「薬を飲んでも痛みが変わらない」

という患者さんの訴えを聞いたことがありませんか?

なぜ、痛みが薬で解決しないのでしょう???

 

◇痛みの定義

痛みというものが、国際疼痛学会(IASP:International Association forStudy of Pain)で定義されています。

Pain: An unpleasant sensory and emotional experience associated with actual or potential tissue damage, or described in terms of such damage.

 

和訳されたものを以下に紹介します。

「組織の実質的あるいは潜在的な障害に伴う,あるいは,そのような障害を表す言葉で表現される不快な感覚あるいは情動体験」

 

痛みは異物でもなく、損傷そのものでもなく、「感覚あるいは体験」であるわけです。

極めて主観的なものということで、相手が「痛い」と言っていたり、「痛みを感じている」のなら、その痛みは確かに存在するのです。

 

いじめとかハラスメントの考えと共通しますね。

 

だから、痛いと訴える患者さんに対して

「痛いはずないんだけどなあ」

とか

「それは気持ちの問題だ!」

みたいな対応は、適切な対応であると言えなくなりますね。。。

 

◇痛みへの一般的な処方

通常、医療機関で「痛い」と訴えると、鎮痛剤(消炎鎮痛剤)を処方されます。

時には麻酔薬が使用されたりする場合もあります。

 

鎮痛剤は「炎症反応」といった化学的なイベントに対して効果を示します。

組織の損傷などがあれば、そこで炎症物質や疼痛物質が出現します。

鎮痛剤などの化学物質は、そういった物質が作られるのを抑制するような働きを持っています。

 

鎮痛剤、抗炎症薬を飲むことで、痛みの感じ方が小さくなるのはそのためです。

ここで注意したいのは「損傷を修復しているわけではない」ということです。

 

鎮痛剤によって、「痛みの感じ方が小さく」なることを患者さんは「治っていく」と同義語で使う場合が多いです。

リハビリ担当者も「痛くなくなりました」という発言が患者さんから聞かれると、「良くなっている」と安心したりするものです。

しかし、組織が修復していなくても痛み方が小さくなるということが薬物治療では起こることを忘れてはいけません。

 

組織損傷に対して処方される鎮痛剤の役目とは

組織修復

ではありません。

 

痛みの経験をできるだけ小さいものにすることです。

 

組織の修復そのものは、それぞれの体の治癒システム次第なのです。

 

 

神経系に直接働きかける薬物も同様で、修復を促しているのではなく、「痛く感じる経験」を減らしているのです。

 

◇痛みや可動域制限が起きている原因

そういった組織損傷の痛みではなく、

  • 関節可動域制限とともに生じる痛み
  • 明確な損傷がないのに感じる痛み
  • 痺れのような痛み

などは、どんな理由で起きているのでしょうか?

 

組織損傷後の安静や、日常生活における過使用、不使用、誤使用、クセなどの個人のパターンにより、組織間の滑走が失われることがあります。

組織を包む膜同士があたかも張り付いてしまったような構造になっている様子が、エコー画像などから伺えます。

(1)より引用)

 

そういった状態になってしまうと、細い末梢神経(皮神経)や毛細血管は絞扼された状態になることが考えられます。

仮に毛細血管が絞扼されてしまうと、組織に栄養を届けることが難しくなります。

組織が酸性化することが予測できます(痛みの元)。

 

老廃物、疼痛物質がそこにとどまることも考えられます。

 

皮神経が絞扼されていれば、物理的な刺激として知覚することにも繋がります。

また、毛細血管の絞扼は神経への栄養も滞らせることが考えられます。

 

組織間の滑走が失われるほど張り付きが強ければ、組織の運動(関節が動く、筋が収縮する)自体が伸張刺激となって神経を興奮させることもあるでしょう。

 

◇痛みやROM制限を解決する

化学的な理由ではなく生じている痛みやROM制限に対して、解決する方法は「鎮痛剤」の処方だろうか?

という疑問が浮かび上がります。

 

ただ、患者さんの多くは「鎮痛剤の使用」を肯定的に受け入れています。(極端に嫌っている人もいますが)

先ほども触れたように「痛みの感じ方が小さくなる=治る」と誤解しているからでしょう。

リハビリを担当する者としては、相手の痛みの原因を見極めて、薬物の使用は適切にコントロールしたいものです。

 

鎮痛剤を用いずに「痛みの感じ方を小さく」できれば、患者さんは薬物から離れていくことができます。

その方法として

「組織間の滑走を作り、神経、血管を絞扼から解放する」

ことは有効であると考えます。

 

これは同時にROM制限の解決にも向かっていきます。

およそ、人体で運動が起こるとき、筋も神経も結合組織も「滑走という運動」が起こります。

場所によっては滑走ではなく伸縮が起こる部分もあります。

組織によって受動的な場合と能動的な場合と分かれるでしょうけど、「組織間で滑走が生まれる」状態が「痛みを感じにくい」状態であると言えます。

 

 

◇リハビリでできること

リハビリテーションとして、痛みや痺れの解決のために徒手的に介入するのであれば、そういう「組織間の滑走」を生むことが有効と考えます。

そのように考えれば、運動器疾患でも中枢神経疾患でも、徒手でできることは結構あります。

ただし、繊細な触診技術が必要になるのですが。。。

 

そして、徒手で行う場合、忘れてはならないのが「触れているのは皮膚である」ということと「深層の組織であればあるほどたくさんの組織の上から触れている」ということです。

 

骨の近くの組織や、インナーマッスルと呼ばれる組織を触れているわけでは決してありません。

ただ、触れ方次第では、その階層の組織に滑走を産ませるようなことはできなくもありません。

それには「関節の運動」をセットにして触れるのがポイントだと考えています。

 

「触れること(徒手技術)」と「運動指導」はPT、OT、STの強みですね。

◇医師との連携によって効果を出す

医師と連携できれば、化学的な対処法に加えて、深層組織に対してもアプローチが可能です。

ハイドロリリース」という方法があって、超音波画像で確認しながら、ピンポイントに組織間へ生理食塩水などを注入するやり方です。

 

PT、OT、STは注射することはできませんが、超音波を操り、身体評価とともに医師へ進言するという連携の仕方は実際あるようです。

 

除痛の方法として鎮痛剤、物理療法が中心だったかもしれませんが、「手で行う除痛」も知識と技術を高めていけば可能になると考えます。

 

例えば器質的な問題はなく、心理的あるいは社会的な理由が疼痛の元になっているような場合であれば、連携する相手が変わってきます。

もしも連携できる専門家がチームにいるのなら、協力を仰げばいいですね。

もしもそういう人がチームにいないのであれば、誰かがそういう役割を担う必要があります。

 

痛みというのは「感覚的で経験的な相手の主観」であるわけなので、内服薬以外では

身体的にも

心理的にも

社会的にも

クライアントをフォローしていけるPT、OT、STが必要とされますね、痛みの対処においては。。。

 

連携するにしても、自分で対応するにしても「交渉する力」は求められるでしょうね。

(6分くらいの動画)

 

<参考図書>

デルモニューロモジュレーティング

バトラー・神経系モビライゼーション―触診と治療手技

<参考記事>

1)http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201802/554682.html?n_cid=nbpnmo_mled

2)https://medicalnote.jp/contents/150818-000006-NNUOOV

3)https://medicalnote.jp/contents/150818-000010-YFAHWX

4)https://www.iasp-pain.org/


●確実な効果を出すには、「組織の滑走を生む触り方」が重要です。

その方法は、、、

 


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