痛み止めが効かない痛みや痺れの原因

「薬を飲んでも痛みが変わらない」

という患者さんの訴えを聞いたことがありませんか?

なぜ、痛みが薬で解決しないのでしょう???

痛みの定義と鎮痛剤の役割を整理しました。

痛み止めを使う期間を長引かせたりしないように、この記事を参考にされてください。

 

痛みの定義

痛みというものが、国際疼痛学会(IASP:International Association forStudy of Pain)で定義されています。

Pain: An unpleasant sensory and emotional experience associated with actual or potential tissue damage, or described in terms of such damage.

 

和訳されたものを以下に紹介します。

「組織の実質的あるいは潜在的な障害に伴う,あるいは,そのような障害を表す言葉で表現される不快な感覚あるいは情動体験」

 

痛みは異物でもなく、損傷そのものでもなく、「感覚あるいは体験」であるわけです。

極めて主観的なものということで、相手が「痛い」と言っていたり、「痛みを感じている」のなら、その痛みは確かに存在するのです。

 

いじめとかハラスメントの考えと共通しますね。

 

だから、痛いと訴える患者さんに対して

「痛いはずないんだけどなあ」

とか

「それは気持ちの問題だ!」

みたいな対応は、適切な対応とは言えなくなりますね。。。

 

「痛み止め」:痛みに対する一般的な処方

通常、医療機関で「痛い」と訴えると、鎮痛剤(消炎鎮痛剤、痛み止めとして認識されている)を処方されます。

時には麻酔薬が使用されたりする場合もあります。

 

鎮痛剤は「炎症反応」といった化学的なイベントに対して効果を示します。

組織の損傷などがあれば、そこで炎症物質や疼痛物質が出現します。

鎮痛剤などの化学物質は、そういった物質が作られるのを抑制するような働きを持っています。

 

 

鎮痛剤、抗炎症薬を飲むことで、痛みの感じ方が小さくなるのはそのためです。

ここで注意したいのは「損傷を修復しているわけではない」ということです。

 

 

鎮痛剤によって、「痛みの感じ方が小さく」なることを患者さんは「治っていく」と同義語で使う場合が多いです。

 

リハビリ担当者も「痛くなくなりました」という発言が患者さんから聞かれると、「良くなっている」と安心したりするものです。

 

しかし、組織が修復していなくても痛み方が小さくなるということが薬物治療では起こることを忘れてはいけません。

 

組織損傷に対して処方される鎮痛剤の役目とは

組織修復

ではありません。

 

痛みの経験をできるだけ小さいものにすることです。

 

組織の修復そのものは、それぞれの体の治癒システム次第なのです。

 

 

神経系に直接働きかける薬物も同様で、修復を促しているのではなく、「痛く感じる経験」を減らしているのです。

 

痛みや可動域制限が起きている原因

そういった組織損傷の痛みではなく、

  • 関節可動域制限とともに生じる痛み
  • 明確な損傷がないのに感じる痛み
  • 痺れのような痛み

などは、どんな理由で起きているのでしょうか?

 

組織損傷後の安静や、日常生活における過使用、不使用、誤使用、クセなどの個人のパターンにより、組織間の滑走が失われることがあります。

 

各組織を包む膜同士は隣り合う膜組織とも線維組織によって結合しています。(場所によっては貫通している場所もあります)

 

神経組織も線維組織によって結合しています。

通常、線維組織の伸張、移動、分離などにより、組織の運動(滑走)が生まれます。

しかし、なんらかの理由により不活動状態が続くと滑走が制限されます。

 

そういった状態になってしまうと、細い末梢神経(皮神経)や毛細血管は過度に伸張されたり絞扼された状態になることが考えられます。

仮に毛細血管が絞扼されてしまうと、組織に酸素や栄養を届けることが難しくなります。

代謝不良につながってしまいますね。

 

 

皮神経が絞扼されていれば、物理的な刺激として知覚することにも繋がります。

また、毛細血管の絞扼は神経への栄養も滞らせることが考えられます。

 

組織間の滑走が失われるほど、組織の運動(関節が動く、筋が収縮する)自体が伸張刺激となって神経を興奮させることもあるでしょう。

 

痛みやROM制限を解決する

化学的な理由ではなく生じている痛みやROM制限に対して、「鎮痛剤」は適切な解決策になるだろうか?

