◇動き始めの痛み
患者さん、利用者さんからの訴えでこのような発言を聞いたことがありませんか?
「動き始める時に〇〇が痛くて・・・」
「だけど、動いちゃうと平気なんです」
そう、動き始めの痛み。。。
そして、リハビリ室で、痛みの出る動作を再現しようとしても、再現できない。。。
色々な動作をやってもらっても、
「あれ、痛くない・・・」
「おかしいな・・・」
このようなやり取りを経験したことがあるのではないでしょうか?
その場合、この「主訴」はどう扱われるのでしょう?
原因がわからないまま?
わからないままだと、その日のプログラムが立案しにくいですね。
◇ある時間と疾患の関係の調査
注目したい報告をご紹介します。
American Journal of Epidemiologyより
「Prolonged Leisure-Time Spent Sitting in Relation to Cause-specific Mortality in a Large U.S. Cohort」
余暇時間を座って過ごす場合の、時間と疾患の関係を調査した報告です。
座っている時間が長いと、死亡リスクが高まるという報告は過去にもされていました。
そのためか、企業では会議を立ったまま行なったり、デスクワークが立ったまま行えるようにスタンディングデスクというものを用いたりしているようです。
さきほどの「Prolonged Leisure-Time Spent Sitting in Relation to Cause-specific Mortality in a Large U.S. Cohort」では、主要な疾患との関係を調査しています。
その結果もダウンロードできますので、ご覧ください(英語ですが・・・)
◇6時間以上・・・
興味深い数字を発見しました。
このデータは
[余暇を座って過ごす時間が3時間未満の人]を基準にした時
[同じく座って過ごす時間が6時間以上の人]がどういう疾患を発症しているかをみています。
ガンは約10%発症率が上昇します。
心疾患は約20%発症率が上昇します。
自殺は約67%上昇・・・
とのこと。。。
そして、注目は、
【筋骨格系疾患 58% 上昇】
【神経系疾患 54% 上昇】
だそうです。
長い時間座っていることの弊害ははっきり出ています。
6時間以上の座位なんてありえない、と思われますか?
事務仕事の人は、可能性高いですね。
休日などを家庭でテレビをみて過ごしている人は、可能性が高いですね。
介護施設などで、車椅子座位で過ごす人は可能性が高いですね。
誤解が生まれないように伝えます。
3時間未満の座位時間でも、各疾病は発症しています。
座位時間を短くすれば、「発症しない」という考え方ではありません。
◇対策は
対処法はそれほど難しくないです。
座り続けなければいいので、細かく立ち上がったりするなどして、姿勢を変える、運動を行う、時間が設けられればいいのです。
6時間以上の座位時間は、3時間未満の座位時間の人に比べて、約60%ほど筋骨格系の疾患を有する危険が高まるわけです。
何故なのでしょう??
長く続く座位時間は、筋骨格系、神経系にどのような変化をうむのでしょう?
同一姿勢の持続は結合組織の組成を変化させる可能性が考えられます(理論上は)。
動きは小さくてもいい、
負荷は軽くてもいい、
筋力がつかなくてもいい、
とにかく、止まっていないことが推奨されます(と、いいながらこのコラムを座ったまま書いています)。
◇動き始めの痛みへの対策
冒頭の主訴を訴える方に出会ったら、生活パターンを細かく聴取してみましょう。
座っている時間、じっとしている時間はどのくらいあるのか?
3時間以上持続する座位時間が日常的ならば、その生活パターンは見直した方が良いでしょう。
例えば、1時間座っていたら、5分は立っているなど。。。
血圧に関する報告になりますが、以下のようなものがあります。
座りっぱなしでいることよりも、運動後に長時間座って休息を取っていることよりも、座位時間の間にこまめにウォーキング(短時間)を行なったグループで、血圧降下が得られた(男性<女性)という報告です。
座位時間を長くせずに、こまめに中断することの効果を言われています。
じっとしていることの弊害ですね。。。
結合組織の組成と運動の関係を知っていると、説明はより聞いてもらえるようになります。
説明を聞いてもらうには、「技術的に信用される」存在であったほうがよいです。
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対策を一言で言うなら、「1日のうちに何度も立ち上がって、ふらふらと歩き回ろう」というのが対策です。
最近、座っている時間が長いな、という方は気をつけましょう。
読書も立ち読みの方が集中できるらしいですよ。
*参考文献
Prolonged Leisure-Time Spent Sitting in Relation to Cause-specific Mortality in a Large U.S. Cohort
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