腱炎

From: ILPT主宰 赤羽秀徳

臨床において、“腱の痛み”を訴える方を対応することは多くあるかと思います。

腱のリハビリについて、
近年様々な研究が行われていますが、
明確な見解はまだ十分ではないようです。

 

しかし、

避けるべきこと、やるべきことは、
報告されています。

今回は、

2018年2月に
British Journal of Sports Medicineに掲載された

「Ten treatments to avoid in patients with lower limb tendon pain.」
という文献を元に、
腱の痛みのリハビリについて改めて考えていきましょう!
(自戒の念を込めて…)

◇下肢の“腱の痛み”の例

まず、日常の臨床を振り返ってみましょう。

どのような下肢疾患で
“腱の痛み”の方を対応することがありますか?

・・

・・

・・

  • アキレス腱炎
  • 膝蓋腱炎
  • 鷲足炎
  • 腸脛靭帯炎

などの診断名で

“腱の痛み”のケースを
担当することがあるかと思います。

◇プログラムの開始時期の判断は?

では、質問です。

次のリハビリプログラム開始時期、
あるいは、
適応はどのように判断していますか?

1.ストレッチ

・・

・・

・・

2.安静期間

・・

・・

・・

3.腱への負荷速度

・・

・・

・・
 
4.物理療法(電気、アイシング)

・・

・・

・・

5.注射

・・

・・

・・

いかがでしょうか?

これらのことについて
統一的な方針が決まっていますか?

もし、すでに決まっていたら
以下の情報で再確認しましょう!

まだ、決まっていなかったら、
是非、今後の方針決定に役立てて
頂ければと思います。

では、今回紹介する文献で
掲載されている10項目の情報のうち

今回は5項目
確認していきましょう!

◇ 1.腱のストレッチは、行わない

「腱がいっぱいに伸ばされとき、骨と腱の付着部に圧迫負荷がかかる。

ストレッチをすると腱には圧迫負荷がかかるが、この圧迫負荷は腱にとって有害である」

とのこと。

リハビリに限らず、
スポーツの準備体操や整理体操など
幅広く利用されている「ストレッチ」。

病態を無視して行っていると
痛みが長引きそうですね。

ここでの圧迫負荷というのは、
腱が引き伸ばされることにより
腱の断面積が狭くなる力が働く
ことによる、圧迫力のことだ
思われます。

 

◇ 2.過度に安静にしない

「安静で、腱の負荷に対する耐性は低下する。

完全に安静にすると2週間以内に腱の強度(stiffness)は低下する」

「マネジメントとしては、
初期は痛みが増強するような高負荷は避けて適切な負荷を(例:等尺性収縮)を活用する。

痛みが治まってきて安定していたら、腱のキャパシティー(capacity)を回復するようにゆっくり負荷を増やしていく」

受傷直後や術後など
「安静」が指示されることがありますよね。

その時、セラピストとしては、
安易にその指示を鵜呑みにせず、
安静の詳細な情報を納得いくまで
確認していくべきだと思います。

・どの程度までの負荷は許されるのか?
 
・どのような理由で安静をしなくてはいけないのか?
(患部の状態、予想されるデメリット)
 
・安静期間の根拠は?

などの情報を入手した上で、
過度の安静にならないために
今できることを探ることが
肝要になるでしょう。

マネジメントとして、

痛みが強い初期には
等尺性収縮は、有効に活用したい
プログラムになるでしょう。

 

3.不適切なエクササイズは行わない

「跳躍に対応する能力を腱に持たせるには、速い動きを活用した負荷が必須であり、

ゆっくりとした動きのエクササイズでは仮にウエイトを持たせて行ったとしても腱に高い負荷はかからない。

よって、ゆっくりとした動きのエクササイズは、リハビリテーション初期に活用できる。

腱が伸ばされた状態でのエクササイズでは、腱が骨に付着する部分で腱に圧迫がかかる。

これは、腱にかなりの負荷がかかっている状態で、リハビリテーション初期では、仮にゆっくり動かすにしても避けるべきである。」

1.腱のストレッチは、行わない、
の項目と重複する内容もありますが、

・腱が伸ばされた状態でのエクササイズ

は、初期には避けるべきとのこと。

それから、

刺激量をあげていくときに、
<速度>を上げるのではなく
ゆっくりの動きで、
<負荷量>をあげると安全とのこと。

跳躍のプログラムは、
腱に高い負荷がかかるので
開始時期に注意していきたいですね。

◇ 4.当事者が受け身の治療、施術に頼らない

「当事者が受け身のマネジメントは、長期的に見て助けにはならない。

腱の耐性を高めることにならないからだ。

物理療法(電気、アイシング等)は、一時痛みを和らげるだけで、腱に負荷がかかると痛みはぶり返す」

患部の状態を観察し、
必要と判断すれば行ってもよいと思いますが、
大切なのは、

「頼らない」ことでしょう。

腱の耐性を高めるために、

前述のように、

「痛みが治まってきて安定していたら、腱のキャパシティー(capacity)を回復するようにゆっくり負荷を増やしていく」

ことが鍵になるので。

 

◇ 5.注射療法は避ける

「質の高い臨床研究では、腱への注射療法は、プラセボと比較して有意差は認められていない」

「注射療法は、神経に効果を及ぼして短期的には痛みを改善するかもしれないが、適切なエクササイズを行ったにもかかわらず、

状態が改善しない場合のみ適応を考慮すべきである」

痛みが改善しないときに
まず、見直すべきことは、
今行っているエクササイズが

・適切な

エクササイズになっているか?

ここを、チームで確認できたら理想ですね。

すぐに注射に頼るのでなく…

注射に頼り過ぎて、
腱の再断裂を起こしたケースもあるようです。

◇ 再検討すべき項目は?

以上、
腱の痛みのリハビリについて、
文献をもとに紹介してきました。

 

今、行っているマネジメントを見直してみて

いかがでしたか?

 

再検討すべき項目はありましたか?

 

今回の情報のポイントは、

腱の痛みのリハビリにおける

・負荷のかけ方
(ストレッチ、筋収縮様式など)

・安静の程度

・受動的治療の必要性

についてになるかと思います。

セラピストと
治療を受ける患者さんの
双方がこれらのポイントを理解することが
重要だとされています。

是非、臨床にご活用下さい。

すべての人々の“ハッピー”のために。

**

腰痛治療でも、不適切な時期に不適切な徒手療法や

物理療法などをを行うと痛みが慢性化するとされています。

そんな情報をたくさんお伝えしております。

↓↓↓

複合的腰痛アプローチ
IAIR Lumber back Pain Technology(ILPT)主宰

赤羽秀徳

参考文献:
Cook JL.Ten treatments to avoid in patients with lower limb tendon pain.
Br J Sports Med. 2018 Feb 23

引用文献:
国際マッケンジー協会日本支部 会報92号 平成30年3月発行

 

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