◇臨床経験によって何を学ぶべきかは異なる
実際にお会いしたり、インターネットを眺めていると、リハビリ業界には勉強熱心な人が多いです。
そういう方々からとても刺激を受けますし、私も勉強しなきゃなぁ、と戒めております。
ただ、中には
「勉強しなきゃいけないとは思っているけど、何勉強していいかわからない」
という方もいるようです。
理学療法士になって18年が経過した私自身の経験と反省がベースですが、過去を振り返りながら、それぞれのタイミングで勉強していたことをご紹介します。
◇「いつか役に立つ」っていつ役に立つ?
勉強熱心な人は、時に勉強することが理由になってしまいます。
「いずれ必要になるからと思って資格をとろうとする」というのがわかりやすい例ですね。
いつか役に立つことを見越して勉強しても、どういうわけか記憶に残りにくいんですよね。
それは「実践」が積めないからなんです。
「いつか役に立つことを見越して」の勉強ではなく、「今、必要な勉強」に力を注いだ時の方が実力がついていった感覚がありました。
それは、学んだことをすぐに「実践」できたからなんですね。
◇臨床1〜3年目の勉強テーマ
そういう意味で、好きなことよりも「必要なこと」に力を注いでいたのが、社会人デビューしてすぐの頃でした。
このころの私は、「何が好きか」も定まっていなかったのです。
好きなことを勉強しようにも、何が好きかわからない。
そうはいっても、職場ではタスクが生まれる。
だから「その時の必要性」に基づいて勉強しました。
勤務先での就業ルール、先輩が行なっている手技の理解、先輩が使う言葉の理解、医師が話す言葉の理解、カルテに書いてある内容の理解。。。
そういったものを勉強していましたね。
将来のあれこれよりも、目の前のこと。
なので、勤務している場所によって身につけるべきことは違います。
リハビリを担当する対象者の状態によって、身につけるべきことが違います。
そんな時期ですね。
◇臨床3〜5年目の勉強テーマ
3年くらいしてくると、興味の持てる分野っていうのが出てきたんですね。
といっても、先輩への対抗心で、職場であまり取り入れられていないリハビリアプローチを行おうとしただけなんですけど・・・(先輩の言うことが聞けないだけ)
まぁ、動機はどうあれ、
「自分の頭で考えて、自分の手で結果を導く」
という気持ちが芽生えたものです。
こうなると「好きなこと」を中心に次から次へと情報をむさぼりました。
若かったのでやる気はあったんです。
それが何かっていうと、、、バイオメカニズムとかのいわゆる「科学的」な知見。
それと、武術などの「科学で表現しきれない」身体運用。
そういう相反する内容を同時に学んでいました。
頭おかしくなりそうでしたけど・・・
◇臨床5〜10年目の勉強テーマ
職場で後輩ができたり、その後輩から頼りにされはじめる時期だったかと思います。
このくらいの時期は「中堅」とか呼ばれ始めるんですよね。
このくらいの時期になると「自分だけが上手くいく」だけでは、周囲から評価されなくなってくるんです。
後輩、学生への指導力
患者さんへの指導力
上司への提案力
というものが「必要」になってきたりします。
この辺で、方向性に悩んだような記憶があります。
職人のごとく我が道を極めようとするか、後進の育成に注力しようとするか。
今となってはの話ですけど、我が道を極めようとすることと、後進を育成することって両立できると思うんです。
(私はその当時、できませんでしたけど。。。)
どっちかに決めることないんです。
だから、やっぱり「好きなこと」に注力していいと思うんですよね。
勤務する場所を変えて、担当する人の層がガラリと変わりました。
脳神経外科の専門病院から整形外科専門病院に、しかも県を超えて。
自分の方向性を定め、得意なことと不得意なことを分ける為にも、ガラリと変えてみるのは、いい経験だと思います。
「経験を生かして」と言いながら、自分が経験してきた枠の中で、職場を変えるよりも激しく成長のチャンスが訪れます。
この辺の年代で「これからこの職業とどう向き合っていくか」みたいなことがテーマになってきたりしてました。
