精神科作業療法は減薬断薬につながるのか?

精神科作業療法は減薬断薬につながるのか?【作業療法とIAIR】(04)

精神科作業療法は減薬断薬につながるのか?

精神科作業療法は減薬断薬につながるのか?【作業療法とIAIR】(04)

診療報酬改定目前の昨今、28年時に示された精神科における多剤治療の算定見直し(※1)。既に統合失調症に対して多剤治療の有効性にエビデンスはないと言われ続けて久しいが、我々作業療法士として、減薬や断薬につながる作業療法を行えているのだろうか? ともすると理学療法士の力を借りなければ減薬や断薬につなげるリハビリテーションが行えないのではないだろうか。減薬断薬につなげる作業療法について考えていく。(※1厚労省HP資料より)

 

◆ 3剤or4剤治療論にエビデンスはない!

既にご存知かと思うが、平成26年時点でこの論議がされた時、利権がらみで4剤治療容認の流れだったが、前回の改定で多剤治療の減算が示された(※1)。統合失調症の患者に対して多剤治療をしても効果がないだけではなく、年間1%ずつ脳の萎縮が認められるとの報告もある。精神科作業療法士の立場で薬物治療に口は出せないだけに、気づいていても見ないふりをしてきた事実だろう。

 

◆ 精神科作業療法は減薬断薬につながるのか?

だが、現場で精神科作業療法をしてきた諸氏は、漫然と手工芸や集団療法、社会参加訓練などをしてきたわけではない。目的があってそれらを行ってきたはずだ。実習に来た学生に十分説明するには言葉が足りない諸兄もいたため、「精神科実習ワカラナイ」と長年言われ続ける事になったのもまた事実だろう。理学療法士諸氏には「治らないのにリハビリして意味あるの?」と言われた事もあるかもしれない。(事実筆者は言われた事があるが、それはまあ置くとしよう)だからこそ、敢えて言おう。精神科作業療法は減薬断薬につながるのだ、と。

 

◆ 精神科作業療法で何を変えるのか?

命令語や操作的な言葉に引っかかるかもしれないが、ひとまず黙って飲み込んで欲しい。現状、精神科作業療法で行われるアプローチのほとんどが足し算のアプローチになっていないだろうか? 引き算のアプローチを十分行えているだろうか?

少し解説が必要かもしれないので、簡単に説明すると……

  • 足し算のアプローチ:能力の獲得、技術の習得など。
  • 引き算のアプローチ:阻害因子除去。

つまり、引き算のアプローチで、元々持っている能力を阻害している因子を取り除く為のアプローチをしてから、足し算のアプローチで能力や技術を獲得していかないと、いつまでたってもマイナスからプラスどころかゼロにすら到達しない、というアプローチ手順の一つだ。

改めて、精神科作業療法を行う際に、どちらで行っているのだろう?あなたは気にした事があるだろうか?

 

◆ 作業療法の価値を見直すには?

散歩をする、体操をする、茶話会をする……一見、遊んでいるように見える精神科作業療法。MOHOなどのモデルで解説できるのだが、一般人や多職種にはわかりづらい。何より先の引き算のアプローチとしてどうつながっているのか、足し算として何が伸びたのかを説明するには少々難しい。これもまた精神科作業療法士の悩みの種だろう。そこで一つ提案したいのが作業療法で脳内ホルモンの環境を整える事は出来ないのか、ということ。手段のベースとなる脳内の働きを考えるには、人の心を構成する基本となる三物質、ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンについて知り(※2)、更にそれらを作業療法のどの場面で活性化させているのかを意図した構成にする必要がある。

漫然とアプローチをしていた時と比較するまでもなく、作業療法士の言葉一つにも脳内ホルモンをコントロールするアプローチと化すのだ。

結果として、減薬や断薬に近づくリハビリテーションとなっていくのだ。

 

◆ 知識と作業療法をどう繋ぐか?

残念ながら紙面だけでは足りない。筆者もこの講義をする際は3~4日合計24時間以上かけているだけに、膨大な文量になってしまうことは想像に難くない。だが、どこで学ぶにせよ、知識とした後に作業療法へと如何に落としこむかがポイントとなる。こればかりは、直接実践している作業療法士諸兄に訊いてしまうのがいいだろう。そんな場が作られているので、まずは覗いてみてはどうだろう?(OTのOTによるOTの為のミーティングルーム https://www.facebook.com/iairot/

 

◆ 本日のまとめ

色々とお話しましたが、まとめると……

  • 精神科作業療法は減薬断薬につながる!
  • 引き算のアプローチを考える!
  • 脳内ホルモンの調整が鍵を握る!

僕ら作業療法士が関わるのは人の人生です。人生においてより良い選択をしてもらう為にも、身障系、精神科系などの分野にこだわらず、患者さんと関わっていきましょう!

IAIR副会長齋藤信
IAIR副会長 作業療法士 齋藤 信

◆ 精神科作業療法に脳科学的根拠を!

散々話題にしておきながら、IAIRでは脳内ホルモンの調整に繋がる講義はないのか?
とお叱りを受けてしまうところですね。

もちろんあります!

2019年1月5、6日の2日間で、作業療法士限定の講義が開催されます。
数ヶ月後を今から? ええそうです。今から予定を空けてお待ちください。

詳細はコチラ >>> https://iairjapan.jp/ebot01

 

◆ 精神科作業療法にエッセンスを!

もう一つは、香りと脳の関係を意図的に活用する講座があります。
アロマを現場で使っている方は多いですが、そのエビデンスを説明できますか?
この講義で自信をもってリハビリに活用しましょう!

詳細はコチラ >>> https://iairjapan.jp/mart/seminar/

 

◆ 引用・参考

※1:厚生労働省HPより 中央社会保険医療協議会 総会(第328回)議事次第
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000111936.html

※2:有田秀穂医師HPより リズム運動がセロトニン神経系を活性化させる
http://www.serotonin-dojo.jp/article03.html

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