膝蓋骨周辺の痛みに対する介入のアイデア

ちょっとした膝の痛み

膝を抑えながら、

「いつも痛いわけじゃないんだけど・・・」

「じっとしていれば平気なんだけど・・・」

と話される患者さんに出会った経験はありませんか?

 

膝に限らないことでしょうけど、ちょっとした痛みを持っている人に私はよく出会います。

 

そして、なんと、一番身近にいました。

私の膝が最近痛むんですよ。。。

変形性膝関節症の前兆???

 

数ヶ月前から膝が痛い理学療法士

2〜3か月前に膝蓋骨のあたりが痛くなり始めていたのですが、いつも痛いわけではなく、普通に過ごせるので気にもしていませんでした。

立ち座りや歩行でも痛みはなく、正座もできる(完全屈曲)し、立位姿勢で膝は伸びます(完全伸展)。

 

でも、

  • 階段の上り下りの最初の方でズキっとする。
  • 走り始めとカッティング動作(方向転換)でズキっとする。
  • ジャンプした着地でズキっとする。

といった具合に、ちょっと強度の高い運動を行うと痛みを感じるんですよね。

 

 

「日常生活が問題なく過ごせているからいいでしょ」

と判断される方もいることでしょう。

患者サイドでも医療者サイドでも。

 

「そのくらいであれば様子みよう」

という結論にたどり着いても不思議じゃないですし、むしろ一般的な感じもします。

 

そうはいっても、私自身、体の探究を続けているものですし、「理学療法士」という資格を持ち、勉強も続けています。

「こんなにいい教材があるのに放っておけません」

 

 

ということで、可能な限り介入を試みました。

この報告は、今、膝が痛い人にも、

膝が痛い人に指導する人にも、

膝が痛くなるのを予防したい人にも

参考になるかと思います。

 

 

まずは経過観察

とりあえず放っておきました。。。

「様子を見ましょう」って医療機関とかでもよく聞くセリフです。

なので「様子を見て」いました。

 

はい。

 

何も起こりません。

 

改善もしなければ、悪化もしない。

 

ここでわかったことは「炎症性の何か」ではないことですね。

腫れていないし、熱も持っていません。

持続的な痛みもありません。

夜間に痛むとか、起きがけに痛むといった自律神経との関連もありません。

この時点で「投薬は効果的ではないかもな」と推測します。

(本当かどうかはわかりません。内服治療していないので)

 

もう一つは、「勝手によくはなってくれない」という悲しい現実。

 

【ポイント】

様子を見るといっても、本当に「ほったらかし」にするのではなく、可能な限り観察しましょう。

・何したら症状が強くなる(軽くなる)のか

・時間による変化、日数による変化はあるのか

といった感じで。

 

この情報は、患者サイドの立場であれば、診察の時に伝えることで診療を良い方向に進ませます。

医療者サイドであれば、この情報を聞くことで戦略を練ることができます。

「様子を詳しく見る」ことは治療の助けになりますね。

 

 

今度は徒手的にチェック

様子見ていても変化ないので、何かしらのアクションが必要だな、と判断しました。

膝蓋骨の周辺は両手で届きますので、色々なチェックができます。

 

正座やしゃがむことが可能なので、いわゆる「膝関節屈曲可動域制限」はありません。

これは、何を意味するのかというと「膝関節屈曲運動」を妨げる「コト、モノ」がないことを表します。

 

関節内で液体が貯留していたり、半月板が挟み込まれていたり、遊離軟骨があったり、軟骨欠損があったり、滑膜が増殖していたりすると、関節運動を妨げます。

 

関節外で言えば、皮膚や筋組織に瘢痕化したところがあって柔軟性が落ちていたり、何らかの理由で膝関節周囲の筋が伸張されないと、運動を制限します。

 

可動制限がないことから、「そういうこと」はおきていないと判断します。

 

【ポイント】

可動域テスト(ROM test)では、「数字」に着目して、それが増えたとか減ったとかで評価するのではありません。

「何が原因で運動が制限されているのか」を推測するために角度を見るのです。

目的を間違えちゃダメです。

 

 

痛みの原因を絞る

痛いのは膝蓋骨周辺。

いわゆるAnterior Knee Pain と呼ばれるやつなのでしょう。

感覚的には膝蓋骨の真裏、膝蓋大腿関節(PF jt)と呼ばれる場所に痛みを感じます。

 

