随意運動と不随意運動 麻痺側への荷重練習で大切なのはどっち?

脳卒中リハの中でも、特に時間を掛けるであろう麻痺側への荷重練習。

立位、歩行といった生活範囲を拡大していくための重要なアプローチです。

 

随意運動と不随意運動の違い

人間の筋肉は、意識して動かせるものと無意識に動くものがあります。

少しずれますが、無意識に動くものの代表が内臓の平滑筋です。

 

内臓は意識して動かせませんよね?

ですが24時間365日フル稼働で動いています。

 

この無意識で行われる運動が不随意運動です。

 

私たちは、通常の歩行や手を伸ばすリーチ動作であっても、無意識で行われる運動によって姿勢が保障され安定してスムーズに動くことが出来ます。

地球の重力下で動作を遂行するためには、必ず重力に抗する体の働きを駆動させないといけません。

 

しかも無意識で。

 

この無意識で行われる姿勢を保証する機能を、Anticipatory Postural Adjustments【APA:先行随伴性姿勢調節】と言います。

「随意運動と不随意運動」というタイトルですが、正確にはオートマチックという意味での自動運動といった方が良いでしょう。

 

 

Ex1.荷重練習で意識しているのはどこ?

荷重練習の場面を想定していきましょう。

セラピストであるあなたは、患者さんの麻痺側から介助をしています。

そして、こう言います。

 

「良い方の足を一歩前に出してみましょう」

 

この時患者さんが意識しているのは、前に出す足ですが、荷重練習ですから対象は麻痺側下肢。

「意識していない」側になりますので、APAによる自動的な運動が行われていることになります。

 

Ex2.リーチ動作で意識しているのはどこ?

あなたの右側にあるもの、出来れば手を伸ばしてもギリギリ届かないようなところにあるものを、体を動かしても良いので右手で取ってみましょう。

この時意識しているのは「右側にあるもの」ですよね。

 

では、無意識で行われた運動は?

 

まず一つ、あなたの重心は今どちらにあるでしょうか?

十中八九「右」のはずです。

右への重心移動は、無意識で行われています。

 

もう一つは、今回のコラムと少し離れますが、伸ばした手の運動です。

最短距離で対象物に手が伸びましたよね?

これはCPG(セントラルパターンジェネレータ)といわれる部分が、無意識でも手が対象物に伸ばせるようにコントロールしているのです。

 

荷重練習で大切なのは

どのような動作を行う時にも、姿勢が保たれていないと安定してスムーズに動作を遂行することは困難です。

そういう意味で、荷重練習の際に必要なのは無意識の運動と言えます。

 

しかし、私たちは、良くこんなふうに患者さんに指示を出してしまいます。

「背筋をのばしてください」

「こちらの足で踏ん張りましょう」

「力を入れて支えてください」

無意識で行われる姿勢調節のはずなのに、意識させてしまっています。

これでは引き出したい脳の機能と一致しません。

 

随意運動を担う経路

【皮質脊髄路】大脳皮質の運動野から脊髄を経て骨格筋に至る神経線維の伝導路。錐体路ともいう。

自動運動(姿勢調節)を担う経路

【網様体脊髄路】橋や延髄に存在する網様体が、大脳皮質などからの入力を受け、これらの情報を統合し、情報を伝達する伝導路。錐体外路ともいう。

 

今引き出したいのは、皮質脊髄路で伝わる随意運動なのか?

それとも網様体脊髄路等で伝わる無意識の運動なのか?

それを意識して運動療法を提供しなければ、患者さんは常に意識した歩行やリーチ動作を学習してしまいます。

 

実用性のある動作を獲得していくために、意識してもらう部分とそうでない部分を使い分けてアプローチを提供しなければなりません。

 

CCRA【脳卒中包括的リハビリテーションアプローチ】では、脳卒中リハビリの基礎的な内容からお伝えしています。

 

それでは最後まで読んでいただけて感謝です。

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国際統合リハビリテーション協会

理学療法士 福留良尚

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福留 良尚

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国際統合リハビリテーション協会常任理事 IAIR九州専任講師 理学療法士 コンディショニングサロン仁愛クリニカルルーム代表 3児の父 
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