前回、2週間前には、
『ストレッチはするな!“腱の痛み”のリハビリにおける注意点(前編)』
というタイトルで、
“腱の痛み”のリハビリにおいて
知っておいてほしい情報を5項目確認しました!
その5項目のうち、
実際に臨床で活かせた項目はありましたか?
・・
・・
・・
5項目は、
1.腱のストレッチは、行わない
2.過度に安静にしない
3.不適切なエクササイズは行わない
4.当事者が受け身の治療、施術に頼らない
5.注射療法は避ける
という内容でしたね。
…
私が、大学病院で働いていたときの教授は、
教授回診のときに、
「どうしてこの患者さんは、今、安静が必要なのか?」
「どこまで、この患部を安静にしなければいけないのか?」
「いつまで離床できないのか?その理由は?」
など
「不必要な安静」を避けるために
1人1人の患者さんについて
納得がいくまで、その根拠を医師に
確認していました。
セラピストも安静の
根拠に応えられるように、
知識を深めていきたいですね。
では、今回も“腱の痛み”のリハビリにおいて
活用していたける情報の残り5項目を
みていきましょう。
◇ 腱の痛み へのアプローチの振り返り
まずは、3問質問です。
質問1:
・エクササイズ中に痛みがなければ、
患部に対しては適切な負荷と判断していますか?
・・
・・
YES or NO
・・
・・
質問2:
・腱の痛みの部分をマッサージしていますか?
・・
・・
YES or NO
・・
・・
その効果は、いかがですか?
・・
・・
質問3:
・画像検査の情報をもとに、
痛み原因を判断したり、
治療効果、予後予測などをしてますか?
・・
・・
YES or NO
・・
・・
お答え頂きありがとうございますm(__)m
…
では、答え合わせも兼ねて
文献で掲載されている情報の
残り5項目を一緒に
確認していきましょう!
◇6.痛みの変化を無視しない
「負荷が強すぎた場合、痛みが増強するのは大抵24時間後である。
日々の痛みの強度が10段階中の2以上増えた場合、トレーニング強度を下げる必要がある。
過負荷は、過度な跳躍動作(ジャンプ、ランニング、方向転換など)による可能性が高い」
ということで、
エクササイズ中に痛みが無くても、
安心はできません。
「運動中に痛みがなかったから、運動が痛みの悪化の原因とはいえません」
という意見を聞いたこともありますが、
特に腱の痛みの場合には注意が必要ですね。
<24時間後に再評価する>ことが重要とのことです。
ということは、
前日と同じ時間帯にリハビリができると理想。
そして、
痛みの程度の確認もお忘れなく。
10段階で2以上悪化で、
運動強度の再検討ですので。
**
再診時に問診すると、
「使い過ぎた翌日に痛みを感じます!」
「使っているときは、痛くなかったので、
ついつい使い過ぎてしまうんです」
とおっしゃる方もいらっしゃいました。
翌日の痛みが教えてくれることって
改めて大切にしていきたいですね。
◇7.フリクションマッサージは行わない
「痛みのある腱は、過負荷になっていて過敏な状態になっている。
そうした腱をマッサージしたり、フリクションしたりすると、痛みが悪化し改善策にはならない。
局所の神経への作用によって痛みが短期的に軽減することはあっても、腱に高い負荷が加わると痛みはぶり返す」
痛みがある部分をマッサージしたり、さすったりすることは経験的にも
よく行うと思います。
「マッサージしたり、フリクションすると痛みが悪化する」とのこと。
つまり、きちんとアプローチ内容と痛みの再評価をしたら、不適切な対処は避けられそうですね。
この7番の情報は、
前回の
「当事者が受け身の治療、施術に頼らない」で、
当事者が能動的に治療に参加するという方針とも一致してますね。
◇8.画像検査所見を診断、予後判断、治療や施術の効果判定に使用しない
「腱の画像所見(超音波、MRI)だけでは腱の病態診断はつけられない。
異常所見が認められても無症状の場合が少なくないからだ。
さらに、血管状態や断裂のような画像所見からは治療、施術の効果判定はできない。
