【CVA】ハンドリングが上手くなるコツ

From.IAIR 福留良尚

 

脳卒中のリハビリでは、患者さんの動きを引き出すためにセラピストによる「ハンドリング」が行われます。

この「引き出す」というのがポイントではないかと思いますが、正式な言葉の意味は以下の通りです。

ハンドリング:調整すること。また、運用、処理、対応、自動車などのハンドル操作。

Goo辞書より

この引用の通り、以前は「操作する」という言葉がしっくり来ていましたが、実はそれは違うのではないかと考えるようになりました。

 

引き出す

脳卒中後遺症者のリハビリでは、可塑性に焦点があてられる昨今ですが、残存回路をしっかり使用できることも、ADLを高めるために重要な視点です。

神経の可塑性によって、これまで繋がっていなかった回路が繋がり、病前とは違う方法での動作を獲得していくことは、脳卒中リハビリの重点事項ですが、反面、モチベーションの低下や高齢化により、神経の可塑性が加速しない現状があることも知らなければなりません。

 

年齢が若い方が神経の可塑性は機能する。

 

年を重ねた高齢者が、新たな神経回路を形成していくことは、正直簡単なことではないです。

これまで培ってきた動作のパターンや、道具の使用方法、生活スタイルに合わせたアプローチの方が、長期記憶に内蔵されている運動パターンを引き出すのに有効である可能性が高いことも往々にしてあります。

もちろんダメージの程度によって、生活レベルを変えざるを得ない患者さんも多いでしょう。

 

正常を目指しても上手くはいかない

とかく、正常動作に近づけようとする傾向にある脳卒中リハビリですが、後遺症という脳細胞の損傷から現れる症状に対して、加味できていない現状があるように思います。

現状では、脳細胞は回復しません。これは周知の事実です。

かと言って、神経可塑性を期待しても、高齢であれば大きな期待は出来ません。

  • 自分の半身が動かない
  • 感覚が分からない
  • 痛い...

そんな状況で可塑性を高めるために大切なモチベーションや、ある種の高揚感を感じることは、正直難しいと思います。

 

ハンドリングの一例

では、簡単なハンドリングの違いを感じて頂きたいと思います。

  1. 一方の下肢を前方へ出し、ステップの肢位を取ります。
  2. 下腿を内旋させて反対側の足を前に出します。
  3. 同じように今度は外旋させて反対側の足を前に出してみてください。

どちらがやりやすい感じがしますか?人によっての違いを是非感じてみて欲しいのです。

 

 

ハンドリングで重要なこと

これまでお話してきた通り、ハンドリングで「操作」して新たな動作を獲得していくことは、容易ではないことはお分かりになったと思います。

操作とは、こちらの一方的な押し付けです。

しかも、正常動作で練習してもらおうと、教科書通りの運動療法を行ってしまうことも多々あります。

 

だからこそ、大切な考え方は「引き出す」なんです。

 

病前の生活パターンをご存知でしょうか?

椅子の生活でしょうか?畳での生活でしょうか?

お仕事は力仕事でしょうか?それともデスクワークでしょうか?

 

それによって、長年使用してきた運動パターンは、全然違います。

 

椅子からの立ち上がりと、床からの立ち上がりは全く違いますよね?

片麻痺だから椅子からだけと決めつけていないでしょうか?

もし、患者さんが長年畳での生活をされていて、その運動パターンが脳内の運動野に長期記憶として内臓されていれば、畳からの立ち上がり獲得も可能かもしれません。それをセラピストの判断で、椅子からの生活にしてしまえば、残像回路を十分に使えているとは言えません。

 

大切なのは、長期記憶に内蔵されている運動パターンを引き出すためのハンドリングが出来るか?です。

 

正常動作をいくら練習しても、それはセラピストにとっての正常であって、患者さんにとっての正常ではありません。ご本人はもとより、ご家族の方からの聴取が、ハンドリングを行っていく上では本当に大切なんです。

CCRAでは、患者さんの個別性に合わせたアプローチの方法をお伝えしています。

 

それでは、最後まで読んでいただけて感謝です。

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一般社団法人 国際統合リハビリテーション協会

常任理事 九州地区責任者 理学療法士

福留 良尚

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福留 良尚

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