変形性膝関節症の診断名がついて、治療が始まる人はO脚(内販膝)で肥満傾向の方が多い印象がありました。
お話をしていると、どうやら主治医から「膝のために痩せなさい」と言われるのだそうです。
肥満と膝の痛みについて、改めて調べてみました。
目次
膝の痛みのメカニズムについて(変形性膝関節症)
『「軟骨がすり減るから痛い」っていうのは説明不足だよね?』
という部分はご理解いただけておりますでしょうか?
何事もそうですけど、対策というのは
・なんとなく
・気分
・勘
で決定しない方がいいと思います。
「直感」の発言を聞いてもらえるのはそれなりの信頼関係ができてからです。
信頼関係の構築のためには「納得のいく事実」が必要です。
実績とも言いますね。
(ひらめきは大事ですよ。ひらめきを裏付ける論理がないと聞く耳を持ってもらえないです、ほとんどの場合)
太るから膝が痛いの?
膝の痛みに対して、原因は
「太っているから」
と言ってしまうことに、どれだけの論理があるのでしょう?
太っている人で膝が痛いという人は確かに多いです。
印象的にも統計的にも。
だからと言って、目の前に現れた「膝が痛い人」に「痩せましょう」というのは、浅はかな気がします。
ただ、肥満自体は膝の痛み、中でも変形性膝関節症になるリスクファクターと捉えられています。
じゃあ、太ってる人はみんなOAか、というとそうでもなさそうです。
太っていない人もOAで苦しむ人がいます。
そこで、
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/art.20726/full
によると、
アライメントの不整と体重増加が絡むとリスクが増大するようです。
これは、臨床で得られる印象とも合致しますね。
アライメント不良
膝の痛みのメカニズムからしても、アライメントの不整は関節軟骨の磨耗、欠損を導くでしょうし、それがトリガーになって滑膜炎を助長するでしょう。
そして、「肥満」と判断される状態になっているということは、なんらかの代謝異常を呈していることが考えられます。
その代謝異常は炎症部位に対して、「慢性化」を引き起こす原因となります。
肥満はアライメント不良と重なると、膝OAの強いリスクファクターになるみたいです。
では変形性膝関節症として診断を受けてしまった後、減量(痩せること)は効果あるんでしょうか?
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4657487/
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1856062/
によると、体重減少は膝の痛みに効果的のようです。
膝が痛い人に向かって「痩せましょう」というのは、的を得ているということですね。
「痩せて」と言われて痩せたら苦労しない
では、誰がその「痩せる」ことをサポートするんでしょう?
大きな病院ではほとんどの場合、「手術」を治療の目的に患者さんがいらっしゃいます。
現状の保険制度がその方向を推奨しているのですよね。
クリニックなどで保存的に加療して、症状の変化が見られない場合、手術目的あるいは精査目的で大きな病院へ。
大きな病院では通院リハビリとかは限定的になっている場合が多いようなので、大きな病院に紹介されるのは手術が目的のケースが多いようです。
しかし、
「半月板切除による機能改善、理学療法と有意差なし(NEJM誌から)」
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/nejm/201304/529757.html
(原著が見つけられなかった)
のように、場合によってはリハビリテーション(ここでは理学療法)が手術と同等な効果を示すこともあるわけです。
例えば、半月板損傷や半月板断裂という診断を受けた場合であっても、半月板自体からの求心性インパルスによって痛覚を感じているわけではないことが言われます。
炎症を引き起こす要因が、クリアされれば、手術をしなくてもいい場合もあるでしょうし、手術をしても繰り返すことだってあります。
事実、私は
半月板部分断裂(通院リハビリ)
↓
半月板切除術
↓
高位脛骨骨切り術
↓
TKA
と進んで行ったケースを担当した経験があります。
何年もの時間をかけて。
その人は、一貫して「肥満体型」でした。
STOP肥満
当時の私に「代謝」に関する知識があれば・・・
当時の私に「肥満」の理解がもっとあれば・・・
多くの人は「肥満」を「外見の問題」と捉えています。
「見た目的にちょっとアレだよね」
くらいに考えているのですが、肥満状態になるのは、代謝のシステムとして異変をきたしていることが多いのです。
だから
metabolic syndrom
なんです。
代謝異常なんですよ。。。
「メタボ」なんて言って、ネタの一つにしてしまっていますが、結構な問題なんですよ。
内科的にも整形外科的にも。
太ってる人に「痩せましょうね」って言っても、解決しません。
太る理由について知らないと、対策できないですからね。。。
もしも、効果的な治療法(リハビリ)を実践していても、期待した効果が得られないとしたら、それは肥満の改善を優先させると良いかもしれません。
膝の機能改善に必要なこと
では、肥満の改善って?
「運動しましょうね〜」
「食べる量減らしましょうね〜」
は、あまりにも大雑把な助言ですね。
前のコラムでもお伝えしたように、アライメントの修正が滑膜炎のサイクルを止めるにも大切です。
だから、徒手療法や運動療法は膝の痛みの解決に有効です。
関節内注射だって一時的にでも滑膜炎という炎症を抑える意味で有効です。
ただ、スポーツや突発的なアクシデントを除いて、アライメント不良や肥満を招いたのは「生活習慣や思考パターン」な訳なので、そこが変わってこないと症状は繰り返します。
その部分は手術では改善できないのです。
リハビリ担当者が適任?
誰が指導できます?
私は「誰だっていい」と思います。
これだけ情報に溢れた世の中ですから、必要な知識には簡単にアクセスできます。
その上で、医療従事者であるリハビリ担当者が適任だと思っています。
医療従事者の強みは、その経験値だと思うんです。
だから、その強みを磨き上げて、手術を受けなくてもいいように、手術後の経過を良好にできるように、リハビリテーションで働き掛けてほしいな、と強く思います。
病院で出会う患者さんだけでなく、病院に来る前の人にも。
日常生活に働きかけようとするリハビリ専門職ならできますよね!
クライアントとよくよく話をして、思考と行動のパターンに変化を生み出しましょう。
IAIRの考え方をお伝えするコラムや、セミナー情報が届く無料メルマガの登録はこちらから
【福田陽介無料メールマガジン】
世の中のことを一歩引いた目線でみた徒然を週に1回、11:30にこっそりとお届けしています。
いつでも解除できて、登録は無料です。
登録はこちらから。