IAIR(国際統合リハビリテーション協会)
国際事業部より

 

ハロー!
IAIR国際事業部 所属の
吉田頌平です。

私のコラムでは、
「海外のリハビリ事情」をテーマに
海外でも療法士として
活躍したいと思っている方、

海外から来られた患者さんとの対応に
困っている方へ
お届けして参ります。

 

【自己紹介】

初めてお会いする方も
いらっしゃると思いますので
簡単に自己紹介をさせていただきます。

私は2012年に
作業療法士免許を取得し、
同年6月にカナダへ留学いたしました。

2012年11月より、
カナダのクリニックへ
1年間勤務したのちに帰国、

その後は急性期〜生活期の方々を対象に
整形外科の病院・クリニックで
働いております。

現在は、
IAIR関東支部で
インストラクターを務める傍で

国際事業部を担当しており、
IAIRの国際化を推進しています。

 

【本日のテーマは?】

今回も、IAIR国際事業部のツイッターから
ほぼ毎日発信している文献の中でニュース
気になったものをピックアップしていきます。

本日のテーマは、
「コミュニティ」です。

近年、地域包括ケアと合わせて
日本版CCRC
(Continuing Care Retirement Community:
持続可能なケアを受けられる退職後の高齢者向けコミュニティ)
が注目を浴びており、

各都道府県でも、様々なモデルが創発されているところです。
(詳しくは、こちら

また一方で、離職と慢性化した頸部痛の有無に
関連があるという報告があり、

年齢に関係なく、
いかに自身の健康を考えながら
地域で生活して行くのか?
が大きなキーワードとなっています。

地域住民にとって、
果たしてコミュニティの果たす役割やパワーって
どんなものなのか?

今回は、私自身の体験を通して
考察してみます。

【仕事を頑張る人にとっての慢性疼痛】

オフィスワーカーの頸部痛の発生要因に関する
横断研究によると、

512名のデスクワークを主とする方
(職業の内訳:
マネージャー、医療秘書、
グラフィックデザイナー、エンジニア、学術関連)を対象に、

「Dutch Musculoskeletal Questionnaire」と呼ばれる
産業に関する筋骨格系に関した健康のセルフレポートを
初回と、初回から12ヶ月後にそれぞれ提出してもらったところ、

512名中233名の方が頸部痛を感じており、
233名中42名が慢性的に頸部痛を感じていたとのことでした。

頸部痛のある方の特徴を分析したところ、
・長期間、同じ姿勢が続くこと
・40歳以上であること
などの身体的要因の他に、

・昼休憩後にリラックスできない
・週末に精神的疲労を感じている
と感じている人が、身体的要因を有する人よりも
2倍以上多かった、と報告しています。

また、頸部痛を理由に
52名の方が病欠されたり、就労時間を変更したり
職場の環境を調整したとの報告や、

「慢性化した頸部痛と気分の落ち込み」に関する研究では
3ヶ月以上、慢性頸部痛に悩まされている80名の方のうち、
54名が不安感を、
44名が気分の落ち込みを経験されていたとの報告もあり、

頸部痛は
1日ごとの身体的影響だけでなく継続した精神的疲労に及んでいく、ということです。

特徴的だったのは、
高等教育まで受けてきた方と、
進学して教育を受けた方では
高等教育まで受けてきた方のほうが
不安感や気分の落ち込みを感じる人の割合が多かったという報告が
割と多くみられたことです。

なぜ、ここで教育が絡んでくるのか?
という疑問がわきますが、
ひとまず話を先に進めてまいりましょう。

【慢性疼痛を抑制する要素は?

慢性化した頸部痛を、
自分でコントロールする方法はないのでしょうか?

1. 中等度以上の負荷がかかる運動を60分/週以上行なっている
2. 喫煙の有無
3. 飲酒習慣(1週間の酒種、総飲酒量、平均摂取量)
4. 野菜、果物の摂取

各項目から健康的な習慣を送っているかどうかを
チェックしたところ、

3つ以上の健康的な生活習慣を送っていた方のほうが
4年後の
男性では腰背部痛、
女性では頸部痛の発生率が
優位に低かったと報告しています。

じゃあ、運動をして、タバコをやめて
お酒を控えて、野菜・果物を摂ってれば大丈夫…

いえいえ、ちょっと待ってください。

始めのあたりで、
「慢性頸部痛は、継続した精神的疲労を及ぼす」
と述べたように、

精神的にも参ってるのに、
いきなり生活習慣を変えろって意見をぶつけられても
正直、苦しさ倍増しちゃいますよね…??

私の私見ですが、

有り余る健康に関する情報から
「なんとなく、これが原因なのかな…?」
と、論理や根拠はないけど
なんとなく痛みを引き起こしている要因を察している。

けれど、自分にどう当てはまるのかがわからない…

そんな状況に、慢性頸部痛をお持ちの方は
いらっしゃるのかもしれません。

だからこそ、

「知識」として蓄え続けた健康に関する情報を、
「知恵」として生活に活用できるように
これまで蓄えた知識を変換していくことが
医療従事者に、いま求められているのだと思います。