いわゆる「学問の勉強」とはちがって「自分自身を見つめる」ことを始める時期でしょう。
「プロフェッショナルの条件」とかはよく読んでいましたね。
◇臨床10〜15年目の勉強テーマ
このあたりから、役職に就くようなケースが増えることでしょう。
つまり「組織の中の役割」を意識せざるを得ないです。
部署の運営を任されたり、もう少し小さな事業グループの責任者を任されたり、他部署との交渉窓口になったり、雇用されている組織の中での貢献を期待されるようになります。
一人の療法士として、患者さんのリハビリテーションを担当していればよかった日々から、複数の療法士をまとめ、集団としての行動を評価される日々へ。。。
個人の努力(技術研鑽)が自分自身の評価に直結しなくなってくるんです。
技術的な部分はできて当たり前・・・みたいな空気とでも言いましょうか。
自分以外の療法士を、組織から求められる結果にたどり着くように導いて、初めて評価される立場になっていく。
そういう経験をすると、いわゆる「自己啓発系」の本、経営者向けの教材とかに目がいくようになります。
(私の場合、新人の頃に心がやさぐれて、自己啓発系に出会いましたけど、なんのことを言っているのかさっぱりわからなかった・・・。自分に必要なことやタイミングって人それぞれですね)
手技を極めようとすることで、組織へ生かすことも十分可能なのですけど、その手技から組織運営へ応用することや気づくことに時間がかかってしまいます。
私はサッカーが好きで、サッカーの解説やリーダー論みたいな部分から、組織運営に生かそうとしたことがあります。
普通に管理運営や組織論の勉強するよりも頭に入りやすかったですけど、現場に行かす時の変換に苦しみましたね。
結局、普通に管理運営を学んだ方が近道かもしれません。
マンガのジャイアントキリングが好きな方には「今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則」とかわかりやすいですよ。
他にも色々読みましたので、興味がある方はご連絡ください。
fukuda@iairjapan.jp
◇臨床15〜20年目の勉強テーマ
人によっては経営までかかわり、法人としての運営に関与していく場合も出てくるでしょう。
もっと早く経営に関わるケースもあるかもしれません。
ここで生きるのは勉強よりも「実践」です。
まさにTry & Error。
早く行動を起こして、(失敗、成功を問わず)早く結果を得ることが、組織を前進させていきます。
ある程度の勉強量に達すると、気づくことがあります。
みんな同じことを言っていると。
そうなると、どこで差が生まれるのかと言えば、
実践
に他なりません。
「成功の量」とか「成果の大きさ」という経験よりも、「失敗を含めて」どれだけ実践して、そこから何を学んだか。
が、物を言います。
私は、ちょうどこの時期なので、「実践」に勤しんでおります。
◇まとめ
私の経験と反省を踏まえまして、まとめます。
・経験年数によって若干の差はあるけど、「好きなこと」を勉強すると頭に入りやすい。
・何が好きかわからなかったり、何をしたらいいか検討もつかない場合は、「今、必要なこと」に集中すると道が開ける。
→そうすると「やりたいこと」よりも「やりたくないこと」がはっきりする。
・「やらされていること」が好きになれたら、その組織で芽が出やすいから頑張る。
・「自分がやりたくないこと」しか評価に結びつかない環境は、離れた方がいい。
国際統合リハビリテーション協会(IAIR)は、肉体に現れている症状を解決するテクニックをお伝えしているだけではありません。
「社会に貢献できる人材」
の育成を行なっています。
学ぶ人それぞれのタイミングに合わせて、最適な経験をしてもらえるように体系化された講義内容になっています。
体の症状に対して解決方法を学ぶ「Bクラスコース」が開講しています。
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