恐怖回避

『 恐怖回避モデルへの対応のコツ!』No163

 

「腰が折れそうで怖いです!!」

・・

これは、以前お会いした慢性腰痛でお悩みの方の発言。

「どんなイメージですか?」

とお聞きすると、

「腰を前に曲げたり、後ろに反ったりするのを繰り返していると
ポキッと折れてしまいそうな感じがします!」

とのことでした。

単に
「腰が折れそうで怖いです!!」だけではわからなかったのですが、
より、リアルなイメージをお聞きすることができました。

針金などを器具を使わずに切断しようとするときにやる方法ですね。

ある方向と、それとは逆方向に繰り返し曲げていると針金が切れる…

あなたの経験では、いかがでしょうか?
腰を動かすことで、腰が折れそうなどと思い、
「恐怖」が強い方はいらっしゃいませんか?

その他には、

「重い物を持ち上げると痛くなるから
絶対持ちたくないです」

「長時間歩くと腰が痛くなるので歩きたくない」

「腰は、なるべく動かさないように固定してます」

「椅子に座るのは避けています」

など、

<ある動作は、腰の痛みを悪化させ、悪い影響を与える
 
だから、そのような動作をすべきではないし、そもそもできない>

という考えで恐怖を強く感じている方は、いらっしやいますか?

ご存じの方もいると思いますが、
このように、ある動作をすることに恐怖を感じており、
その動作を避けてしまう思考・行動は、

“恐怖回避思考・行動”とよばれています。

◇恐怖回避モデル

なぜ、“恐怖回避思考・行動”が長く続いてしまうか、
そして、痛みが遷延化してしまうかを説明する一つのモデルに
恐怖回避モデルが紹介されています。

以下がその簡単な説明です。

・ぎっくり腰などの痛みの発症


・「痛みの体験」を否定的に捉え過ぎてしまう


・痛みへの不安や恐れ感が増す。

・過剰な警戒心
それに伴う、回避行動

・廃用、機能障害、うつ傾向

・「痛みの体験」


という

「負のスパイラル」です。

臨床では、いかがでしょうか?

今まで、ILPT腰痛治療セミナー中に
参加者に伺うと、多くの方が、
そのような方を経験されていると
おっしゃっております。

◇負のスパイラルの始まりは?

実は、先程は記していませんが、
恐怖回避モデルの「負のスパイラル」の
始まりとして重要な因子があります。

それは・・・

医療従事者からの「情報」です。

*****

・痛みの体験

↓ ←「情報」

・その情報により解釈が変わる

*****
同じ痛みだとしても、
そこで、どのような情報が本人に伝わるかで、
その状況の「解釈」が全く別のものになってきます。

例えば、
良くあるのは、画像所見。

医療従事者から

「画像でみるとここが潰れていますので・・・」

「画像みるとこのトンネルが狭くなっていて・・・」

など

<画像上の異常所見>が

痛みの原因であると
強調して説明される場合と、

「画像ではここが変形はしていますが、このようなことは良くあることで・・・」

と説明さえる場合では、解釈は、
180度変わるでしょう。

あるいは、活動性の説明において

「無理しないで下さいね」

「しばらく安静にして下さい」

などの指示。

これらの指示も、言い方を間違えると
恐怖回避思考・行動を助長し
回復を遅らせてしまうとされています。

医療従事者からの言葉は、
ひとことであっても、

<重く受け止められる>

ことを十分認識して
情報を発信していきたいですね。

◇恐怖回避モデルへの対応~病名~

では、恐怖回避思考・行動が強い方への
その他の対応の例もみていきましょう!

まずは、病名。

腰痛関連では、

すべり症

脊柱管狭窄症

分離症

などが

この病名が今の症状に関連しており、
腰椎にも異常があると説明されていることも
あると思います。

療法士としても
各病名の診断基準をきちんと把握し

侵害受容性疼痛や神経障害性疼痛の原因として
明確なものではないと判断できた場合には、

病名へのこだわりを
徐々に減らしていきたいですね。

そのための鍵となってくるのは、
次の項目です。

◇恐怖回避モデルへの対応~痛みがあってもしたいこと~

鍵は、痛みに注意を向けすぎないために、
痛みに関連すること以外の目標を一緒に確認すること。

つまり、

★症状に注目するより、
できている事、新たにできるようになった事
今後やりたいことなどに
注目していくのか有効でしょう。

気づいたら、痛みのことは話題になっていなかった
というのは、理想的ですね。

よく目標を確認するときに、

「痛みがなくなったら何がしたいですか?」

などと、

痛みが問題ではなくなったらやりたいことを
確認することもあると思います。

もし、
それで上手く返答が得られず、
相手の本当の望み、
本気で望んでいることがわからない
場合の質問の一つとして、

「痛みがあったとしてもやりたいこと」

という質問も、その状況で効果的だと感じたら是非、ご利用下さい。

◇恐怖回避モデルへの対応~小さなステップ

では、最後は小さなステップについてです。

ひとことでいうと、

「これならできるかも」という
課題を設定することです。

成功イメージを持っていただけるような、
心理的な負担小さくなる課題

しかし、

それは、恐怖のために回避している動作を
克服することにつながる課題がいいでしょう。

「腰を絶対曲げたくない」

と思っている場合でしたら、

側臥位など荷重負荷の少ない状態で
ゆっくり腰の屈曲を行っていく など

努力を振り返り、
成功体験を積み重なることで、
「自信」がもてるようになり
少しずつ、恐怖心が減少されていくでしょう。

・恐怖は、逃げると2倍になる けど
 
 恐怖は、立ち向かうと半減する ともいわれます。

そんな経験はありませんか?

怖かったけど、やってみたら怖さが減ってきたという体験。

その方に合った、小さなステップを一緒に設定し
励ましながら進めていきましょう。

曲げたくないと言って、動いていない、動かしいない「不動」の時間が長くなると
さらに可動性が低下し、痛みを生むことにもなるでしょう。

関連記事:腰や膝に生じる「動き始めの痛み」は、ある時間と関係があると予想される

◇ まとめ

慢性腰痛にお困りの方で、
不必要な恐怖回避思考・行動の
「負のスパイラル」に陥っている方は
少なくないと思います。

我々医療従事者の何気ない不適切な発言による
情報がその源になり得ることを十分認識しておく
必要があるとされています。

病名、画像所見、安静度の指示に留意するとともに、
相手の恐怖の感じ方に寄り添いながら、
小さなステップを設定して恐怖の克服の支援を
していきましょう!!

すべての人々の“ハッピー”のために。

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複合的腰痛アプローチ
IAIR Lumber back Pain Technology(ILPT)主宰

赤羽秀徳

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追伸

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