*この記事は2018年6月19日に掲載したものに加筆修正をしております。
新人や学生ができること
学校を卒業したばかりで、自分には大してできることがなく、できることといえば関節可動域訓練(ROM ex)ぐらい。。。
と嘆く人向けに、解剖学的な構造を知ることで「関節を動かすだけ」でも効果に繋げられる、という話です。
PT,OT,STの新人や学生は、自分が解決できる範疇じゃないと、問題点として認識しない、という仮説を私は立てています。
関連記事:学生、新人が問題点に気づけない理由
「解決できる問題である」と気づけないのであれば、それは問題として認識されない。
これはごく当たり前の話です。
卒業したての療法士や、臨床実習生が「治療技術」を持ち合わせているか?
答えはNoだと思います。
治療の経験も「限りなくゼロ」に近い状態です。
学校で学ぶことは「治療」というよりもまずは「国家試験に受かるための」知識が重視されます。
それでも「関節を動かすこと」は体験してきています。
その「関節を動かすこと」一つ取っても、かなり考えることがあります。
新人でも学生でもできる「関節可動域訓練(ROM ex)」について深掘りしてみます。
関節可動域訓練?ストレッチ?
学校で学んだことをベースに臨床に出てみると、何は無くとも関節可動域(ROM)を測定しますね。
そして、その可動域が標準値に満たない場合や、左右差がある場合、ひとまず「問題点である」と認識します。
それから、「なぜROMが制限されるのか?」という制限因子を深く追求することなく、制限された方向へ動かす(反復する)。
関節運動の最終域、抵抗感の感じやすい範囲を重点的に動かす。(ROM ex)
こんな感じが多いのではないでしょうか?
少なくとも、私が新人の頃はこれに似た状態でした。
少し知識がついてくると、制限された運動方向の拮抗筋を対象にストレッチするようになります。
(例えば、膝関節伸展制限の時のハムストリングス ですね)
そして勉強していくと、相反抑制を取り入れてみたり、筋収縮後の弛緩効果を狙ってみたりと、ただの関節運動やただのストレッチに生理学や解剖学の理論を足していきます。
そうするとどうでしょう?
期待していたほどの効果は得られなかったのではないでしょうか?
勉強して手に入れた知識や、先輩の真似事をしているけど、期待した効果は出てこない。
きっと、秘伝の技があるに違いない。
自分が下手だから、その技ができないのではないか?
その技さえできれば・・・
そんな期待を持って、学会やら研究会やら研修会やら、さまよう旅が始まります・・・
効果を構造と性質から考える
何か効果的な方法があって、それが身につくのなら、さまよってもいいと思います。
私自身もさまよった期間がありましたけど、個人的には、さまよった期間は無駄ではなかった、と感じています。
(無駄ではないはず、と言い聞かせている部分もありますが。。。)
魔法の技は、、、存在しないと思います。
なので、「関節運動を制限している」という状況と、何か介入した効果について、「体の構造と性質」から考えてみましょう。
筋組織
ストレッチの話題が出たので、今回は筋組織をターゲットにします。
脳からの遠心性のインパルスによって、筋が収縮して骨が動く。
自動運動であればこんな仕組みになっています。
(かなり簡単に説明していますが・・・)
自動運動であろうと他動運動であろうと、共通していえることは、「筋組織は隣り合う組織と接している部分との間で滑走が起こっている」ということです。
筋組織が伸張されたり収縮したりする際に、隣り合う組織とくっついていたら、筋収縮が正常に行われたとしても、筋長に変化が起こりません。
筋の長さが変わらないということは、空間上を骨が移動できないことになります。
つまり関節可動域に制限が生じる、という現象が生まれます。
ROM制限の原因は筋の短縮か?
例に挙げたように、股関節可動域制限の原因を「大臀筋の短縮」という風に処理してしまうと、効果は現れないでしょう。
そうではなくて、原因を「隣り合う組織の滑走を妨げているもの」を考えられたら、ストレッチでも単純に骨を動かすでも、効果は期待できます。
その「滑走を妨げる」原因として着目するのが筋組織間の隙間を埋めている
「線維性結合組織」
「間質液」
といった人体の構造です。
間質液などの移動によって、隣り合う組織の滑走事情が変わってきます。
関節可動域制限の原因として筋にフォーカスした時、
間質液などの流動に変化を生み出せれば、
普通のストレッチや、従来のROM exでも効果が得られることでしょう。
実際の方法に関しては、文字では伝えきれませんので、是非実際にお会いしてお伝えできれば、と思います。
概念などの解説はこちらのページをご覧ください。
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