【炎症を理解する】そのリハビリテーションは回復の妨げになっているかも

*2018年7月31日の記事を加筆修正しています。

 

炎症の最終段階は「成熟期」と言われます。

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◇炎症成熟期

9日目以降に始まると言われる「成熟期」ですが、持続期間は長く、1年以上続くケースもあります。

成熟期は、

  • 線維芽細胞
  • マクロファージ
  • 毛細血管

などの数が減っていきます。

組織の水分含有量も減っていきます。

腫れが引いていくのは、この水分量と関係がありそうですね。

 

毛細血管の減少により、瘢痕組織は白っぽい外観になっていきます。

この成熟期の目標は損傷前の機能を取り戻すことにあります。

 

 

◇コラーゲンの合成と分解

現在、複数タイプのコラーゲンが発見されていますが、この成熟期間中に合成されるコラーゲンは圧倒的に1型といわれます。

1型コラーゲンは、増殖期に現れる3型コラーゲンよりも強いコラーゲンです。

 

 

損傷部に集まったコラーゲン(増殖期〜成熟期では主に1型)は、成熟期全体を通して、合成と分解が行われます。

炎症期に起こるホルモン分泌により、コラーゲンの架橋結合の破壊がおこります。(酵素 コラゲナーゼによる)

 

 

◇瘢痕組織との関係

コラーゲン合成は酸素に依存すると言われます。

つまり、酸素濃度が低下した環境では、コラーゲン合成よりもコラーゲン分解の方にバランスが傾くということですね。

 

 

毛細血管が豊富な瘢痕組織では、血液の供給が保たれると考えられ、それは、酸素濃度を保つことにもつながります。

 

その結果、コラーゲンの合成のバランスが上回り、瘢痕組織にコラーゲンの沈着、組織の肥厚が起こる可能性が考えられます。

酸素供給が少なければ、分解が上回り、瘢痕組織は柔らかい状態で経過することでしょう(理論的には)。

 

 

組織を圧迫することのメリットはこういう部分でしょう。

 

 

◇炎症成熟期のリハビリテーション

瘢痕組織に対して、伸張などの機械的ストレスが加わると、その組織構造が変化します。

損傷部位に対して、適切な時期に、適切な刺激量の、ストレスが加わることは、組織の修復につながります。

 

例えば、修復状況に対して、大きすぎるストレスを加えてしまえば、瘢痕組織に再び破壊が起こり、炎症をやり直すことになります。

 

例えば、修復状況に対して、あまりにもストレスを加えすぎないと、瘢痕組織に適切な強度が生まれず、小さな外力に対して容易に壊れる組織となってしまいます。

また、コラーゲンの沈着による組織合成が進み、「運動性」の乏しい修復につながります。

 

 

つまり、どちらも、最大の目的である「損傷前の機能を獲得」することに到達ができません。

リハビリテーションの重要性はここにあるのではないでしょうか。

損傷部位の修復状況を確認しながら、適切なタイミングで、適切な負荷を加えていく。

 

ストレスは良くない、と一般的な認識では知れ渡っていますが、適切なストレスは組織の修復、成熟を促します。

リハビリテーションの担当者にはその判断が求められます。

 

 

◇炎症の結末

炎症によって起こるそれぞれの段階は、回復に向かう次のステップにとって必要な反応です。

 

 

そうやって、必要な反応(症状として表れることもある)を経過していくと、症状が治まり(消炎して)、損傷部位が以前と同等の組織に置き換わることが可能になります。

 

これが、最も望ましい結末といえますね。

しかし、現実にはそのほかの結末も存在します。

それは、瘢痕形成したままの治癒、膿瘍、慢性炎症です。

 

 

◇おわりに

炎症の回復過程における、それぞれの反応についてまとめてきました。

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事故や怪我のあと、リハビリテーション介入が行われなかったり、介入があっても不適切なリハビリテーションが行われると、損傷前と同等の機能を持った組織に回復することが困難になります。

 

 

適切に介入するには、タイミングに応じた「判断」が必要になります。

「判断」のためには「知識」が必要になります。

そして、その知識の根拠となる学説は、徐々に新しいことが解明されていっています。

古い知識を根拠にした介入方法は、いずれ「まちがった方法」として紹介されることになるかもしれませんね。

 

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