患者さんは「お皿の裏あたり?」と聞いた時に「そうそう」と頷いてくれます。

PF jtのチェックをしてみました。

膝蓋骨の外側がタイトな印象。(微妙な左右差だったので数値化できません)

膝蓋骨の上部を押圧した時に反対側と比べて硬い抵抗感ありましたが、主たる原因とは違いそう。

 

膝蓋骨を軽く抑えながら、膝の屈曲・伸展を繰り返します。

痛くない方と比べると「ゴリゴリ」と音が鳴っています。

そして、若干痛い・・・

【ポイント】

関節面にわざと圧縮をかけたり、牽引をかけたりしながら、症状の変化を見ましょう。

動かして「硬い」かどうかを見るだけではもったいない。

 

徒手的なアプローチ

これか!

原因はこれか!

 

多分ですけど、PF jtの位置異常が原因だろうと考えました。

膝蓋骨が大腿骨上でおかしな位置に存在したまま屈曲・伸展が行われるので、物理的に衝突が起こるのでしょう。

それによって摩耗された軟骨が膜を刺激しているのでしょう。

と、いうことで膝蓋骨のポジション修正を始めます。

 

膝蓋骨の位置

最初はシンプルに膝蓋骨を動かしてみました。

  • 頭側ー尾側方向
  • 内側ー外側方向
  • 回旋方向

あまり左右差はないですし、効果的な感じがしません。

事実、階段や走った時の痛みに変化はありません。。。

 

膝蓋骨は大腿四頭筋に包まれています。

それなら、大腿四頭筋の走行を変えたらいいか」と思いつき。

 

起始と停止をチェック。

ざっくり言えば、骨盤と脛骨。

脛骨の位置は足関節の状況に依存します。

骨盤の位置(向き)は股関節、脊柱の状況に依存します。

 

細かい評価は割愛しますが、痛い方の股関節には可動制限のある方向がありました。

ただし、それはいわゆる正常範囲は超えています。

 

運動パターン

どこかの制限によっておきているというよりも、運動パターンによるものかも、となぜか思いつき、自分なりに動作をチェック。

 

階段や走行や着地で痛むので、選んだ動作は「スクワット」。

 

スクワット運動を繰り返す中で、1回1回

・つま先の向き

・膝の向き

・膝の位置(足部に対しての)

・骨盤の向き

・股関節の角度

・脊柱の向き

を変えながら、ベストの向きを探します。

 

ベストの向きとは「痛みなくスクワットできる向き」です。

 

探していたら、見つかりました。

 

痛みもなく「ゴリゴリ」と音がならない、ちょうど良い位置が。

 

そのままスクワットを繰り返していると、関係のない場所に動きを感じます。

 

股関節と腰椎、胸椎。

その周辺で硬くなっている場所をできる範囲でほぐした後、今度はその部分を意識しながら、スクワット。

 

筋肥大目的のスクワットではないので、負荷は自重のみで、回数は適当です。(かなりの低負荷です)

 

結果

階段降りるときはいつも痛みを感じていましたが、翌朝は感じませんでした。

着地の時も平気です。

 

これはうまくいったか???

 

 

また「様子を見よう」と思います。

 

終わりに

ここまで読んでいただいて、お伝えしたいことは「膝が痛い人にはスクワットを指導しよう」ということではありません。

スクワットをするなら低負荷で、とかそんなことでもありません。

 

運動学や解剖学で得た知識をもとに、生理学的な反応も考慮して、オーダーメイドに作戦を立てていかないと良い結果にたどり着きませんよ、という話。

 

 

私の経験のように、大きな活動制限になる前の小さい痛みのうちに、芽を摘んでおけると、頻回な診療や投薬、あるいは手術にならないで済むので、小さい痛みを訴える方に出会ったらチャンスだと思って、痛みを解決していきましょう。

 

 

 

2年の月日が経ちました。。。

股関節の可動域を広げ、広げた可動域が活用できるように筋を使う、トレーニングを続けていました。

階段の痛みは感じていません。

 

カッティング動作でもほぼ痛みはないです。

 

ただし、何気なくな歩いていて足部設置のふとした角度で膝に痛みを感じる時があります。

しゃがむ動作も正座もジャンプも問題ありません。

 

まだまだ探究を続けなければ、、ですね。

 

ちなみに今は腰椎の可動性、大腰筋のコントロール具合に注目して体を動かしています。

 


 

 

 

 

 


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