皆さんこんにちは。
IAIR関東の藤田智史です。
第4/5腰椎の椎間板ヘルニアでは、足祉の伸展、なかでも母趾伸展筋力の低下は重要な情報とされます。
下腿前面にはどのような筋が走行するかを見ながら、テストの1例を見ていきたいと思います。
下腿前面に付着する筋群
下腿前面には前脛骨筋、長趾伸筋、長母指伸筋、第三腓骨筋などが付着しています。
下腿近位部で筋腹を触診できるのは前脛骨筋と長指伸筋ですが、その外側には長腓骨筋があります。
もっとも内側に位置するのが前脛骨筋であり、一番外側は長腓骨筋、その間が長指伸筋となっていますね。
前脛骨筋は内返し+背屈、長指伸筋は外返し+背屈で触り分けることもできますが、
どのような位置関係にあるかを念頭に置くことでより触診も正確にできます。
前脛骨筋の張力が強いと
- 横アーチは内側楔状骨や母趾中足骨底を過剰に回外することでアーチが下がる恐れがある。
- 内側縦アーチは内側楔状骨を中心にアーチが高くなる。
といったちょっとややこしいことが起こる可能性もあります。2)より参考
遠位部
遠位部(足関節前面)では、前脛骨筋、長指伸筋、長母指伸筋の腱をそれぞれ
触り分けることもできます。
- 前脛骨筋:足趾の伸展をさせないように足関節を背屈。
- 長指伸筋:足関節底屈位で足関節の背屈をさせないよう2〜4趾を伸展。
- 長母指伸筋:足関節底屈位で足関節の背屈をさせないよう母趾を伸展。
長母趾伸筋
起始:腓骨及び下腿骨間膜
停止:母趾の基節骨で一部は末節骨底
深腓骨神経(L4〜S1)
<母趾の背屈と第4/5腰椎の問題>
第4/5腰椎の椎間板ヘルニアでは、足祉の伸展、なかでも母趾伸展筋力の低下は重要な情報とされます2)。
その際に抵抗を加える部分をしっかり決めておかないと再現性の低い評価になってしまうので
どの部分に抵抗をかけるかを常に決めておくことが大切です。
個人的には末節骨部分に抵抗をかけてしまうと、力が強くかかりすぎてしまうため、
MP関節より若干遠位部に抵抗をかけるといいかと思います。
まず指標は、もちろん明確な筋力低下があるかですが、個人差もあるため左右差から比べるといいかと思います。
(場合によっては左右とも異常ある方もいますが・・・)
またその時に、
- 通常の背臥位
- 腰椎屈曲位(両股関節・膝関節屈曲位)
- 腰椎軽度伸展位(タオルなどたたんで腰部に入れるといいかと思います)
の3つで比べてみるのもいいかと思います。
理由としましては、
腰椎が中間位、屈曲位、伸展位にて椎間板や周囲の筋をはじめとする組織の位置、伸長度などが変化するため、
どのような状態を招くことでその方にとって問題があるかなどの判別の材料になるためです。
(もし母趾背屈力が回復するようであればそれをセルフexにするという考え方もありますしね。)
※明らかな運動麻痺などがあるまたはレッドフラッグが見られるなどの時はDr.に相談をしましょう。
http://urx.blue/Lbqk
膝の解剖触診などの記事のまとめ
- 内側半月板と○○筋と骨運動
- 鵞足部の触り分け
- 縫工筋を指標に探す神経〜股関節外側部と膝関節内側部の知覚〜
- 内転筋管での神経絞扼の評価方法の1例など
- 3つの線維の内側側副靭帯と外側側副靭帯
- 膝関節術後の拘縮予防と内側膝蓋支帯との関係など〜膝関節前面の静的安定作用の組織〜
- 強く押してはいけない膝裏の硬い線維
参考、引用文献・画像
- 1)Visible Body Muscle Premium
- 2)林 典雄著:運動療法のための機能解剖学的触診技術 下肢・体幹
メジカルビュー社 2012 - 3) ジャン=ピエール・バラル / アラン・クロワビエ 共著:
新マニピュレーション・アプローチ<下肢> 科学新聞社 2014年
お読みいただきありがとうございました!
IAIR 関東支部
認定インストラクター
藤田 智史
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