【変形性膝関節症】膝の痛みに対してガイドラインで推奨される治療法

「変形性膝関節症」と診断を受けた患者さんや、まだ診断を受ける前の人で、「膝の痛み」を訴える人は多い印象です。

膝関節専門医がいる病院でリハビリ業務をしていた経験から、「膝に痛みを感じる人の一般的な原因と推奨される治療法」について辿ってみたいと思います。

 

●膝の痛み(変形性膝関節症)

「膝が痛い」と感じる人は、日常生活に支障がなければ、薬局で湿布を買ってきて痛い場所に貼ったりしてしのぐようです。

 

跛行が出てくる(他人が見てもわかるくらいかばっている)と、いよいよ整形外科を受診します。

 

受診をするとまず膝関節のX線写真を撮影します。(レントゲン撮影)

その人の年齢、体格、生活パターンを聞き出したら、診察室でよく聞かれるキーワードは

  • 年のせいだよ(年だから仕方ない)
  • 体重が重いからね、痩せてくださいね
  • 運動不足ですから筋肉つけましょうね

に分けられます。

 

そして、多くの場合「変形性膝関節症」という診断がつきます。

40歳代以降の女性から多くなっていくという統計があるようです。

参考:変形性関節症治療の国内外のガイドライン

●痛みへの対処法

年齢や、体重や、運動不足が原因であるのなら、薬物療法は効果を示さないとは思うのですけど、受診した人の多くは「消炎鎮痛剤」を処方されます。

外用薬、内用薬のどちらかあるいは両方。

 

そして、クリニックとかですと通院して物理療法を勧められることもあるそうです。

 

内服治療などで反応しない場合、関節内注射が行われたりします。

そして、ストレッチや自宅でできる運動などが書かれたパンフレットが渡されたりします。

 

●それ、膝の痛みに効果あるの?

ところがOsteoarthritis Research Society International(OARSI)を日本整形外科学会が翻訳したガイドラインを見てみると

  • 温熱療法、経皮的電気神経刺激療法(TENS)→推奨度C
  • 外用の NSAIDs およびカプサイシン(トウガラシ抽出物)→推奨度B
  • 副腎皮質コルチコステロイド関節内注射→推奨度C
  • ヒアルロン酸関節内注射→推奨度B
  • グルコサミンやコンドロイチン硫酸→推奨度D

という表記をされています。

*推奨度 grade
A:行うように強く推奨する
B:行うよう推奨する
C:行うことを考慮してよい
D:推奨しない

(引用:変形性関節症治療の国内外のガイドライン

 

 

ちなみに

・治療の目的と生活様式の変更,運動療法,生活動作の適正化,減量,および損傷した関節への負担を軽減する方法に関する情報を提供し,教育を行う→推奨度A

・疼痛緩和および身体機能を改善するための適切な運動療法について,理学療法士による評価と指示・助言→推奨度B

 

となっています。

患者さんの話を聞いていると、効果の有無はそれぞれだとしても、あまり推奨されないような治療法を選択されている場合もあるようです。

 

●なんで膝が痛い?

膝が痛くて受診して「年のせい」「太っているから」「運動不足」と言われると、納得というよりは諦めに近い感情になったり、怒りが芽生えたりするケースがあるようです。

 

なんででしょう?

 

それはおそらく「痛みの原因」を相手の納得いくレベルで伝えられていないからじゃないかと思います。

 

なので、リハビリ室で担当することになったクライアントさんには、

  • 今起きている現状
  • 処方薬の意味
  • 放っておいた場合の一般的な経過
  • 推奨されている対応策
  • 今後の見通し

を「リハビリテーション担当者」として伝えてみてください。

 

おそらく、「年のせい」「肥満のせい」「運動不足」というキーワードは恐ろしく言葉を省いた説明なのだと思います。

 

●膝の痛みは滑膜炎?

変形性膝関節症の説明をするときに

「骨と骨の隙間がなくなり、軟骨がすり減って痛みが出る」

という内容を伝えることがありませんか?

膝(骨)の痛み

(引用:Osteoarthritis as a disease of mechanics

 

変形性膝関節症による痛みであるのなら、それは侵害受容性の痛みであると言われます。

関節軟骨には自由神経終末はないので、

「骨と骨の隙間がなくなり、軟骨がすり減って痛みが出る」

という説明は、ちょっと足りませんよね。

 

軟骨がすり減ることによる痛みでないとしたら、なんで痛いのでしょう?

 

●膝関節内の痛み

関節内で軟骨の磨耗があると、その遊離した軟骨片が細胞膜に働きかけ滑膜炎を引き起こします。

炎症状態が長引くと、その酵素反応により軟骨の脆弱化が起こると指摘されています。

そうやって滑膜炎のサイクルが回り続けてしまうのです。

 

なので、膝の痛みの主たる原因は滑膜の炎症と考えます。

関節内注射が短期で効果を認められるのはその部分でしょう。

 

 

●膝の痛みに対するリハビリ的視点

炎症による痛みは化学的なイベントによるものですので、薬物療法が効果を示しやすいです。

 

では、炎症の原因は?

 

なぜ「軟骨破壊、軟骨の磨耗が起きたのか」その原因について考えていかないと、炎症のサイクルを止められません。

リウマチなどの特別な疾患を除けば、軟骨の磨耗や破壊は単位面積あたりの持続的な力学的負荷によると言われます。

 

わかりやすくいうと、

「関節のある一部分に荷重がかかり続けると軟骨の破壊、磨耗が始まる」

ということですね。

 

それはどういうことかといえば、

決まりきった姿勢、運動パターン[いわゆるクセ]

によるものから始まるというのです。

 

 

膝関節に限らず、脊柱、股関節、足関節などの他の荷重関節の可動性が低下していくと、決まったパターンの姿勢や運動に陥ってしまいます。

柔軟に動く関節であれば多種多様なパターンの運動や姿勢が可能になります。

 

運動や姿勢のパターンが豊富であるというのは「関節面での荷重線が一定にならない」というメリットがあります。

 

決まった姿勢に陥ってしまうと、決まった部分で荷重してしまい、そこから軟骨の磨耗が始まります。

 

 

だから、日常生活における指導、姿勢の修正、関節の可動性改善、筋活動の修正が変形性膝関節症の疼痛管理に対して有効になるのです。

 

薬物により関節内の炎症(滑膜炎)という化学的な反応をコントロールする。

運動療法や生活指導で、関節面における荷重の集中を分散する[炎症の元を断つ]

 

以上が変形性膝関節症の治療で推奨される内容な訳ですね。(推奨度A)

 

 

変形性膝関節症には保存療法の他にも手術療法もあります。

その手術も様々な種類があります。

 

 

●荷重軸の調整には

荷重軸を固定化せず、関節面上で集中させずに分散させるには、当然ですけど膝関節の調整だけではうまくいきません。

だから、一般的にトレーニングとして指導されやすい大腿四頭筋の筋力トレーニングはあまり効果を示さないでしょう。

 

荷重を分散させるには、足部、股関節、脊柱の可動性が必要になりますし、抗重力姿勢でその可動性をコントロールできることが求められます。

方法は色々とありますが、比較的クライアントの負担が少なく、短時間で行えるアプローチをまとめて学べる機会があります。

 

 

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