転倒を予防したい!
という思いは、
療法士も、利用者さんも、患者さんも
誰もが自然にいだく思いだと思います。
臨床でも、転倒を機に
身体活動レベルが低下するとや、
歩行への不安が増加してしまい
活動性が低下してしまった!
という経験もあるかと思います。
我々、療法士としては、
安全な歩行が、より長期間できるように、
専門的な立場から対象の方々の心身の
現状を把握し、モチベーションを高めながら、
効果的な支援を行っていくことが、
肝要だといえます。
◇ 転倒 の危険因子
転倒の危険因子としては、
大きく分けて、
・内的なもの
・外的なもの
があるとされています。
内的な因子は、
対象の方の
・身体的
・心理的
・認知的
・行動的
なものなどが
含まれるとされています。
今回は、内的因子について
ふれていきましょう。
◇転倒予防の動機付け
ところで、
臨床ではどのような評価を行っておりますか?
・
・
片脚立位保持時間
・
・
Functional Reach テスト
・
・
Timed Up & Go テスト
・
・
など、
ちょうど、この3つについての
参考記事がありますので、
ご参照ください。
参考記事:バランス評価とリハビリテーションアプローチ[TUG・FRテスト・片脚立位]
大切なことは、
シンプルな方法で、
対象の方の転倒リスクを評価でき
対象の方が、
転倒予防に対するモチベーションを維持しながら、
歩行能力の維持・向上のために、
日々の取り組みを継続できることかと思います。
◇2ステップテスト
前述の3つの評価は、私も、
臨床でも使ったことがありますが、
最近知った方法で、
<2ステップテスト>という方法が
歩行能力推定法として報告されています。
原著の報告は、2003年に
昭和医学会誌にて報告されています。
先日、ILPT腰痛治療セミナー中に
参加者に伺ってみたところ、
介護予防の分野で行われている
ようでした。
・・
・・
ご存じですか?
<2ステップテスト>
・・
・・
方法は、シンプルです。
下図のように、
静止状態から2歩頑張ってもらいます。
<引用文献を改変>
「2ステップテストとは,バランスを崩さず実施可能な
最大2歩幅長(ストライド)を計測しそれを身長で標準
化した2ステップ値を算定することである」
とのこと。
無理して、転倒してはいけませんので、
「バランスを崩さず実施可能な」
2歩を計測することがポイント。
◇転倒リスクの予測
早速、上記報告の結論です。
上記の研究からわかったことは、
2ステップ値が
1.25より大きかった方々には、
半年間に転倒した方はいなかった
とのことです。
<引用文献を改変>
ちなみに、
研究の対象者は、
・人間ドック受診時に運動機能に問題ない
とされた108名(41歳~79歳)
と
・外来リハ通院患者108名(40歳~75歳)
の総計216名とのことです。
・
・
いかがでしょうか?
・
・
1.25
覚えやすく
1.3 とすると
「自分の伸長の1.3倍の距離を
2歩で進めると、安全に歩き続けられる」
という結果といえるでしょう。
◇是非、実際にやってみて下さい。
実際にこのテストを活用するか否かは、
対象者の心身機能により、
あなたが判断することと思います。
そのためにも、
まず、あなた自身が、
このテストを行ってみることを
強く強くおススメします。
・
・
ILPT腰痛治療セミナーの
治療デモンストレーションでも
介入前後で評価してみましたが、
ご協力頂いた、Aさんから
「非常に簡便で分かりやすく数値として現れるため、
モチベーションアップに繋げやすいと思いました。
ただ実際やってみた感想としましては、
バランスを保つのが意外と難しく、
特に高齢者に対して行う場合は、
事前練習と近位見守りが必要だと感じました」
との感想をいただきました。
先の報告の研究方法にも、
実施方法として、
「測定に先立ち十分な練習をした後,転倒
のリスクを配慮し,近位監視で実施した.また杖と装具
を使用している場合,装具のみその使用を許可した.」
と記されています。
・十分な練習
・転倒リスク配慮
・近位監視
をし、実施する場合には、是非とも
安全に行っていただきたいと思います。
◇安全歩行へのモチベーションアップ
順番は、前後しましたが、
感想にもありました、
モチベーションアップ
について。
実は、
Aさんは、
ILPT腰痛治療セミナーで行った
たった一つの介入により
2ステップ値が
10cm
伸びました。
・
・
最初にあげた、他の評価法でも
時間や距離として数値で表されますが、
・数値
として、あらわされると、
モチベーションアップに、
効果的ですね。
そして、さらに大切なのは、
それを、【継時的に記録】し、
結果を共有していくことでしょう。
◇自分の身体の定期チェックとして
患者さん、利用者さんの
身体機能評価と合わせて、
私が、おススメしたいのは、
療法士自身の身体機能の
定期チェック。
知らず知らずのうちに、
・柔軟性
・バランス能力
・協調性
・感覚 など
が、年々退化しているかもしれません。
すでに、Tune UP セミナー 触診セミナーを
受講された方はご存じのように
療法士の身体の状態は、
患者さんの治療結果にも大きな差を生みます。
・
・
私があるセミナーを受講した際の
ペアでの実技練習で、
「この療法士には、
自分の体を預けたくないな…」
という扱われ方や触られ方をしたことも
何回かありました。
療法士自身は気づいていませんが、
患者さんは、確実に気づいています。
「あ!ここちよく、足をもってくれている」
「なんか、カタイ感じで、体の緊張が抜けない!」
「もって優しく触って」
など
臨床で結果が出ない原因を
新たな側面から学んでみませんか?↓
すべての人々の“ハッピー”のために。
****
引用文献:
村永信吾、平野清孝:2ステップテストを用いた簡便な歩行能力推定法の開発.昭和医会誌 第63巻 第3号〔301-308頁,2003〕
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複合的腰痛アプローチ
IAIR Lumber back Pain Technology(ILPT)主宰
赤羽秀徳
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追伸1
本人の【気づき】を大切にする~ILPT腰痛治療セミナー~
・「腰痛の診かたについてあまり知識がなかったので、刺激と勉強になりました!」
理学療法士 2年目 Mさん
・「実技でも効果がすぐに出たので、今後すぐにでも臨床に活かしていけると思いました」
理学療法士 7年目 Kさん
・「自分が患者さんと関わっている言葉、態度が“腰痛を生み出している”と痛感しました」
理学療法士 8年目 Mさん
などの感想をいただいております。
詳細・受付は、こちらから
>>>https://iairjapan.jp/backpain
追伸2
時間や距離的な制約があり、ILPTセミナーに参加できない方は、
セミナー内容のポイント および
東大病院 特任教授の松平浩先生との特別対談を収録したILPT_DVD
で学んでいただき、明日から臨床に活かしていただくこともできます。
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追伸3
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