5年目を過ぎると襲ってくるもの。
- 上司や先輩の目。
- 後輩や学生の突き上げ。
- 療法士能力の理想と現実。
- プライベートのドタバタ。
もし、あなたがこれらに直面中なら、一息ついて現状把握をしましょう。
今を可視化して、行動を自ら選択できないでいると……メンタルヘルスの危機ですよ。
と、言うことで……
今日のテーマは「療法士のメンタルヘルス」その解決方法です。
厚労省の自殺の状況をめぐる分析では?
いきなり自殺の話をされてドン引きかもしれませんね。
でも、事実は事実として見ていきましょう。
更に厚労省の自殺の状況をめぐる分析1)の報告を見ていくと、
「健康問題」、「経済・生活問題」、「勤務問題」 、「学校問題」がその主な原因だそうです。
一部を切り取ってお話するのも何ですが、
若年層において比較的多 く原因・動機として計上される「勤務問題」
が、療法士の皆さんと直接お話するにつけ、気になってしまいました。
現在、IAIR会員の多くは、20~40代。
報告にある高い水準で推移している30~40代の皆さん、
「仕事疲れ」しているんじゃありませんか?
事例:30歳男性、臨床6年目の作業療法士Sさん
え、誰ですか?って誰でしょうね(笑)
彼は精神科で働く作業療法士です。
3年目で職場を変え、今の職場で3年。色々と仕事の内容はわかってきましたが、それに伴い仕事量も増えていきました。
仕事のほとんどが他部所との折衝で、看護部からの理不尽な主張をかわしつつ、リハ科の意向や方針を通さなくてはなりませんでした。
早朝出勤&最後に退勤ということも頻繁。
数字の計算に追われつつも、毎日のリハビリもやる。隙間で学生指導をしつつ、科長の代理で委員会にも出席。
医療の質改善ワークショップに駆り出され、院内全スタッフの標的に。
家に帰れば、何かをする気力もなくなり、ダラダラゲームやTVを見てぼーっとする毎日。
唯一の気晴らしはSNSで毎日日記のように投稿していたことくらい。
しかも、追い打ちをかけるようにSNSで炎上。昼夜を問わず、理不尽な個人攻撃をされて疲弊していました。
本当に、面倒を抱え込みすぎですね(笑)
このままだと病む!
「病んでいる人が病を治せるのか?」
と以前から言っているように、医療業界のブラック企業ぶりは改善する意思を感じられません。
毎日毎日目まぐるしく、詰め詰めで働いており、自分は何が楽しくて働いているのかすら考えられない状況にいました。
ですが、「どんどんやつれていってるけど大丈夫?」と婚約者に声をかけられ、ハッとしました。
「このままだと病む!」
いえ、既に相当病んでますけどね。
ですが、気づいてからようやく今の状況を整理しようと一切合切ストップさせました。
捨ててこそ浮かぶ瀬あり
その時Sさんがやったことは「可視化作業」でした。
つまり、今やっていることを全部書き出し、整理したのです。
(図はSMS「Box16」で再現したものです。)
しかも、一切の仕事をストップさせ、2時間この事だけをしました。
ここでは「重要と緊急のマトリクス図」を使っていますね。
「仕事の優先度」がテーマです。
これにより「緊急かつ重要」と「緊急ではないが重要」な仕事に集中し、他の仕事を部署内で振るようになりました。
おかげで、どうにか余裕を取り戻したそうです。
人生を変える2時間だった、と時々話してくれますね。
仕事を可視化するだけで問題解決するのか?
今回のテーマは「療法士のメンタルヘルス」であり、その解決方法。
先の仕事の可視化だけでは十分ではありません。
確かに、仕事を仕分けし、分担する事でどうにかなりました。
ですが、Sさんの事例では「仕事が忙しすぎたからそこから解決しようとした」だけ。
その時々のイライラ、感情面を排除しています。
更に視点が仕事だけなので、プライベートの問題などは置き去りです。
そこで、もう一歩踏み込んだマトリクスを書いてみる事をお勧めします。
ストレスマネジメントで解決!
今回のマトリクス図では、縦軸と横軸を変えます。
縦軸に「対人」と「個人」、横軸に「プライベート」と「仕事」。
今回は「何にストレスを感じたか」がテーマです。
このマトリクスにより「その時、何にストレスを感じたのか」を可視化できます。
例えば、Sさんの「SNSでの炎上」なら「プライベート×対人」
「仕事の仕分け時間がない」なら「仕事×個人」です。
「その時、何にストレスを感じたのか」を可視化すれば、納得できます。
個人の部分で更に「眠い」、「疲れた」、「お腹が空いていた」など、具体的な要素を加える事で、そのストレスの解消法を選択できるようになります。
勝手に関連させてイライラしていた事を分けて考えられるようになります。
マトリクスの使い方は無限大!
このように、マトリクス図は縦軸と横軸の要素を変える事で、使い方のバリエーションが増えます。
今回は「療法士のメンタルヘルス」の解決方法を探ってみました。
もちろん、それだけでは解決しない事がたくさんあるのも事実です。
それこそ作業療法を活用することで心身ともに解決していく事ができます。
PTさんなら、職場のOTさんに相談してみるのもいいでしょう。
あなたが作業療法士なら、作業療法を応用していきましょう。
(あ、作業療法の活用法講義もありますよ)
この事すらマトリクスで整理できそうですね。
縦軸に「得意・不得意」、横軸に「理学療法士・作業療法士」
でもいいですね。
って、しまった、言語聴覚士さんの要素もいれたかったな。
要素が三つの場合は別な図が必要ですね。
その話はまた別の機会に。
IAIR副会長/作業療法士 齋藤 信
脳科学的根拠に基づいた作業療法で心身の問題解決を!
IAIRコンセプトでは、Hand’s onのアプローチ(TGA)とHand’s offのアプローチ(IBF)を行います。
多角的な視点でアプローチをするには、作業療法士の視点がカギを握ります。
作業療法士の皆さん、今こそ作業療法を見直してみませんか?
詳細はこちら https://iairjapan.jp/ebot01
https://iairjapan.jp/ebot01
参考・引用
1)厚労省 自殺の状況をめぐる分析
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/jisatsu/16/dl/2-02.pdf