【コミュニティの役割と、環境設定に求められること】

では、どうやって知識を知恵に変えていくのか?
そのキーワードが、「コミュニティ」です。

コミュニティの特長のひとつに、
「ヘルスリテラシー:(健康に関する情報を適切に解釈する力)」
を高められることが挙げられています。

ヘルスリテラシーを高める要因は、
1. さまざまな分野とコラボした
共同学習ができる環境であるため
2. 社会的サポートを受けられるため

であり、様々な分野を
お互いに学び、教え合える環境と
専門家からのフォローアップとフィードバックによって
健やかな生活につながると
報告されており、

ますますコミュニティが担う役割が
重要視されてきています。

このサービス提供者・利用者がお互いに学び合いながら
健康に関する知恵を高めていく社会システムを
LHS(Learning Health System:他業種連携・継続学習型ヘルスケアシステム)
と呼びます。

サービス利用者は、より自分のことを知りながら
サービス提供者は、より個別に情報を整理しながら
お互いに学び合う環境、ということです。

このような環境設定を行うために必要なのは条件として、
41名の他業種連携・継続学習型ヘルスケアシステム
(Learning Health System:LHS)のリーダーに
インタビュー調査を行ったところ、

・システムとして目指すゴールを整えること
・学ぶ動機作りを行うこと
・文化的背景と業務内容を統合すること
・学びと仕事のバランスを取ること
・過程より結果を重視すること
・既存のヘルスケア環境を、新鮮味のあるものに変える努力をすること
・限られた方法下での業務遂行と評価のバランスを取ること
・学びを「作る」のか、「買う」のかを決める手助けをすること
・サービスの品質改善を継続できるように調査すること
・学びの価値を決めること

が必要であると報告されています。

一言でまとめれば、
「サービスを提供するお相手が、何を望んでいるのか
できるだけ具体的に考えていくこと」
が肝要、ということです。

【知識を知恵に】

私が留学していたカナダ・オンタリオ州では、
都中心部でも多くの市民向けカレッジが開講されていました。

各語学研修、パソコンのタイピングからシステム・アプリ開発講座、
大工の研修など…

ただ学ぶだけではなく、仕事として卒業後も活躍できるスキルを身につけられる
場所となっていました。

語学学校に通う傍ら、友人に誘われて
地元コミュニティが主催する、英会話ラウンジに参加していました。

最初は、「学校が終わったのに、また勉強するのかよ〜」
と、思っていましたが

参加してみると
「英語が拙い私の話を、一生懸命聞いて理解してくれようとしてる…!!」
と、感動したものでした。

どんなバックグラウンドを持っていようが、
「ただ英語を喋れるようになりたい」という
個人の想いを尊重してくれる一体感を、
そのコミュニティでは感じました。

そのおかげで、自分よりも上手に話せる方の
話し方や工夫の仕方を学べ、
結果的には自分のモチベーションアップにつながり、

ちょっと大げさですが、
「カナダの地で、自分が生きているんだ!」と、
なんだか生きている喜びを感じることができました。

これまで養成校で学んできた専門的知識は、
今や医療関係者以外の方でも
知ることができる時代になってきました。

その一方で、
「いろんな情報がありすぎて、
どれが正しいのかがわからない…」
という状況に陥りやすいのも事実です。

なんでもいいので、
興味が向いているところから
一緒に考えてくれる機会があると、

徐々に自分のことを知ることに
集中できるようになっていきます。
(私の場合は、現地での英会話でした。)

患者さんの素朴な疑問こそ、
療法士は真摯に答えられるようにしていきたいですね。

IAIRは、
患者さんのために頑張りたいと願う療法士、
様々なフィールドで社会貢献ができる療法士を
全力で支援いたします!

国際派療法士を目指したい方は、
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*参考文献・参考資料

(1) オフィスワーカーの頸部痛の発生要因に関する横断研究:
B. Cagnie et al .Individual and work related risk factors for neck pain among office workers: a cross sectional study. Eur Spine J. 2007.16(5). 679–686.

(2) 慢性化した頸部痛と気分の落ち込み:
Imane Elbinoune et al.Chronic neck pain and anxiety-depression: prevalence and associated risk factors.Pan Afr Med J. 2016.24.89.

(3) 健康に配慮した生活習慣と頸部・腰背部痛の長期化との関連:
Eva Skillgate et al.Healthy lifestyle behavior and risk of long duration troublesome neck pain or low back pain among men and women: results from the Stockholm Public Health Cohort.Clin Epidemiol. 2017. 9. 491–500.

(4) 慢性疾患を伴う患者さんのセルフマネジメントの重要性とヘルスリテラシー:
Monique Heijmans et al.
Functional, communicative and critical health literacy of chronic disease patients and their importance for self-management.Patient Education and Counseling. 2015. 98(1).41-48.

(5) コミュニティをベースとした取り組みは、ヘルスリテラシーを高める:
de Wit et al.
Community-based initiatives improving critical health literacy: a systematic review and meta-synthesis of qualitative evidence.BMC Public Health.2017. 18(11) . 40.

(6) LHSでリーダーシップを執るために必要な要素:
Wayne Psek et al.
Leadership Perspectives on Operationalizing the Learning Health Care System in an Integrated Delivery System.EGEMS (Wash DC). 2016.4(3).1233.

 

今後、IAIR国際事業部が発信するコラムでは
海外の療法士や患者さんと
交流できるようになるために

「海外のリハビリ事情」をテーマに
皆様にお届けできればと思います。

リハビリ分野に関わりながら海外へ出てみたい!
と思われている方は、
ぜひ「IAIR国際事業部」をチェックしてください!

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

IAIR国際事業部

吉田頌平

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