施設で過ごす方にとっての「食事」の役割とは?【身体機能と生活 Vol.3】

▼目次

 

ハロー!吉田です。

【身体機能と生活】をテーマにコラムをお届けしています。
(プロフィールは最下部をご覧ください。)

今回のキーワードは、「役割」です。

「栞(しおり)」という映画をご存知ですか?
元PTの監督さんが、脚本・演出まで手がけた新人PTの男性の臨床現場を描いた映画です。

「ぼくは患者さんに何もできない」
「運動で良くならない患者さんに、何ができるっていうんだ」

こんな風に悩む主人公の男性に、同僚PTさんが
「大事なのはな、技術なんだよ」
「切り替えて、次だ次」

ふたりの発言から、理学療法士の役割は「運動療法ができる技術をもったリハビリスタッフ」
と思っていると考えられます。

確かにこういう一面もありますが、
この他にも、いろんな役割が考えられますよね。

客観的に考えればいろいろツッコめるんですが、
どの職種でも新人の頃は、意外と自分の役割を意識するのは難しいんじゃないかなって思います。

中堅の年代に入ってきて、ようやく自分の役割を考えられ
また、患者さんの生活を落ち着いて見れるようになってきたら
ADLも「自分」という役割を果たすために重要なんだなぁと気付きました。

施設や病院の都合から、ADLの中で介入が後回しにされやすい「食事」も、その例外ではありません。

今回は映画をきっかけに、食事にどんな意味があるのか少し考え直してみました。

 

新人も中堅も、利用者さんも迷う「自分の役割」

まずは映画の内容に沿って、自分の役割について考えていきます。

患者さんに何もできない。。。
運動で良くならない患者さんに、何ができるっていうんだ。。。
新人の頃、こんな風に思うことってありませんでした?
意外と自分で役割を見つけるのって、大変なんですよね。。。

ちなみに、病院内のPTさんに求められることって、何でしょう?

例えば、患者さんからは、介入技術、思いやり、専門知識、社会復帰の準備方法。
看護師さんからは、患者さんの情報共有、リハビリ中のバイタル、ADLの遂行能力、目指したいゴール。
患者さんの家族からは、院内での患者さんの様子、今後の生活の準備。
リハビリチーム内では、ゴールの共有、担当セラピストの考え方、患者さんの様子。

こう考えると、介入のための技術が必要な場合だってありますし
専門知識が必要な場合だってあります。
後輩ができたら、後輩を指導する方法や考え方、組織をまとめることが必要な場合もありますね。

この辺り、リスクマネジメントと同じく5W1Hで考えて整理することも有効そうですが
孤独に感じると、なかなか整理できないのが実情です。

実は、『誰から何を求められているのか?』って、不安や孤独感を感じていると
見過ごしやすいんです。

利用者さんにとって、ADLの役割とは?

さて、利用者さんの立場ではどうでしょうか。
施設内で、自分の役割を見つけられている利用者の方って何人いらっしゃいますか?
。。。なかなか思い浮かばないかも、しれませんね。

反対に、他部署から厄介モノのように見られている方って何人か思い当たりませんか?

たとえばうまく身体が動かせず、ずっと食事介助を受けていて
「スプーンからポロポロこぼして服を汚さないで!!」と食堂で言われる方。

居室で最後までひとりで食事を食べようと頑張るけれど、疲れちゃって食べられなくなって
お盆を下げられてしまう方。

自分の役割どころか、居心地が悪くて居場所がないって感じてるかもしれませんよね。

もし、ひとりで食事ができるようになったら、
厄介モノ扱いがなくなって、気持ちよく過ごせるようになるかもしれませんよね。
そうすると、自分の役割について考えられるようになるかもしれません。

ADLができるようになるってことは、「自分」という役割を考えるきっかけになるって
ことなんじゃないかと思います。

 

発言の裏にある役割・想い

「自分でごはんをキレイに食べられるようになりたい」
もし、こんな発言が利用者さんから聞かれたら、どう考えますか?

  • 自分のために時間を割いてスタッフや妻が食べるのを介助してくれるのは、心苦しくてたまらないから。
  • 自分で美味しくごはんを食べられるようになって、人間らしく生きたいから。
  • 食べ物をこぼす自分が情けなくて、みっともなくて恥ずかしいから。
  • 口で噛んで、美味しくごはんを食べるのが好きだから。
  • お見舞いに来てくれた友達と、お茶する時間を楽しみたいから。

こんな理由があるかもしれません。
もしくは、先ほどのように病院や施設から「自分で食事して!」っと求められる場合もあるでしょう。

新人セラピストにも、利用者さんにも
言葉や行動の裏には想いがあるはずです。

その想いを実現するために、技術や知識を活用していきませんか?

最後までお読みいただきまして、
ありがとうございます。

一般社団法人 国際統合リハビリテーション協会
OT  吉田頌平

 

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《プロフィール》
整形外科分野にて超急性期~生活期・維持期のリハビリを担当しており、『患者さんの生活に寄り添うリハビリテーション』をテーマに活動している。
ポーカーフェイスから『とっつきにくい人』と思われがちなため、「少しでも話しやすい雰囲気を感じてもらえるように」と思いを込めた、オレンジ色のネクタイがトレードマーク。

参考文献

1)  高原 信二 他.日常生活動作における肩関節周囲筋群の筋活動について.第48回日本理学療法学術大会 抄録集.2013.40(2). pp. 48100256-48100256.

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