バランス評価とリハビリテーションアプローチ[TUG・FRテスト・片脚立位]

From.IAIR 福留良尚

 

 

高齢者が寝たきり、もしくは活動レベルの低下を起こす要因の一つに転倒があります。

 

医療介護の現場では、転倒予防のためにバランスの評価が行われ、点数やその状況に合わせて転倒リスクを事前に把握し、リハプランやケアプランに活用しています。

 

 

 

バランス評価の種類

 

  1. Time UP&Goテスト
  2. Functional Reachテスト
  3. 片脚立位テスト

 

 

数多くのバランス評価が存在する中で、実際の現場でも取り入れやすい3つの方法についてご紹介するとともに、そこから導き出される問題点とリハビリテーションアプローチについて検証していきましょう。

 

 

 

Time Up&Goテスト

 

この評価は下肢筋力、バランス、歩行といった日常生活能力との関連性が高いことが示唆されており、高齢者の身体機能評価として広く用いられています。

 

タイムを計って転倒のリスクを把握するものですが、特に高齢者が転倒しやすい、「立つ時」「歩き始める時」「方向転換する時」「座る時」のそれぞれの場面に着目できる有用な評価です。

 

 

 

【測定方法】

 

測定方法は、椅子に深く座った状態で開始し、椅子から立ち上がり、無理のない早さで歩き、3m先の目標物を回って椅子に座るまでに要する時間を測定します。椅子は、肘かけに手をおいた状態から開始しますが、肘かけがない場合は、手を膝の上においた状態から開始します。

 

 

 

【基準値】

 

日本整形外科学会は運動器不安定症を判断する基準として、TUGテストの基準値を「11秒以上」としています。

 

また「30秒以上」掛かる場合には、日常生活において介助が必要なレベルとしています。

 

 

 

筋力低下という問題点

 

このテストでも「筋力低下」が主要な問題点として扱われていますが、実際のところそれだけに限らないケースが多いようです。

(参考記事:「筋力低下」が症状の原因だと思い込んでいる人に知っておいてほしい生理学的解釈 )

 

 

 

Functional Reachテスト

 

測定方法は、足を肩幅に揃えて腕を肩関節90度挙げます。

足を前に出すことなく、中指を目安に最大限にリーチした距離を測定します。

3回テストを行い、最後の2回の平均値を求めます。

 

 

 

転倒の危険性の判断は、高齢者であれば「18.5㎝未満」は転倒のリスクが高いという研究があります。

(参考論文:Thomas et al., Arch Phys Med Rehabil. 2005)

 

しかし、例えば脳卒中やパーキンソン病といった基礎疾患によっても基準値は変わってきますので、一概にテストの結果だけで転倒リスクと結び付けることは出来ないようです。

 

 

 

関節可動域制限という問題点

 

このテストでは下肢関節の可動域も影響してきます。

 

特に股関節・足関節の可動性はバランス機能に影響するので、数値だけでなく動きの観察が必須になってくるでしょう。

(参考記事:「バランス評価の視点と治療コンセプト」

 

 

 

片脚立位テスト

 

測定方法は、両手を腰にあて、片脚を5cm以上あげている時間を測定します。左右2回測定し、最も良い記録を測定します。

 

開眼立位では、15秒未満で運動器不安定症のリスクが高まる

閉眼立位では5秒以下、開眼立位は20秒以下で転倒リスクが高まる

 

(参考文献:PTジャーナル 2009,9 高齢者の運動機能と理学療法)

 

 

 

体幹の安定性低下という問題点

 

片脚立位テストでは、一見「静止」を求められているように見えますが、実際は多くの筋を駆使して動的にバランス制御を行っています。

 

つまり剛性を高めているのではなく、選択的な筋活動を必要としています。

 

(参考記事:「体幹を安定させるためのリハビリテーションプログラム」

 

 

 

バランス評価とリハビリテーションアプローチ

 

バランスという言葉は、ラテン語の「bilanc」という単語が語源になっており、これは「二つのお皿」「天秤」を意味すると言われています。

 

つまり、前述にもある通り「静止する」ことではありません。

 

関節が固くなって拘縮してしまった状態や、脳卒中後の過緊張によって硬直している関節では、バランス機能を発揮することは出来ません。

 

 

 

「バランスとは動きがあること」

 

 

 

IAIRでは、組織間の滑走という動きを引き出すためのアプローチをお伝えしています。

 

全ての動作やパフォーマンスには、滑走性が必要です。

 

徒手による介入では、TGAの概念があることで、より患者の能力を引き出すことが可能となります。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

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国際統合リハビリテーション協会【IAIR】

理事 九州地区代表 理学療法士

福留 良尚

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