第111回「膝の痛みに対する効果的な運動療法」

From.IAIR 福留良尚

 

 

関節の痛みや変形によって、歩行やADLに制限が出ている人。

 

「65歳以上の女性3人に1人」

 

食生活が欧米化し、生活習慣病やメタボリックシンドロームといった「疾病予備軍」の人口は増え、リスクの高い世代がこれから高齢化していく現状で、適切なアプローチや患者教育が出来るセラピストの育成が求められています。

 

 

1:1の運動療法から、1:多数といった状況での効果的な運動指導が出来るセラピストも、必要になってくるでしょう。

 

  • 人前に出るのは恥ずかしい
  • 緊張して話せない

 

そう言った感情もあるかもしれませんが、これからはそんなセラピストが必要になると思います。

 

 

今回は、歩行やADLの制限に直結する膝の問題に対して、これまでのリハビリテーション方法と、これから必要とされる評価治療の考え方をお伝えしていきます。

 

 

 

膝のトレーニングはしない

 

膝の痛みや変形がある患者に対して、一昔前は「大腿四頭筋の強化」が提唱されていました。

 

膝を支える筋肉である大腿四頭筋の筋力アップで、関節に掛かる負担を軽減させる、というのが目的です。

 

しかし、若年者でも筋力をつけるには相当な運動が必要であるのに対して、たかだか20分(1単位)のリハビリで、高齢者に筋力がつくでしょうか?

 

 

「体重を落とす」というのも良く言われます。

 

もちろん体重を落とせば膝に掛かる負担は減りますが、考えてみてください。

 

自分たちでさえ1-2kg落とすのにヒーヒー言っているのに、痛みで活動性の落ちた中高年者が減量できるでしょうか?

 

 

膝や腰の痛みを抱えている慢性痛の患者は、今後ますますリハビリの算定から外れていくでしょう。

 

現在も制限がある状況の中で、効果の出ないリハビリを続けている現状があることは、周知の事実です(大きな声では言えませんが…)

 

相当ヤバい状況だと思いますが、どう思われますか?

 

 

話を戻しましょう。

 

膝の筋トレでは効果が少ない。

 

体重を落とすのも至難の業。

 

 

「じゃあ、私の膝は良くならないの?」

 

 

いえいえ、そんなことはもちろんありませんね。

 

膝の痛みに対して、これまでとは違った治療の視点を持てばいいわけです。

 

セラピストは、それをちゃんと伝えられるかが重要です。

 

 

 

膝以外へのアプローチ

 

膝の痛みは、膝に掛かる負荷量が多いことによって発生します。

 

本来、健常な人間であれば、それほど膝に負担は掛かりません。

 

何故なら、膝以外の部分で負荷をコントロールしているからです。

  • 股関節

  • 足関節

 

 

これらの関節が機能的に使えているか、すぐに評価出来ますか?

 

今回は股関節に絞って2つの評価をお伝えしましょう。

 

 

 

股関節の評価①

 

見てほしい動きは、立位での体幹回旋の動きです。

 

抗重力位での筋活動と、関節の機能性を見る評価で、体幹を回旋する際に同側の股関節回旋の動きを伴うかを評価します。

 

例えば体幹が左回旋する時、左股関節は内旋の動きが伴うということです。

 

 

この股関節の動きが不十分の場合、膝関節には剪断力が加わります。

 

簡単に言えば、捻じれですね。

 

これが膝周囲の靭帯を緩ませ、安定性を低下させます。

 

すると、関節に掛かる負荷量は増えてしまい、筋スパズムを起こしてしまうでしょう。

 

 

 

股関節評価②

 

下肢を縦に開いて、アキレス腱を伸ばすような姿勢を取ります。

 

前側の膝を曲げながら重心を前方移動させ、体幹は垂直を保つようにします。

 

その際、骨盤が前傾、もしくは水平を保てるかを見てください。

 

後傾している場合、前側の股関節が使えていない可能性があります。

 

 

この動きを患者にしてもらい、パッと見て股関節が使えているか否かで、指導する運動療法は決まってきます。

 

大腿四頭筋だけが使えれば、これらの動きが出来るかというと、決してそうではありません。

 

 

MMTという、個別の筋肉を評価する技術を学生時代から磨いてきた私たちは、何故だか個別の筋肉の働きを重視しがちのような気がします。

 

患者の動きは全体的です。

 

動作の中で、一個の筋肉だけを使うことはありえません。

 

全ての筋肉がバランスよく動員されることで、歩行やADLは可能となるのです。

 

 

IAIRでは、そんな視点をお伝えしています。

 

 

 

それでは最後まで読んでいただけて感謝です。

 

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一般社団法人 国際統合リハビリテーション協会

 

常任理事 九州地区責任者 理学療法士

 

福留 良尚

 

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福留 良尚

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