膝関節リハビリテーション スクリューホームムーブメント 臨床への活用

膝関節のリハビリテーションにおいて、完全伸展位が取れるためには、スクリューホームムーブメントが起こらなければいけません。

多くはPT(理学療法士)だと思いますが、この動きが出来るようになるために、徒手的なアプローチや筋力トレーニングを施行するはずです。

しかし、臨床場面において「完全伸展までいかない」「膝の痛みがあってコントロール出来ない」といった上手くいかないケースも経験されていると思います。

 

本日は、膝関節の運動と、スクリューホームムーブメントにおいて3つのポイントをまとめていきます。

 

膝関節の伸展

膝関節の伸展には、2つの違うパターンがあります。

1.座位で90°屈曲位から伸展するパターン

これは大腿骨上を脛骨が転がる動きと前方へ滑る動きをする状態です。

脛骨は最終伸展域で大腿骨上にて外旋の動きをします。

 

2.深屈曲から立ち上がるパターン

これは脛骨上を大腿骨が前方への転がりと後方への滑りが起こっている動きです。

この動きの際もスクリューホームムーブメントは起こります。

 

脛骨上を大腿骨が内旋(相対的に脛骨は外旋する)する動きが現れます。

(参照 筋骨格系のキネシオロジー,原著者:Donald A.Neumann,監訳者:嶋田智明 ,有馬慶美,医歯薬出版株式会社 以下同)

 

膝関節のスクリューホームムーブメント

この動きは、膝関節の最終伸展域で観られる約10°の外旋の動きを指します。

伸展でのこの動きは、関節面の適合性を増加させ、安定性を高める働きがあります。

 

このスクリューホームムーブメントの動きは、3つの要因によって起こると言われています。

  • 大腿骨内側顆の形状
  • 前十字靭帯の緊張
  • 大腿四頭筋の軽度な外側への牽引力

特に重要なのが、大腿骨内側顆の形状で、伸展の際脛骨がその形状に沿って滑ることで外旋の動きが出現します。

骨の構造によってスクリューホームムーブメントは起こるということです。

ですが、多くの膝に問題を抱える患者さん利用者さんは、この動きが不十分になってきます。

 

ここで問題になってくるのは、膝関節だけの問題ではなく、股関節の影響を受けるという点です。

 

股関節のアライメント

膝関節を水平面(上から)で観察してみると、スクリューホームムーブメントが起こる際、股関節は相対的に内旋位にならないといけません。

股関節(大腿骨)が外旋位であった場合、脛骨は内旋の動きが出来ないということです。

 

変形性膝関節症や、日本人に多いO脚姿勢の場合、股関節が外旋偏位しているケースが非常に多いです。

股関節が外旋しているということは、骨盤は後傾し、脊柱も屈曲しているといった、いわゆる円背姿勢をとっている可能性が高くなってきます。

高齢者に非常に多い姿勢です。

 

そのようなアライメントの状況で、膝のみに可動域訓練や筋力トレーニングを行ったとしても、果たしてスクリューホームムーブメントの動きは出てくるでしょうか?

脊柱は円背し、骨盤は後傾、股関節も外旋偏位しているのに、患者さんの訴えは膝が痛いからと膝のみにアプローチしてはいないでしょうか?

 

全体を統合する視点

膝関節の最終伸展での脛骨の外旋の動き(スクリューホームムーブメント)は、下肢を安定させ、スムーズな動作を行う上で非常に重要です。

ですが、その動きだけに固執して、全体を見れていないケースが多いようです。

 

動作分析を行う上で重要な視点は、局所と全体を交互に見ること。

例えば、膝が痛い患者さんであれば、動作時の膝の動きを見つつ、その際全身はどのような動きをしているのか、体幹や上肢の動きまでも観察し、そしてまた局所を見ていく。

この繰り返しによって、問題点の把握が出来るようになってきます。

 

大切なのでもう一度

「動作分析は局所と全体を交互に見比べる」

 

今回はスクリューホームムーブメントに視点を絞って、その際の股関節や骨盤の動きとの連動性を考えてきました。

他にも、例えば肩の運動においても同じようなことが言えます。

肩と体幹の動きを交互に見ることによって、問題点の把握に繋がる可能性が出てきます。

 

エビデンス重視のリハビリの問題

局所のリハビリや、ある症状に対するアプローチにおいて、平均して効果が現れたものを「エビデンスが高い」と一般的にいいますが、果たしてそれは目の前の患者さんに必ず効果を成すものでしょうか?

100人中80人に効果のあったアプローチが、果たして今目の前にいらっしゃる患者さんに効果があるかと言うと、効果が出なかった20人にあたる可能性(リスク)もあるのが、エビデンスに偏ったリハビリの問題だと私は考えています。

 

「人を見れないセラピストの必要性は少なくなる」

そのようなことを危惧しています。

私達が応対しているのは、千差万別の人です。

その一人一人に即したアプローチを考え、試行錯誤し、成果を出していく。

 

IAIRは、そのようなコンセプトを持って技術をお伝えしています。

 

それでは最後まで読んでいただけて感謝です。

(画像参照 筋骨格系のキネシオロジー,原著者:Donald A.Neumann,監訳者:嶋田智明 ,有馬慶美,医歯薬出版株式会社)

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一般社団法人 国際統合リハビリテーション協会

理事 理学療法士 福留良尚

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福留 良尚

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国際統合リハビリテーション協会常任理事 IAIR九州専任講師 理学療法士 コンディショニングサロン仁愛クリニカルルーム代表 3児の父 
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