下腿後面の深層部の筋〜足部背屈制限の原因(1)【理学療法 実践の手引き Vol.90】

下腿後面の深層部の筋

下腿後面の深層部の筋〜足部背屈制限の原因(1)【理学療法 実践の手引き Vol.90】

足関節背屈制限は臨床上よく遭遇するかと思います。
背屈制限で思いつくのはどのような原因があるでしょうか?
  • 下腿三頭筋の短縮?
  • 距骨の後方移動の低下?
背屈運動を行うときに過度な足部の外転を伴ってしまうことがあります。
それはどのような原因が考えられるのでしょうか?

<下腿後面の深層部の筋>

下腿の筋

1:長母趾屈筋
起始:腓骨後面下方1/3、下腿骨間膜後面下部
停止 :母趾末節骨底
神経支配 脛骨神経(L5〜S2)

2:長趾屈筋
起始:脛骨後面の中央部。
停止:第二〜第五の趾骨の末節骨底。
神経支配:脛骨神経(L4〜S2)

 

3:後脛骨筋
起始:脛骨の後面、腓骨の後面。
停止:舟状骨、全楔状骨、立法骨、第二〜第五中足骨。
神経支配:脛骨神経(L5〜S2)
(図は筋の境目を分かりやすくするために
後脛骨筋が青くなっている)
神経は割愛。
この3つの筋は下腿の後方を走行しており、
内果の後方にて足根骨と屈筋支帯によって足根管が形成され
長母趾屈筋・長趾屈筋・後脛骨筋・後脛骨動静脈・後脛骨筋神経が走行しています。
内果の後方で後脛骨動脈の脈を触知できるわけですが
この後脛骨動脈を境に前方が長趾屈筋、後方が長母趾屈筋の腱を
触り分ける指標にもなります。
ただし、長母趾屈筋側は脛骨神経が走行するので注意です。

<距骨後方を走行する長母趾屈筋>

 この3つの筋の中で㈰長母趾屈筋だけは多くの解剖図で距骨の後方を走行し、
2:長趾屈筋と3:後脛骨筋は距骨の内側を走行して停止部へ向かっています
この距骨後方を走行している部分は距骨の内側結節と外側結節の溝の間を走行しており、
この部分は足部の内側からしか触診できません。
このことが何の役に立つかといいますと、
足関節背屈時には距骨が後方へ滑る動きを伴います。
長母趾屈筋に制限があるとこの距骨の動きを阻害する可能性が出てきます。

<足部の自動背屈運動時に伴う足部外転の原因の1つ>

大工谷2)は
“屈筋支帯内側部や脛骨内果後方部(長母指屈筋腱・長指屈筋腱)に短縮がある場合に足関節背屈自動運動を行わせると運動初期からの足部外転が観察される“
としており、
足関節背屈運動軸の変位を起こす原因の1つとしています。
(先ほどは長母趾屈筋に制限があると距骨が後方に滑る動きを阻害する可能性があると書きましたが、脛骨が前方に押し出されている場合には足関節の運動軸が変わり足部外転を伴いやすくなると考えられます。)
下記図の丸の部分をリリースするとよいとしており、このリリースによって背屈運動初期からの足部外転を消失することが多いと述べています。
(図は先ほどと左右が逆になっているので注意してください)
ただし、先ほど述べたように長母指趾筋の知覚は後脛骨神経が走行しており、
後脛骨動脈の拍動を振れた場合は注意が必要です。
足関節背屈運動(2より)
B-classを受講された方は距腿関節へのアプローチを行うことで
距骨と脛骨ー腓骨間にクリアランスを生み、各組織の滑走を高めるという方法もいいかと思います。
認定下肢セミナー
足部の外返しは、背屈+外転+回内の動きの複合であり背屈時に外転は伴いやすい運動であるかとは思われます。
ただ、過剰に外転が出てしまうことは荷重時などにより頭側にある関節に対してのアライメントに影響する場合もあります。
背屈制限があるからと言って単純に背屈運動を繰り返して、過度な外転も作ってしまうと逆に悪影響を起こしてしまう恐れもありますね。
今回参考にさせていただいた文献はインターネット上のでも閲覧できますので
気になる方はご参考ください。
1)Visible Body Muscle Premium
2)大工原著:足関節背屈制限に対する理学療法 関西理学  2006
3)ジャン=ピエール・バラル / アラン・クロワビエ 共著:
新マニピュレーション・アプローチ<下肢> 科学新聞社 2014年
お読みいただきありがとうございました!
藤田智史
IAIR 関東支部
認定インストラクター
藤田 智史

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