脳血管疾患(中枢神経疾患)リハビリの未来

◇脳血管疾患の現状

脳血管疾患の患者数ってどのくらいだと思いますか?

ちょっと昔のデータになりますが、脳血管疾患の患者数は 約117万9000人 と公表されています。

平成26年(2014)患者調査の概況:厚生労働省

 

◇脳血管疾患治療の基本的な考え方

脳血管疾患治療の基本的な考えとしては

  1. 予防
  2. 早期治療
  3. リハビリテーション

と言われています。

 

高脂血症、動脈硬化、高血圧の管理などにより、脳血管疾患の発症をさせないような取り組みがまず第一に考えられます。

あまり浸透していないような印象もありますが・・・

 

どの病気でも怪我でも「発症」してしまわないことが最優先です。

ですが、言葉としては「予防」というのが広がっていても具体的に予防できているかの評価が難しいこともあり、なかなか浸透していきません。

これは、今後の課題であるとともにリハビリテーション関係者ももっともっと取り組んでいかないといけない分野です。

(参考:今一度、理学療法士の「開業権」を考える )

 

 

脳血管疾患を発症してしまった場合、初期治療はとても大事です。

大事なのですが、治療が有効であると言われる発症後の時間というのはとても短いと言われていて、その時間に初期治療が受けられない場合が多いようです。

 

例えば、脳血栓症(脳梗塞)の場合、発症後に血栓溶解剤を投与できれば、麻痺の出現後も回復する可能性は高まります。

問題はその時間内に然るべき救急体制が整った場所に搬送されるかどうか・・・

 

この点は、地域の救急医療の事情も絡んできて、一筋縄ではいかない分野です。。。

ただ、そういった初期治療が有効であることは確かなようです。

 

 

◇脳血管疾患発症後に行われていること

初期治療がすみ、全身状態の確認をしながらリハビリテーションが開始されます。

 

リハビリテーションは「社会復帰」を目指して行われます。

極論的に言うと「麻痺が治っていなくても」目標に到達する場面はあります。

逆に「麻痺の完全治癒」を目標にした時に、「ゴールの見えないリハビリテーション」に迷い込むこともあります。。。

 

発症後出現した機能制限に対してのリハビリテーションはほとんどの場合、

  • 残存機能を向上させる
  • 麻痺が残った状態でも行える動作を獲得する

ことがフォーカスされたりします。

 

「麻痺が治る」ことを目指す患者さんと、「生活ができるようになる」ことを目指すリハビリ提供者側で目指す部分の食い違いが生じることもあります。

 

麻痺は回復しないのでしょうか?

 

◇麻痺の回復とは?

麻痺が生じた体が再び動くようになる時、それは残存機能が高まったことだけが理由でしょうか?

 

  • 出血による神経細胞の圧迫
  • 栄養血管の梗塞による細胞の壊死

などにより、体に機能制限が生じます。

 

再び機能が獲得されるとしたら、

新たなシナプスの形成

が必要になることでしょう。

 

リハビリテーションによって期待できる部分でもあります。

シナプス再形成のためには、残存機能の偏った強化は逆効果になるかもしれません。

 

◇シナプス再形成を阻むもの

マウスの実験で、かつ脊髄損傷の話になってしまいますが、このような報告があります。

Promising Therapeutic Approach for Spinal Cord Injuries

(引用:http://neurosciencenews.com/sci-therapy-8566/ )

中枢神経の病変部位に起こる瘢痕形成が神経繊維の再成長をブロックすることは知られていました。

先ほどの実験では、瘢痕組織の形成を阻害することでシナプス再形成につながる神経繊維の再成長を確認できたようなのです。。。

(翻訳に自信ないので、違いますよ、というご指摘は受け付けております。教えてください)

 

これはまだマウスの段階ですが、人で実用化できれば中枢神経疾患後の麻痺に対して、とてもポジティブな内容だと思います。

「麻痺は治せる」ものだという前提からリハビリテーションがスタートしたとしたら、リハビリテーションを提供する側の人間はこれまでと考え方を改めないといけないでしょう。

 

 

◇一旦傷害された脳神経組織を再生させる治療法

こちらは、まだ治験の段階ですが、人間での実用化を目指して始まっています。

脳梗塞患者を対象とした自家骨髄幹細胞移植治療(医師主導治験)開始のお知らせ

 

患者様本人の腸骨から骨髄幹細胞を採取、培養して規定の細胞数に達した後に脳内に直接投与するそうです。

 

私の理解度では、その後どういう反応を示しながら、どのように機能回復が起こっていくのか見当もつきませんが、何かしら「運動」というものを媒介しないと、これまで獲得してきたものの「再学習」にはならないのではないかなあ、と思います。

 

細胞の回復には栄養が必要になるでしょうし、回復に向けた活動を阻む反応や細胞の抑制も重要です。

 

◇治療技術が高度化する中で療法士に求められること

そういった各専門分野での研究は高度化していき、これまでは諦めていた症状に対しても解決策が生まれるようになることでしょう。

 

たとえそうだとしても、リハビリテーションに関わるPTOTSTが不要になるとは思えません。

ただし、PTOTSTも高度化していかないと、役に立てないかもしれませんね。

 

高度化というのは専門オタクになれという意味ではないですよ。

 

様々な専門分野でわかってきた個々のことを、『統合して』患者さんに提供できるようになりましょうね、っていう意味です。

 


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