【肩関節周囲炎】痛みが改善しない理由

From.IAIR 福留良尚

  

肩関節周囲炎という疾患は、医療技術の発達により、その多種多様な病態を分けて診断することが可能となったため、「肩に痛みや可動域制限があれば肩関節周囲炎」という考え方は(無礼な言い方を敢えてするのであれば)時代遅れであると言っても過言ではありません。 

  • 腱板断裂
  • 石灰沈着
  • 上腕二頭筋長頭腱炎
  • 腱板疎部損傷
  • 不安定症など

 痛みに繋がる原因が突止められるようになりました。

  

実際インターネットで肩関節周囲炎と検索すれば、誰でも知ることが出来ます↓

 「肩に疼痛(痛み)と運動障害がある、患者の年齢が40歳以降である、明らかな原因がないという3条件を満たすものを肩関節周囲炎と呼ぶ」(誰もが見るWikipediaで書かれていることです。

 

「肩関節周囲炎」という疾患名は、明らかな原因がない場合につけられる非常に曖昧なものを表す言葉になっているのです。

  

肩関節周囲炎のリハビリテーション

 実際の臨床現場で、これらの鑑別とそのアプローチについて、それぞれの個別性を加味して実施できているかというと、正直なところ自信がないのが現状ではないでしょうか。 

  • 可動域訓練
  • モビライゼーション
  • 筋力トレーニング
  • 自動運動などの体操

 項目だけ並べるとこのような感じになるかもしれません。

 では、肩関節周囲炎の理学療法には根拠がないのでしょうか?

  

理学療法介入の推奨グレードとエビデンスレベル

推奨グレード2(行うように勧められる科学的根拠がある)

 エビデンスレベル2(1 つ以上のランダム化比較試験による)

 (肩関節周囲炎 理学療法診療ガイドラインより)

 

この結果を見ると、「理学療法は根拠もあるし客観性もある」となっていますが、注釈にはこのように書かれています。

 「※エビデンスレベルが 1 または 2 の結果であっても、その RCT の症例数が十分でなかったり、企業主導型の論文のみしか存在せず再検討がいずれ必要と判定した場合は、「理学療法介入」の推奨グレードを一段階下げて「B」とした」

  

つまり、「肩関節周囲炎に対する理学療法介入による効果は検討していく必要がある」ということ。

 

これだけ研究され論文が数多く出ていても、理学療法とは完成されたものではないということになります。

  

根拠に基づく医療

 「根拠に基づく医療」という言葉が提唱されていますが、実は勘違いしている医療従事者が多いのも事実です。

 こちらも引用になりますが、非常に興味深いです。

 

医療者の中には「良い臨床研究を見つけて医療をマニュアル化することがEBMである」との誤解が広まった時期がある。また、研修医の教育においても、EBMの考え方を取り入れることが、単にエビデンスをまとめた二次資料を読んでそこに書いてあることをそのまま実行することとして教えられているという憂慮すべき現実もある。しかし、実際には最も重要でありかつ労力を要するのはStep4(批判的吟味した情報の患者への適用)である。手法の優れた臨床研究が見つかっても、そこでの推奨が目の前の患者にとって最善であるかどうかの判断には、個々の患者の特性を見極め、医療環境や医療チームの技術水準を評価し、さらに患者の価値観を適切に把握する必要がある。(Wikipedia「根拠に基づく医療」より)

 

最後の文章は秀逸ですが、つまり「その人の価値観や特性を見る目がなければ、どんなにエビデンスが高いと言われる治療法を知っていても、それは意味を成さない」ということです。

 私たちリハビリテーションに携わるセラピストも一緒のはずです。

 その患者さん利用者さんが、どんな生活を望んでいるのか?それを引き出せる人としてのコミュニケーション能力を有しているでしょうか?

  

肩の痛み・可動域制限へのアプローチ

 ここまでお話して、実際のアプローチに関して述べないのはよろしくありませんね(笑)

 どんなアプローチも日進月歩していく中で、常に必要な技術とは何でしょう?

 理学療法、または作業療法を行う上で、セラピストが最も重要視しないといけないことは何でしょうか?

 

私は「その特性を感じることが出来る手を育むこと」であると考えています。

 

如何に技術が素晴らしいものを持っていても、対象とする組織(筋、関節、筋膜、結合組織など)の硬さ、抵抗感を感じることが出来なければ、下手をすると暴力的なアプローチになってしまう可能性があります。

 ですよね?

20代の柔軟な組織にアプローチするように70代の体に触れば、内部破壊が起こるのは容易に想像が出来ます。(ミクロレベルの話で言えば破壊は起こっているのですが…)

  

エビデンスの高いアプローチをいくら知っていても、それを扱うセラピストの感じる力がザルであれば、宝の持ち腐れとしか言えません。

 だからこそ、触診の技術と、相手の組織の触れられる感覚をお互いにフィードバック出来る環境、つまり「セラピスト同士での練習」が必要なんです。

 

 職場でお互いに練習してそれを伝え合うことを、是非普段のルーティンにしてください。

 毎日の積み重ねが、感じる手を作ります。

 技術に関して知りたい方は、コチラ↓で手取り足取りしっかり学ぶことが出来ます。 

 

それでは最後まで読んでいただけて感謝です。

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一般社団法人 国際統合リハビリテーション協会

理事 理学療法士 福留良尚

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福留 良尚

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国際統合リハビリテーション協会常任理事 IAIR九州専任講師 理学療法士 コンディショニングサロン仁愛クリニカルルーム代表 3児の父 
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