高齢者の転倒予防 バランス戦略を取り入れたトレーニング

高齢者の転倒は、骨折や頭部外傷のリスクが高く、病院や施設、もちろん在宅においても適切に対応すべき課題です。

内因性の問題、つまり患者個人の身体能力や認知能力の問題と、外因性、生活環境における問題とは分けて考えなければならず、セラピストには多方面からの患者マネジメントが求められるでしょう。

どちらの課題も患者にとっては重要ですが、我々にしか解決できない問題は果たしてどちらか?

 

これは、もちろん身体能力の問題です。

 

ですが、臨床では良くこんな言葉を耳にします。

「高齢だから歩くのは難しい」

「後遺症があるから在宅は厳しい」

 

もちろん、真実だと思います。

身体の著しい機能低下に対して、抗えない状況の患者を担当することもあるでしょう。

 

少し考えて頂きたいです。

疾患、後遺症、年齢、既往歴、痛み、全ての問題が「歩くことは難しい」と判断する要素になったとして、患者の希望が「歩きたい」だった時、どのような言葉を掛けるでしょうか?

歩けるようになりたいという強い思いがあったとしても「歩くのは無理だ」という言葉を掛けるでしょうか?

いろんな障壁があって到底不可能だと思ったとしても「無理」という言葉は使わないんじゃないでしょうか?

 

何とかしてあげたいと思うはずです。

何とかしようと文献を読んだり、先輩に相談したりするはずです。

 

セラピストに限らず、人は「情報」を頼りに行動の選択をします。

  • 疾患
  • 後遺症
  • 年齢
  • 既往歴
  • 痛み

これらは全て情報であり、患者の希望も情報です。

その情報のイメージだけでリハビリの内容を変えていないでしょうか?

 

「高齢だから歩くのは難しい」

「後遺症があるから在宅は厳しい」

 

歩くのが難しいという選択をする時、あらゆる患者情報を加味して決定しなければならないはずです。

「高齢だから」「後遺症が強いから」といった、一般的にはこうだからという情報に当てはめてはいけないと思います。

 

…脱線しています(笑)

 

今回のテーマは「高齢者の転倒予防に関するトレーニング」です。

既に長くなっているので、観るポイントを簡潔にまとめていきたいと思います。

 

バランス戦略

高齢者に限らず、人は立位でバランスを取る時、3つの戦略によって制御を行っています。

この戦略のことを「ストラテジー」と表現します。

 

①足関節ストラテジー

足関節の底背屈によって前後の重心移動に対応する身体のバランス戦略です。

大きな動きではなく、少しの動揺の際に働くこの機能は、実は高齢者になるほど使われにくくなる傾向にあります。

理由は、足関節の硬さ、前脛骨筋と下腿三頭筋や後脛骨筋のバランスの崩れ(マッスルインバランス)によるものと考えられます。

この機能が低下すると、膝を曲げたり腰を曲げて、身体を固定しようとする代償が働きます。

 

②股関節ストラテジー

重心移動の範囲が少し広くなると、足関節では制御しきれなくなるため、この股関節の屈伸や内外転の制御が行われます。

重心が支持基底面を外れない範囲では、この股関節ストラテジーがバランスの主戦略になります。

 

③ステッピングストラテジー

重心が支持基底面を外れてしまう時、足が一歩出る反応をステッピングストラテジーと言います。

これによって、不意にバランスを崩した時も、倒れることなく立位を保つことが可能になります。

 

この3つの中で、前述の通り足関節ストラテジーの機能改善は、大事なプログラムになります。

動作の中で、絶えず足関節ストラテジーが機能しているからこそ、抗重力伸展活動や、ADL場面での上肢の使用が可能になるからです。

足関節が使えなければ、身体は屈曲して、膝は曲がり、余計に歩きにくくなるのは周知の事実です。

 

しかし、この視点がないセラピストは「体幹の筋力が弱いから」「麻痺があるから」といった症状にばかり目がいってしまい、人体の本質が見えていない現状があるような気がします。

身体のあらゆる情報を加味し、クライアントの思いを汲み取り、その上で客観的かつ信頼性のある判断をして、プログラムを進める。

気持ちだけでは患者は良くなりませんし、それ以上に患者に寄り添えないのは言語道断だと考えています。

 

技術、コンセプト、そして人間性をも育むことが出来るのが、IAIR研修会の特徴です。

 

それでは最後まで読んでいただけて感謝です。

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国際統合リハビリテーション協会

理事 理学療法士 福留良尚

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福留 良尚

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国際統合リハビリテーション協会常任理事 IAIR九州専任講師 理学療法士 コンディショニングサロン仁愛クリニカルルーム代表 3児の父 
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