前回は3つの事例を出しましたね。
- 介護事業所の所長の集客作戦
- 悩める新人と偉そうな科長
- ダラダラ委員会
みなさん、それぞれどのように解釈しましたか?
また、問題点を把握し、解決策を思いついたでしょうか?
今回は回答をくださった方の解釈を紹介しつつ、根本原因が何であったかを紹介しましょう!
事例再確認!
事例1「介護事業所の所長の集客作戦」
ある介護サービス事業者で利用者が減り始めた。常套手段として、所長は担当者にサービス拡大といいところを載せたチラシを配布することで新規利用者アップを命じた。しかしたいして利用者は伸びず、サービス拡大をした影響の方が大きく、スタッフが疲弊し逆に利用者が減ってしまった。
事例2「悩める新人と偉そうな科長」
新人療法士のA君が科長に報告書の確認を依頼したところ、
「コレじゃダメ!全然できてない!学校で何習ってきたの?明日までやり直してきて!」
と言われた。A君はどこから修正したらいいのか頭を抱えてしまった。
事例3「ダラダラ委員会」
リスクマネジメント委員会で、ヒヤリハットの報告件数をアップさせるための告知や伝達方法について話し合っていた。
だが、書類を回しても誰も見ないと言う話から、各科内外の個人口撃が始まり、有効な解決策が得られないままダラダラと時間ばかり過ぎて、結局何も決まらなかった。
面白い……というか、あるあるな事例ばかりではありませんか?
前回紹介したヒント「的確か?」と質問していくことで根本原因が見えてきますよ。
まだ考えていなかった方は、今すぐ考えてくださいね。
《3分のワークタイム》
では、皆さんが既に考えた程で話を進めます!
事例1「介護事業所の所長の集客作戦」
ある介護サービス事業者で利用者が減り始めた。常套手段として、所長は担当者にサービス拡大といいところを載せたチラシを配布することで新規利用者アップを命じた。しかしたいして利用者は伸びず、サービス拡大をした影響の方が大きく、スタッフが疲弊し逆に利用者が減ってしまった。
皆さんの回答を先に紹介します。
回答者Aさん
- 事業所の良いところと周囲の事業所との違いのすり合わせ
- 利用者さんや地域のニーズの把握
- 現場の意見とやりがい
- 所長さんの考え、理念の共有とスタッフの解釈
- スタッフ育成
などから問題を探していくと考えました!!
なるほど!細かく書き出してくれましたね!
僕が説明する必要がないくらいです。
ですが前回、ロジカルシンキングの第一歩は、
- 「その問題に対して対して適切に考えたか?」
- 「その問題に対して十分に考えたか?」
という、的確に考えることだとお話ししました。
今回のそもそもの問題は所長が常套手段と思っている、「新サービスを出したら人が来る」、「チラシを出せば人が来る」という「過去の成功体験にしがみついていること」が根本原因です。
所長の考えが変わらない限り、回答者Aさんが挙げてくれた具体的な行動の部分はすぐ立ち消えてしまうでしょう。
その上で、現状を把握し、現状を打破する為に必要な手段を組み立てていく必要がありますね。
事例2「悩める新人と偉そうな科長」
新人療法士のA君が科長に報告書の確認を依頼したところ、
「コレじゃダメ!全然できてない!学校で何習ってきたの?明日までやり直してきて!」
と言われた。A君はどこから修正したらいいのか頭を抱えてしまった。
回答者Aさん
- 上司のセルフコントロール
- 業務内でコミュニケーションをとれる時間、タイミング
- 傾聴
- マニュアルの有無
- 育成と指導の幅と、部下の解釈や理解の上司の把握状況
などを考えました!!
回答者Bさん
本質的な問題は、この2人の関係性だと思います。
今回の報告書以外でのコミュニケーションがほとんどなかったのでないか。
理由は、上司の指摘が曖昧だし、上司からの指摘を受けたあとに、質問し直せないということから。
いいですね~!
