臨床実習中に自殺した男性の遺族が、過度な課題を強いた専門学校などに対し指導を行うことを大阪府に要望しました。

厚生労働省も同月、適切な学習時間を関係施設に周知するように全国の都道府県に通知したそうです。
(2018/11/4追記:記事末尾に参考・引用記事リンクがあります)

 

さて……おかしな話です。

 

なぜ臨床実習中、このようなパワハラが横行してしまうのでしょうか?

病を良くしたいと志した人間が、学生を病ませている。

療法士としての誇りはどの方角を向いているのでしょう?

 

いえ、誇りなどというレベルの話ではありません。

医療人としての存在意義すら問われる由々しき問題です。

 

モラルエデュケーションの時代、臨床実習中のパワハラは無くなると思いますか?

 

モラルエデュケーションとは?

 

モラルエデュケーションとは、精神教育道徳教育のこと。

では、精神教育や道徳教育とは何でしょう?

そもそも道徳って何でしょう?

 

大辞泉によれば……

せいしんきょういく【精神教育】
豊かな感情・強い意志・高い人格の育成に重点をおく教育。
出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

どうとくきょういく【道徳教育】
社会において望ましいと考えられている価値観や価値体系に基づく意識や行動様式・生活態度の形成をめざす教育。
出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

どうとく【道徳】
1:ある社会で、人々がそれによって善悪・正邪を判断し、正しく行為するための規範の総体。法律と違い外的強制力としてではなく、個々人の内面的原理として働くものをいい、また宗教と異なって超越者との関係ではなく人間相互の関係を規定するもの。
2:小・中学校において、道徳教育を行う教育課程。1958年(昭和33)に設置。
3:〔もっぱら道と徳とを説くことから〕 老子の学。
出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

だそうです。

 

さてさて、困りましたね。

医療職にとって、リハビリ職にとって、いち療法士にとって、モラルエデュケーションとは何を指すのでしょう?

 

療法士にとってのモラルエデュケーションとは?

療法士にとってのモラルエデュケーションとは、一体何を指すのでしょう?

冒頭でもお話しした通り、パワハラが横行するおかしな状態。

 

今でこそ「学生を酒席に連れ出さない」、「規定の時間内で指導を終わらせる」とガイドラインを事前提示してくる養成校が増えました。

 

ですが、それすら無視し、独自の論理で指導という名のパワーハラスメントを繰り返す療法士がいまだに存在します。

 

何故なのでしょうか?

 

療法士としての精神性や道徳がそうさせるのでしょうか?

それとも、その人特有の、あくまでいち個人の行動、その人が特異点なのでしょうか?

 

療法士の精神教育はいつされたのでしょう?

療法士の道徳教育はいつされたのでしょう?

わからなくなってきました。

 

療法士の精神または道徳の教育はいつされたのか?

 

わからなくなるのも当然かもしれません。

筆者自身……現在資格取得から18年目?程ですが、療法士の精神または道徳の教育を受けた記憶はありません。

臨床経験20年前後の療法士が受けた実習指導は、もっと非道いものでした。

  • わからないのは学生が悪い。
  • できて当然、やって当たり前。
  • 人格否定は日常的。

加えて、当時は実習指導者だけではなく、養成校の教員すら、教員としての教育を受けていたのかが怪しい時代でした。

 

手探りと言えば聞こえはいいが、実質前の世代の受け売りを繰り返すだけでした。

 

筆者が教員からよく言われたのは「医師と対等に喧嘩できるだけの知識を持て」でした。

今なら言った意図を解釈できますが、学生……そう、義務教育の延長で高校生をしていた学生に思考体力はありませんでした。プライドとエビデンス偏重、職人意識ばかりを植え付けられ、当時はそれが常識なのだと刷り込まれるには十分でした。

 

これは精神教育でも道徳教育でもありません。

ただパワハラ体質を継承するだけだったのではないでしょうか?

 

そもそも何故パワハラをするのか?

