精神病床における入院患者の推移(年齢)

第4次障害者基本計画案「保健・医療の推進」の項目にて、入院中の精神障害者の早期退院や地域移行を促進し、「社会的入院」を解消する方向性を明記したという。内閣府HPの障害者政策委員会(*1)にて文書を確認したところ、確かに明記されており、その為の方向性が示されていた。だが、実際にどの位の患者が社会的入院を余儀なくされており、地域で生活できるのか、そして作業療法士はどのように関われるのかを考えてみる。

 

◆ 現場の誰もが思う「地域に帰せるわけない」は本当か?

まず気になったは、絵に描いた餅なのかどうか、ということ。近年「Evidence-Based Policy Making」つまり「証拠に基づいた政策作成」を言っているだけに、実績ベースで語られているのだ。厚労省の患者調査(*2)によると、平成24年頃にも散々言われた36万床を24万床に減らすことはジリジリと実現に向かっている。入院状況内訳を見ても、過去(H11)理由が明確ではなかった人たちの入院が平成26年には1/8に減り、条件が整えば退院できる人たちは2/3まで減っている。

精神病床における入院患者の推移(入院状況)

だが、現場にいいると、誰もが「地域地域っていうけど、帰せるわけない」と思っている。口にしている人もいるだろう。よく見てほしい。入院患者の76.8%を占める「生命の危険は少ないが、入院治療を要する人」は12.6%程増えているのだ。

現場を見渡した時、社会的入院の人より退院の目処が立たない方の方が多く目についているだけではないのだろうか?

 

◆ 作業療法士が進むべき方向は?

実は作業療法士が第4次障害者基本計画案「保健・医療の推進」の項目に明記されていない。

大きく「リハビリテーション」とは記載されているが、それは「保健・医療の充実」の項目だ。精神科医、看護職員、精神保健福祉士、公認心理師等の人材育成と連携体制の構築とのみ記載されており、どういうことか……と少々頭を捻る部分だ。だが前向きに捉えれば、作業療法士にそもそも「精神科OT」だの「身障系OT」だのと言っているのは作業療法士であり、自身で垣根を作っているだけではないのか?

保健・医療の向上に資する研究開発等の推進まで読み進めれば「脳機能研究の推進により、高次脳機能障害、感覚認知機能障害等に関する新たな診断法の開発、リハビリテーションの効率化及び訓練プログラムの改善を進める。[6-(3)-3]」とある。

より新たな知識と技術を手に入れるべく研鑽し、リハビリテーション専門職であることの強みの発見と開発をせよ、とも解釈できる。

もちろん、それが必ず社会につながっている事を意識して行う事が大前提ではあるが。

 

◆ 作業療法士が時代に乗り遅れない為に

さて、リハビリテーションの強化に寄与せよという前提で話を進めようとすると、ある壁が療法士諸氏に立ちふさがる。筆者も経験した事がある壁。それは、旧世代の思考停止型医療人による足の引っ張り合いだ。余計な仕事を増やしたくないから行動しない層はどこにでもいるし、それらに迎合してどうにかなったのは昭和までだ。平成も終わろうとしている今のやり方ではない。最近各文書で使われる「PDCAサイクル」に見られるように、物事に対して常に実施と評価と調整を繰り返しながら新たなプランを立てて変化をし続ける事が求められている。現状維持と思考停止は泥舟に乗るのと等しい行為だ。

作業療法士のマインドセットから、考え方からチェンジする必要があるという事だ。

 

◆ 作業療法士の特性を活かしつつ変える!

だが「ヤバイから変えろよ!」と言っても人は動かない。むしろ反発するだろう。危機感が先行して熱く語っても、シラケさせるだけかもしれない。なら、伝統的作業療法士として伝授されてきた数々の技を持って対応するのはどうだろう。もちろん基本的な「対話」から入るのがいいだろう。

お互いが持つ作業療法士像が異なっている事が大きな原因だ。お互いが作業療法士をどう定義しているか再確認し、立場を明確にすることだ。

そこから始めるといい。

 

◆ 一歩踏み出す勇気を!患者はそれを待っている!

だが、もしそこで自身の作業療法に自信が持てないというなら問題だ。発言もできなくなれば、患者に結果を出す事はできないだろう。自分の作業療法が社会につながっているという考えすらもてないだろう。

ここで取るべき選択肢は2つ。

  1. 自分に嘘をつかない
  2. 言い訳をして嘘を嘘と思わなくする

普通なら「進む」か「立ち止まるか」と言ってセミナーに誘導するところだろうが、それは作業療法士らしくない。もっと心の在りよう、行動化する前の感情面を考えたら、上記の2つが選択肢の根本だ。

もし、2を選択せざるを得ない状況にいるのなら、まずは自分の環境を再考する事だ。強くお勧めする。

1を選択したなら、自ら取るべき行動が明確になっていることだろう。あとは進むだけだ。

 

◆ 本日のまとめ

まとめると……

  • 現在精神科における作業療法士の存在は過渡期にある。
  • 科学的な証拠に基づき、新たなリハビリテーションが求められている。
  • 作業療法士として自分に嘘をつかない。

以上だ。2018年度の荒波を乗りこなす作業療法士仲間として、共に新たなステージに登れる事を切に願う。

IAIR副会長齋藤信
IAIR副会長 作業療法士 齋藤 信

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◆ 社会復帰ではなく治療が必要な患者にアプローチしたい!

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参考資料

*1:内閣府「障害者政策委員会」http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/index.html

*2:厚生労働省「患者調査」http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000108755_12.pdf

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