お二方とも、コミュニケーションに問題あり、と解釈されました。
確かに!確かに、コミュニケーションは足りていないのでしょう。
ですが、ここで皆さんが期待していることと、科長が期待している事と、新人君が期待していることは全部違ってます。
- みなさん「コミュニケーションを科長と新人君に期待」
- 科長「報告書を期待通りのクオリティで出して欲しい」
- 新人君「どこがダメなのかが知りたい。ダメなところの修正方法を知りたい」
です。
コミュニケーションが足りないっちゃそうなんですが、ここで一番足りないのは「期待値をチェックする仕組み」です。
- 科長の求める報告書の形式が事例として提示されていない。
- 修正点を的確に伝えられていない。
- 修正箇所の比較と解決方法を提示していない。
最低限、この三つが欲しいところ。
これらが無いから、科長は説明できないし、新人君は困り果てる。側からみている皆さんは科長と新人君のコミュニケーション不足を見て「やれやれ」と感じてしまいます。
コミュニケーション能力の有無にかかわらず、一定の仕事の質を担保する、と言う考え方も大事ですよ。
でいくと……回答者Aさんの「マニュアルの有無」が一番解答に近いものでしたね。
事例3「ダラダラ委員会」
リスクマネジメント委員会で、ヒヤリハットの報告件数をアップさせるための告知や伝達方法について話し合っていた。
だが、書類を回しても誰も見ないと言う話から、各科内外の個人口撃が始まり、有効な解決策が得られないままダラダラと時間ばかり過ぎて、結局何も決まらなかった。
回答者Cさん
どの事例も経験することかなと思います。
何が根本的な問題なのか、環境、人の感情も含め解釈していくことが必要ですし、解決策としてあげたことを実行、再評価をし定着化していくとも必要ですよね。
ヒヤリの件では以前経験しましたが私が勤めていた施設では誰が何件出したかを見える化して目標を月10件出すとしましたがこれも根本的な問題点を的確に捉えられていなかったと思います。
回答者Cさん、イイとこ突いてます!
仕組みで回す。一番医療現場に必要なのに、職人集団のリハ科は個人行動ばかりで収拾つかなくなるアレです。
が、ここで根本的にマズイ部分は「会議をデザインしていないこと」です。
参加者が、開始時間と終了時間を把握し、終了時間には何が達成されているのかが可視化されていない。
本来、委員会なので、委員長が会議をデザインしなければなりません。
- 目的は何か。
- 終了時間に達成されている状態を具体的に提示したか。
- 一つの議題に対して何分かけるのか。
- 話が逸れたら軌道修正をする際のキラーワードを準備しているか。
- 決まったことを実行する担当者、期限設定をしたか。加えて可視化したか。
などがデザインのポイント(の一部)です。
回答者Cさんの言うように、目標値が明確化していると、数字ベースで話ができます。
数字の報告ほど時間の無駄はありません。
事前に資料を配布して、事実、解釈、理由原因、行動などを準備して参加してもらう。
場合によっては提案や変更案は事前提出。
事前準備や提出のない議案に関しては、緊急かつ重要でない限り後回し。
など、会議って事前のルール設定と根回しが重要です。
ルールの無い会議は……昭和風に言うなら……便所の落書き以下です。
まとめ
さて、ロジカルシンキング……論理的に考える、の足かがりをつかめたでしょうか?
そもそも、なぜ、ロジカルシンキングが必要か?
「的確に考えて、的確に伝えるため」に必要なんです!
- それは本当に根本原因なのか?
- 他には原因となることはないのか?
1番の問題がどこにあるかを考え、それを伝えることで、現場の問題解決をするために、論理的に考えることが大切なんです。
一時の感情にとらわれるではなく、的確に考えていきましょう!
今回の三つの事例解答編の意見&解釈をください!
さて、今回の解答編はいかが?
「お題に対して本当に的確なのかよ?」と別な提案大歓迎!
是非あなたの意見や、解釈をシェアしてください!
*3つの事例、どれか一つでOKです!
次週、「問題のどこを見たらいいのか?」で新たなお題を皆さんに出しますね!
お楽しみに!
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