急性期炎症

【痛みが強い】急性期の炎症のピークが過ぎた時こそ要注意!

怪我、病気、手術の後にみられる急性期の炎症反応についてまとめるシリーズです。

患者さんは痛みや腫れといった症状が強く、辛い時間を過ごします。

 

しかし、「早く治るために」と、無理をしたりさせたりすると、逆効果だったりします。

 

急性期の炎症が過ぎた後は、体はどうなっているのでしょう?

【炎症を理解する】炎症反応を整理してリハビリに生かす

【炎症を理解する】炎症初期に体で起きていることは治るための第1歩だった

の続きです。

 

急性期炎症のピークの後

怪我をしたり、病気をした時の、最初の急性炎症期に現れる猛烈な症状、反応は、炎症初期の化学反応として説明ができます。

そして、それは、あってはならないもので排除する対象であるかというと、そうではなく、むしろ治癒のために必要な反応でした。

 

炎症反応は「炎症期〜増殖期〜成熟期」という過程をたどり、治癒に向かいます。

痛みや熱が出る、めまぐるしいイベントの後、体は何をするのでしょう?

痛みが落ち着いて、リハビリがメインになる時、どんなことに注意するのでしょう?

 

急性期後の増殖期

欠損部の治癒過程、第2段階は「増殖期」と呼ばれます。

 

増殖期の大きな目的は「損傷部を覆ってそこに強度を与えること」にあります。

 

早ければ3日目くらいから始まり、長いと20日くらい続きます。

 

損傷部位に対して、癒合と閉鎖をなしとげるために、次の4つの過程が同時に起こります。

  • 上皮化
  • 線維増殖
  • 創傷収縮
  • 血管新生

 

一つずつ見ていきましょう

 

上皮化

上皮化=表皮の再建

と、成書には書かれています。

 

上皮化で求められることは「ひとまず蓋をしよう」というふうに考えられるでしょう。

 

怪我にしろ、病気にしろ、組織レベルでは欠損している状況です。

連続性が失われているわけですね。

 

連続性が失われていて、組織欠損状態が続くと、細菌感染の危険性などが高まります。

また、欠損部に蓋をすることで、体液や電解質の喪失を防ぐ狙いもあります。

 

創傷部位の近くの正常な上皮細胞が繁殖して、遊走してくることで表面に蓋がされていきます。

 

しかし、この「蓋」は強度的には不十分で、機械的負担に耐えることができない。

つまり、「蓋はしたけど破けやすい」状態なのです。

 

とりあえず、蓋をしただけの状態であり、治癒したとは言えない段階です。

 

痛みや腫れといった急性炎症期の反応が落ち着いたからといって、まだ治ったわけではないということですね。

 

 

線維増殖(コラーゲン生成)

線維芽細胞が増殖し、コラーゲンを合成した結果、コラーゲン分子の架橋結合によって張力が生まれます。

張力が生まれ、創傷部位を保護し始めると言っても、この時のコラーゲンはまだ薄く脆弱です。

(大量のコラーゲンが集まって来ますが、その張力は正常時の15%ほどと言われます)

 

この線維増殖のためには「酸素、アスコルビン酸、亜鉛、鉄、マンガンなど」が十分に供給されていることが重要です。

 

「栄養不足だと、傷の治りが遅い」というのは、こういうところとつながります。

 

 

線維芽細胞はヒアルロン酸(グリコサミノグリカンの一種)の生成も関与します。

 

ヒアルロン酸は水分子を引きつけます。

水分子は細胞内基質の量を増やし細胞の遊走を促します。

 

これら、コラーゲンとヒアルロン酸の関係が瘢痕組織形成につながるとも言われます。

 

かといって大量のコラーゲン沈着は過度の瘢痕形成につながり、将来の機能制限につながる恐れがあるので、速やかに経過させたいところです。

 

すなわち、強度が足りていない時に過剰な機械的な負荷(メカニカルストレス)がかかること自体が、炎症反応を長引かせることにつながるという考え方ですね。

 

リハビリの強度には慎重さが求められます。

 

創傷収縮

蓋をして(上皮化)、コラーゲンが集まり(線維増殖)強度を増した後、損傷部分が修復するための最後の力は、欠損部の両端を引き寄せる力(収縮)です。

筋線維芽細胞によって行われ、2週間後くらいでピークを迎えると言われます。

 

この筋線維芽細胞の数が多いと収縮のスピードも上がります。

ただ、この収縮も強くなり過ぎれば、拘縮につながってしまいます。

 

 

創部の縫合が有効なのは、この収縮を必要最小限にするためでもあります。

 

形成された瘢痕組織に神経終末が入り込んで来ます。

その目的は「未成熟な組織を保護するため」にあります。

 

「痛い」と感じることで、治る途中の組織を再び傷つけずに適切に経過させるのです。

「痛い」ことは悪いことばかりじゃないようですね。

 

まだ壊れやすい組織なのに「良くなって来たから」とか「これくらいの痛みなら」っていう考えで「無理する」と最終的に治癒までの道が遠のくこともあるということですね。

 

 

かといって、「痛いから動かさない」というのは過度のコラーゲン沈着につながりそうです。

線維組織を動かすことは重要ですね。

 

血管新生

負傷した後、治癒しつつある組織に酸素と栄養を供給する目的で新しい血管が入り込んでいきます。

細動脈が入り込んでいくことで、瘢痕組織は赤く見えるようです。

 

酸素と栄養の供給によって治癒が進むと、次第に機能しなくなり退縮していき、瘢痕組織は白っぽく見えてくるようです。

 

そうなる前の赤く見える時というのは、まだ血管壁は薄く壊れやすいです。

赤くなっている段階でのメカニカルストレスは、再出血の可能性が高いです。

 

再出血になれは感染の危険性は上がりますし、出血は最終的に瘢痕化、癒着を強めることにも結びつきます。

また、再出血は浮腫を作る原因にもなりますので、機能制限を助長させます。

 

リハビリにおける負荷量の見極めが重要ですね。

 

◇まとめ

炎症反応が落ち着いて来た時の体の反応についてまとめました。

痛みが落ち着いたからといって、過度な負荷を加えると、治癒が遅れるというのは、肌感覚で経験していると思います。

体の中で起きる反応が理解できると、経験も違ったものになってくることと思います。

 

リハビリは怪我や病気の直後にスタートする場合もあります。

組織の治癒過程を知ることは、適切なリハビリ介入の助けになってくれることでしょう。

 

関連記事

【炎症を理解する】炎症反応を整理してリハビリに生かす

【炎症を理解する】炎症初期に体で起きていることは治るための第1歩だった

 

 

組織学的に何が起きているのか、という考え方をベースにしたアプローチ方法が組織滑走法というものです。

【組織滑走法®︎】About TGA

 

組織滑走法(TGA)では、結合組織の存在にフォーカスしています。

なぜ、結合組織なのか?

リハビリの臨床現場で起きていることを考察する際に、驚くほど有効です。

オンライントレーニングはこちらから

 

 

 

*お知らせ

リハビリや世の中のことを斜めから見つめたメルマガ「福田のメルマガ」

毎週月曜日11:30にこっそりと無料でお届けしています。

登録は無料で、いつでも解除できます。

登録はこちらから。

 

参考図書

EBM物理療法 原著第4版


Scroll to top