From.IAIR 福留良尚

 

 

肩に痛みがある患者さんの多くは、肩関節機能障害があると文献、あるいはインターネット上で検索すると必ず出てきます。

 

「肩関節機能障害」って何でしょうか?

 

具体的に患者さんへ説明するとき、どのように説明すれば理解されるでしょうか?

 

 

医師は、画像所見や整形外科的テストによって診断をしますが、我々セラピストがするべきことは違います。

 

  • 何故肩が痛くなったのか
  • どのようなリハビリをすれば痛みが改善するのか
  • これから痛くならないようにするにはどうすればいいのか

 

 

今回は、インピンジメント症候群について病態解釈と、そのリハビリテーションについて考えていきます。

 

 

 

インピンジメント症候群

 

インピンジメント症候群とは、肩挙上時に上腕骨骨頭の大結節が烏口肩峰アーチを通過する際、腱板が肩峰下と衝突し、疼痛を引き起こすという病態です。

 

インピンジメント(Impingement)とは、衝突する、突き当たるという意味を持ちます。

 

この不自然な状態が続くことで、肩峰下の組織(棘上筋腱、肩峰下滑液包、上腕二頭筋長頭、上部関節包)が圧迫を受け、炎症が起こったり、長期化した場合、石灰化することも考えられます。

 

 

(参照 筋骨格系のキネシオロジー,原著者:Donald A.Neumann,監訳者:嶋田智明 ,有馬慶美,医歯薬出版株式会社 以下同)

 

 

もう少し詳しく考えていくために、肩甲上腕関節の関節包内運動を振り返ってみます。

 

肩に限らず、全身の関節は、その運動の際「転がり―滑り運動(凹凸の法則)」が起こります。

 

肩関節の場合、凹面に当たる関節窩の形状が、凸面に当たる上腕骨頭に比べてかなり小さくなっています。

 

 

前述の通り、上腕骨頭の十分な下方滑りが行われないと、烏口肩峰アーチに上腕骨頭が衝突し、その間にある組織を挟み込んでしまうことになり、痛みを伴ったインピンジメント症候群となります。

 

 

 

上腕骨頭の下方滑り

 

上腕骨頭の下方滑りが出現するメカニズムについては、凹凸の法則だけでは説明が出来ません。

 

何故なら、関節運動には必ず筋活動が伴うからです。

 

 

しかも、肩の外転運動の際には、骨頭の回旋運動も同時に生じますので、三角筋や棘上筋といった肩の挙上の主動作筋だけでは説明が出来ません。

 

肩の動きに関与する全ての筋活動が、どれだけコントロールされているか。

 

その評価とアプローチを出来るかが、患者さんにとっては重要なことです。

 

 

肩の機能とは、関節の形状、そして周囲の筋活動、更には肩甲骨や脊柱といった「肩を支えるための部分」、それらの機能を加味せず、単純な他動運動、関節可動域訓練をし続けているセラピストが多いのが現状です。

 

 

筋活動のコントロールが目的であるはずなのに、ひたすらストレッチし続けるリハビリに、意味はあるのでしょうか?

 

 

 

関節包内運動の改善

 

関節包内運動を促していくためには、相応の関節内空間が必要になります。

 

つまり、骨頭が下方へ滑り込める空間があるか、ということです。

 

 

その上でアプローチすべきポイントの一つが、下部関節包の柔軟性です。

 

 

関節包が緩み、骨頭が下方へ滑り込んでくるのを邪魔しなければ、肩峰下に対する挟み込みは起こりません。

 

関節包には、多様な感覚受容器が存在しています。

 

いわゆる固有感覚と言われる、周囲の筋活動をモニターするための受容器や、伸長刺激に対する受容器も存在しています。

 

今回注目して頂きたいのは、振動振幅刺激で、この刺激が関節包に届くことで、周囲の異常な筋活動を抑える効果があると言われています。

 

 

 

肩関節リハビリテーション

 

患者肢位:背臥位

肩関節:体側に置かれた状態で前腕回内位

方法:セラピストは肩の上方に位置し、上腕骨頭(大結節)にコンタクトして、軽く骨頭を下方へ押し込んで、組織(下関節包)の抵抗感を感じながら、止まるポイントで振動振幅刺激を30秒~60秒加えていきます。

 

※痛みを感じたり、違和感がある場合には止めます。

 

 

その後、再評価を行って肩の動きの感触を確かめます。

 

 

ここで一番難しいのは、上腕骨頭への触診です。

 

繊細な技術が要されますので、実際にその技術を学んでみたいという方は、以下の研修が有効です。

 

 

 

また、肩へのアプローチの方法を学んでみたいという方は、以下を推奨します。

 

 

 

インピンジメント症候群とは、組織が硬くなったり、筋活動のバランスが崩れてしまったことによる結果です。

 

我々セラピストは、その根本原因に対処できる技術と考え方を身に付けなければなりません。

 

 

それでは、最後まで読んでいただけて感謝です。

(画像参照 筋骨格系のキネシオロジー,原著者:Donald A.Neumann,監訳者:嶋田智明 ,有馬慶美,医歯薬出版株式会社)

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一般社団法人 国際統合リハビリテーション協会

常任理事 九州地区責任者 理学療法士

福留 良尚

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