画像に写る病理病態は、治療や施術で痛みが改善しても、あまり変化が認められないのが普通である。
よって効果判定には適さない」
最近は、超音波を用いて診断することも増えているかと思いますが、
それらの画像所見だけでは、腱の病態診断は不可能とのこと。
メジャーリーグの投手を調べた研究では、
損傷はあるけれど無症状の投手が予想以上に多いことが報告されています。
この報告では、
投球動作によるロテーターカフや関節窩への過負荷に注意を促しています。
当然、24時間後の痛みを評価すべきでしょうし、
無理な投球フォームになっていないかを確認することは当然でしょう。
◇9.断裂していても心配しない
「痛みには、腱にそれ以上過負荷がかからないようにする防御作用がある。
腱を断裂した人の殆どが、痛みを感じたことはなかった。
ただ、腱にはかなりの病理病態が認められた」
ここで、強調したいこことは、心配しないことだと思います。
心配する期間が長くなるほど、
脳の鎮痛機構が機能しにくくなり、痛みが慢性化しやすいからでしょう。
そして、
前述同様、痛みを指標にエクササイズを進めていけば安全ということです。
過負荷になれば、痛みが教えてくれます。
・痛みがあるからアイシング
・痛みがあるから注射
・痛みがあるから安静
は、避けたいですね。
運動負荷量、負荷方法を再確認し
不必要な痛みを出さないことが肝要でしょう。
◇10.リハビリテーションを急なペースで行わない
「腱の強度とキャパシティーを高めるには時間がかかる。筋も運動連鎖も脳も同様である。
時間は相当にかかるが(3か月、あるいはそれ以上)、的確なリハビリテーションがきちんと行われれば、
長期的に良い結果が得られる」
特に、スポーツ復帰を望んでいる場合には、
何とか早く試合に出られるようにと、
急いでプログラムを進めてしまうことも
あるかもしれません。
その時、痛み止めの注射をしながら、過負荷なエクササイズをすると
予後が悪くなるのは言うまでもないでしょう。
3か月は必要となる。
その根拠を丁寧に説明し
当事者が納得した上で、
プログラムを進めていくことが
望ましいですね。
以上で、合計10項目となります。
◇毎日治療に通っても改善しなかったケース
過去にお会いした方は、
ある治療院に、ほぼ毎日腱鞘炎の治療で通院し
- ストレッチ
- マッサージ
- 電気治療
を受けていましたが、
痛みは、まったく改善していませんでした。
私にお会いして
IAIRのコンセプト(↓)に基づいて
対応させていただくと、
一週間ほどで、
痛みは、ほぼなくなりました。
不必要な痛みを慢性化させないために、
せめて、効果が出ないときには、
アプロ―チを再検討していきたいですね。
◇安全に能動的なプログラムを
2回にわたり腱の痛みのリハビリのポイント
についてお届けしてきました。
いかがでしょうか?
活かせる内容は、ありましたか?
…
・受け身ではなく、
・病態に応じた能動的なエクササイズを
・画像所見のみに頼らず、
・24時間後の痛みも評価しながら
・段階的に進めていくこで
良い結果で得られるでしょう。
前回もお伝えしましたが、
セラピストと治療を受ける患者さんの
双方がそのことを、十分理解して
プログラムを進めることが
重要だとされています。
是非、すべての人々の“ハッピー”のために。
複合的腰痛アプローチ
IAIR Lumber back Pain Technology(ILPT)主宰
赤羽秀徳
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参考文献:
Cook JL.Ten treatments to avoid in patients with lower limb tendon pain.
Br J Sports Med. 2018 Feb 23
引用文献:
国際マッケンジー協会日本支部 会報92号 平成30年3月発行
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