前回まで「収集した情報の可視化」と「全体像の把握」を行いました。
リハビリのプロセスから言えば……
1、医師からの指示。2、情報収集。3、統合と解釈・全体像の把握。4、問題点の抽出。5、目標設定・治療計画。6、リハビリの実施。7、全過程の評価。8、必要な項目の実施、修正。9、再計画と再実施。
ようやく「3」の統合と解釈に進む前提情報が集まりました。
今回は、統合と解釈を進めていきましょう!
統合と解釈とは?
「統合と解釈」
定義:二つ以上の物をまとめ、それを受け手側が噛み砕いて理解すること。
*一般社団法人 国際統合リハビリテーション協会 会長 森本 義朗「統合と解釈の捉え方」より
と「学生さんと行う初めての統合と解釈(1)」で紹介しました。
前回のICFにあわせて書き出したことで、全体像が見えており、その人が見えてきていますね。
全体像を文章化した時点で、統合はほぼ終わっています。
バラバラになっていた点の情報を線でつなぎ、一人のひととなりました。
イメージとしてはこんな感じでしょうか。
情報を統合する
情報ひとつひとつは何かの現象を示しています。
ですが、関連性を見つけ、グループ化し、収束させていかないと、取り散らかったままです。
整理し、グループ化した情報に名前をつけ、ひと塊りにすることで分かりやすくなります。
例えば……
- 「大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋」
と書くのか……
- 「ハムストリングス(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)」
と書くのかで、判りやすさが変わります。
(*身近なところにも、グループ化して名付けられたものがあります。見つけてみるのも面白いですね)
この流れをグルーピングとラベリングといいます。
そして解釈が始まる!
皆さんが日常、頭の中で行なっていることを可視化しつつ説明していくと、3週間分のコラムになっちゃうんですね。
そりゃあ、学生さんに説明するのも大変ですね。
なので、学生さんには丸投げせず、一緒にここまでの思考プロセスを共有していくのがベスト!
前回と前々回のコラムも是非参考にしてくださいね。
さあ、お待たせしました!
ようやくですが、解釈を始めましょう。
そもそも解釈する目的はなに?
始める前に、大前提を確認しましょう。
何の為に解釈をすすめていくのですか?
「その方の真の課題を発見するため」ですよね?
評価のための評価をするな、と口を酸っぱくして言われてきたように、解釈の為の解釈をしちゃダメです。
そこで提案するのは、この書き方です。
SMS「Box16」で解釈を始めよう!
思考の可視化ツールとして紹介しているSMS(齋藤式マネジメントシート)。
今回は、更に線を付け足して、項目を書き入れました。
縦軸に「フィジカル」、「メンタル」、「周辺環境」、「その他情報」を。
横軸に「事実」、「解釈1:客観的視点」、「解釈2:感覚的、感情的視点」、「課題」としました。
今回提供しているSMSはA4サイズのものですが、ホワイトボードや模造紙、テーブルにマスキングテープでBoxを作って付箋に情報を書く、でもOK。
とにかく! ポイントは、各Box内に縦軸と横軸の要素を併せ持った情報を書き加えればOKです!
- 事実から、客観的視点でどんな解釈をしたか?
- 事実から、感覚的、感情的視点でどんな解釈をしたか?
- 解釈1、2を踏まえて、その方の真の課題は何か?
を書き加えてみましょう!
そして考察へ……
真の課題……ここで迷ったかもしれませんね。
いいんですよ。まだ仮説で。
療法士だけでは「この方の真の課題はここであろう」までです。
ご本人の意志と希望もあるでしょう。チームで見たらまた別な視点が見つかるかもしれません。
なので仮説です。
でも、そのままでは説明もあやふやになってしまいます。
そこで次回は、考察を検証するための5つの質問について紹介します。
今回はここまでにしますので、是非「真の課題(であろう)」をみつけるところまで書いてみましょう!
次回の考察編をお楽しみに!
IAIR副会長 作業療法士
齋藤 信
追伸:SMSはこちらからダウンロードできます!
この齋藤式マネジメントシート(SMS)「Box16」をダウンロードして使ってみたいと言う方はコチラのフォームからダウンロードリンクを手に入れてください。
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学生さんと行う初めての統合と解釈シリーズ
- リハビリにPDCAは使えるのか?【臨床共育】(37)
- 学生さんと行う初めての統合と解釈(1)【臨床共育】(38)
- 学生さんと行う初めての統合と解釈(2)【臨床共育】(39)
- 学生さんと行う初めての統合と解釈(3)【臨床共育】(40)
- 学生さんと行う初めての統合と解釈(4)【臨床共育】(41)
- 学生さんと行う初めての統合と解釈(5)【臨床共育】(42)
- 学生さんと行う初めての統合と解釈(6)【臨床共育】(43)
- 学生さんと行う初めての統合と解釈(7)【臨床共育】(44)
- 学生さんと行う初めての統合と解釈(8)【臨床共育】(45)
- 学生さんと行う初めての統合と解釈(9)【臨床共育】(46)
- 学生さんと行う初めての統合と解釈(10)【臨床共育】(47)
- 学生さんと行う初めての統合と解釈(11)【臨床共育】(48)
- 学生さんと行う初めての統合と解釈(12)【臨床共育】(49)
次回からも、色々と使い方を紹介します。お楽しみに!
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