という疑問が浮かび上がります。

 

ただ、患者さんの多くは「鎮痛剤の使用」を肯定的に受け入れています。(極端に嫌っている人もいますが)

先ほども触れたように「痛みの感じ方が小さくなる=治る」と誤解しているからでしょう。

リハビリを担当する者としては、相手の痛みの原因を見極めて、薬物の使用は適切にコントロールしたいものです。

 

「薬が効かない」と起こる人に出会ったこともあります・・・

 

鎮痛剤を用いずに「痛みの感じ方を小さく」できれば、患者さんは薬物から離れていくことができます。

その方法として

「組織間の滑走を作り、神経、血管を過度な伸張から解放する」

ことは有効であると考えます。

 

これは同時にROM制限の解決にも向かっていきます。

およそ人体で運動が起こるとき、筋も神経も結合組織も「滑走という運動」が起こります。

場所によっては滑走ではなく伸縮が起こる部分もあります。

組織によって受動的な場合と能動的な場合と分かれるでしょうけど、「組織間で滑走が生まれる」状態が「痛みを感じにくい」状態であると言えます。

 

 

リハビリでできること

リハビリテーションとして、痛みや痺れの解決のために徒手的に介入するのであれば、そういう「組織間の滑走」を生むことが有効と考えます。

そのように考えれば、運動器疾患でも中枢神経疾患でも、徒手でできることは結構あります。

ただし、繊細な触診技術が必要になるのですが。。。

 

 

そして、徒手で行う場合、忘れてはならないのが「触れているのは皮膚である」ということと「深層の組織であればあるほどたくさんの組織の上から触れている」ということです。

 

骨の近くの組織や、インナーマッスルと呼ばれる組織を触れているわけでは決してありません。

ただ、触れ方次第では、その階層の組織に滑走を産ませるようなことはできなくもありません。

それには「関節の運動」をセットにして触れるのがポイントだと考えています。

 

「触れること(徒手技術)」と「運動指導」はPT、OT、STの強みですね。

他職種連携によって効果を出す

医師と連携できれば、投薬などの化学的な対処法以外のアプローチも可能です。

例えば「ハイドロリリース」という方法は、超音波画像で確認しながら、ピンポイントに組織間へ生理食塩水などを注入するやり方です。

 

PT、OT、STは注射することはできませんが、超音波を操り、身体評価とともに医師へ進言するという連携の仕方は実際あるようです。

 

除痛の方法としては鎮痛剤、物理療法が中心だったかもしれませんが、「手で行う除痛」も知識と技術を高めていけば可能になると考えます。

 

例えば器質的な問題はなく、心理的あるいは社会的な理由が疼痛の元になっているような場合であれば、連携する相手が変わってきます。

もしも連携できる専門家がチームにいるのなら、協力を仰げばいいですね。

そういう人がチームにいないのであれば、誰かがそういう役割を担う必要があります。

 

痛みというのは「感覚的で経験的な相手の主観」であるわけなので、内服薬以外では

身体的にも

心理的にも

社会的にも

クライアントをフォローしていけるPT、OT、STが必要とされますね、痛みの対処においては。。。

 

まとめ

痛みは感覚的で経験的な相手の主観であるという認識をスタートにすると、「痛い→鎮痛剤」のループから抜け出す可能性が見えてきます。

その先にある解決策によって、慢性化した痛みの解決につながる場合も不可能ではありません。

 

薬が効かないからといって、その痛みは解決できない痛みではありません。

痛みを理解して最適な解決策を提示できるように学んでいきましょう。

 

<参考図書>

デルモニューロモジュレーティング

バトラー・神経系モビライゼーション―触診と治療手技

<参考記事>

1)http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201802/554682.html?n_cid=nbpnmo_mled

2)https://medicalnote.jp/contents/150818-000006-NNUOOV

3)https://medicalnote.jp/contents/150818-000010-YFAHWX

4)https://www.iasp-pain.org/


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