とはいえ、全員がパワハラをするわけではありません。

と、言いたいですが、IAIR認定講座に来ている練習生さんたちにきくと、

  • 症例検討は嫌いです。いえ、怖いです。
  • 症例検討=論理の潰し合い。喧嘩。
  • 症例検討は結局トップの言いなりにする洗脳装置。

そんな過激な声が聞こえてきました。

 

特に理学療法士さん達の症例検討は殺伐とするそうです。

それを聞いて、あ~なるほど、と思ったものです。

 

2日構成のIAIR認定講座、その2日目は簡単な症例検討というか、事例報告とグループディスカッションをします。

ですが、いざ全体発表となると……

 

理学療法士さんの空気が急に重くなり、作業療法士さんはPTさんを見る目が泳ぎ始めるのです。

言語聴覚士さんは教育課程も大きく異なるため、口数が少なくなっていきました。

 

そして訪れる沈黙の時間。

 

これまで受けてきた教育のマイナス面が露わになりましたね。

もし、精神教育も道徳教育もしてきた!と自信を持って言えるなら、こんな事になりはしないのでしょう。

 

世の中が変わるのに、人は変わらないのか?

2018年の日本はパワハラと切っても切り離せない年になったのではないでしょうか。

アメフト、相撲、ボクシング、体操……様々な業界のパワハラ問題に話題は尽きませんでした。

 

筆者は2016年より「共育」にシフトチェンジして発信を続けてきました。

臨床教育を共に育む共育にCHANGEする

そう言い続けてきました。

 

残念ながら、もっと具体的でわかりやすいテクニックなどが好まれ、抽象的に言いすぎたと今更ながら反省しています。

 

ですが、今こそ時代はモラルエデュケーション。

  • 療法士としての精神教育
    「豊かな感情・強い意志・高い人格の育成に重点をおく教育」
  • 療法士としての道徳教育
    「社会において望ましいと考えられている価値観や価値体系に基づく意識や行動様式・生活態度の形成をめざす教育」

が必要ではないでしょうか?

 

それが共育だ、と言い切りません。
ええ、もちろん僕は「共育」を信じていますよ。

ですが、まず目の前にいる患者さんに信頼されるよう、信用を積み重ねることが第一の行動だと思いませんか?

 

IAIRが行う教育は療法士の生き方を定義する

だからこそ、僕はIAIRに集り、共に学ぶみなさんと、信用される療法士になっていきたい。

 

IAIRは、ただ単にリハビリの技術だけを教えている団体ではありません。

IAIRは、世の中の人々に求められ、信頼される療法士を育成する臨床教育機関です。

IAIRが行う教育は、療法士の生き方を定義し直します。

 

IAIRコンセプトは患者さんやクライエントさんにだけ当てはまるものではありません。

僕ら療法士、ひいては関わる全ての人に必要な考え方です。

 

お伝えしているリハビリ技術はコミュニケーションツールの一つです。

共に技術を学ぶ、その体験を通じて、これから訪れる時代のさらなる変化の波を乗りこなしていきましょう。

 

IAIRとIAIRで学んだあなたとなら、それができます!

 

まとまらないから、まとめる

ということで、具体的なテクニックや、問題解決の糸口がほぼ無いかのように見える「療法士のモラルエデュケーション」の話。そして、臨床実習中のパワハラはこのままだと無くならない、って事しか言えてない内容になってしまいました。

ですが、たった一つ自信をもって言えるのは、
「IAIRで一緒に学ぶ事で、臨床実習中にパワハラをしようとする療法士を減らすことがでる」
ということ。

 

だって……

 

理学療法士として自信を取り戻せるから。

作業療法士としてOTすることが大好きって気づけるから。

言語聴覚士として信じてくれる患者さんに本気マックス全力でリハビリできるから。

 

自分を信じると書いて「自信」です。

本物の自信を持つ療法士はパワハラのような相手を裁く行為はしません。

相手を裁いた時点で、療法士である自分を否定するって事を知っているんですから。

IAIRならパワハラだって無くせる!

僕はそう信じています。

#IAIRと私
IAIR副会長/作業療法士 齋藤 信

追伸

まずはIAIRコンセプトを学んでみませんか?
療法士にとって大切な事を思い出せますよ。

https://iairjapan.jp/about-tga

マルチファクター

 

 

追記

記事ソースの件でコメントをいただきましたので、この記事を書くにあたって参考にしたリンクを掲載します。

https://www.pt-ot-st.net/index.php/topics/detail/897

http://www.japanpt.or.jp/info/20180911_002.html

https://www.sankei.com/west/news/180628/wst1806280051-n1.html

https://www.fnn.jp/posts/2018103019252206KTV

http://ptjisyu.com/report.html#181023

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/902/087902_hanrei.pdf

 

厚生労働省通知 2018.10.5
http://www.japanpt.or.jp/upload/japanpt/obj/files/aboutpt/01_Guideline_181005.pdf

Scroll to top