精神科作業療法の問題点

近年、精神科作業療法の現場では、統合失調症の患者さんが減り、うつや認知症の方が増えている印象を持っていませんか? 実は感覚的なものではなく、入院病床では認知症の方が増え、外来ではうつや認知症の受診件数が増えています(*1厚労省患者調査)。 この事実を見ると、学校で習った作業療法ができていない、基礎作業学で勉強したことって何だったのだろう? 色々考えてしまいますね。既にお気付きでしょうが、今、精神科作業療法士はマルチな能力を求められる時代になりました。

 

◆ 認知症患者が増加し廃用の一途をたどる精神科OTの現場

 
(*1より引用)

年々、精神科作業療法に参加する入院患者さんが減ってきているな……そう気付いた時点では、手遅れかもしれません。

  • 統合失調症の患者さんが高齢化し、認知症診断が追加される。
  • リスクマネジメント委員会で転倒する患者さんが増えてきた。
  • 入院患者さんのうち、一人、二人と、少しずつ車椅子になっていった。

サインはいくらでもあったはずです。看護師さんの管理的なマインドが強い分、すぐに車椅子使用となり、介助量が増えて介護が必要になってから、「最近トランスファーが大変で困ってるのよ」とようやく作業療法科に相談が来る……これでは遅いです。もっと早い段階で関われる部分はなかったのでしょうか?

 

◆ 精神科作業療法士の苦手が足踏みの原因?

IAIR副会長/作業療法士齋藤信

若手の方たちならまだしも、5年以上精神科作業療法のみを行ってきて、身障系や老健でのバイト経験がない作業療法士さんだと、実習中まで記憶を遡り、思い出すにも時間がかかり、大変だった事が先に来る。でもやらなきゃいけないから、ひとまずネットや過去のテキストを見て対処法を探す。やってはみるけど、何かどこか上手く行かない。結果も出ないし、PTさんのやっているような事をしている自分に疑問を感じ始める。今更身障系のアプローチなんて……と中途半端なまま、なんとなくやめてしまった。実に困った流れが起きてしまいます。

 

◆ 作業療法士個人のせいではない?

精神科作業療法の問題点
(*2より引用)

個人の経験による問題を先に書いてしまいましたが、実際には仕組み上の問題があったからこそ精神科作業療法士さんたちが経験を積む機会を得られなかったのも事実です。2時間枠が長い割に、集団療法で最大25人を同時に一人で見る状況の常態化(*2)。精神科作業療法士は全員聖徳太子並みの状況把握能力が求められますね。経営側からはドル箱のように扱われ、精神科病院の大きな収入源になっていたのも事実。そこにあって、もっと少人数でしたい、という意見はなかなか通らない状況でした。

 

◆ 3つの予防プログラム

事実、僕が以前勤めていた現場でも同じ現象が起きていました。色々試していきましたが、結果として患者さんの介助量介護量の増加に対し十分な歯止めに至りませんでした。ですが予防としてまだ介助を必要としない方たちの転倒、体力低下、認知症の予防としては効果的でした。そんな効果的なプログラムをいくつか紹介しておきます。

1:体操系

どうしても集団療法しか組み込めないなら、全体でできる老化防止体操をするしかない。週3回月、水、土に入れてました。旧精神科作業療法士協会(POTA)で紹介されていたリラクゼーションストレッチなど緩やかなものから、一世を風靡したビリーズブートキャンプなどのリズムワークアウトなどを簡易に改良してセッションを構築。運動習慣をつける入り口として効果的でした。

2:パラレルな場での個人ワークタイム

手工芸系の2時間セッションの中に、エルゴメーターを使っての運動時間の導入をしました。ただでさえ脳内ホルモンのバランスが崩れた方たちです。単調な運動の繰り返しによる脳内ホルモンの調整目的でエルゴメーターを入れる事で、作業効率の低下を防ぐというオマケ付き。ちょっとしたエッセンスとして何キロ走ったかを記録するカードを作り、日本一周を実現した患者さんまでおりました。

3:パラレルな場での個人アプローチ

複数の作業療法士が配置できる広さがあれば可能な方法。OT室の一角に身体アプローチブースを設置し、一人は集団療法、一人は個人への身体アプローチ。1対1でアプローチする時間を20分×6名分できます。個々人にあわせて内容の組み立ては必要になりますが、これならギリギリ行えますね。実は一番このやり方が効果的でした。前後評価などの指標や、どの人にどんなアプローチをしたらいいのかを手に入れるまでに少しだけ時間が欲しいですね。

ザックリとですが、予防目的で導入したものです。まずはどれでもいいので、一度考えてみましょう。最初は失敗する事もあるかと思いますが、患者さんの為の失敗には価値があります。是非トライしてみましょう!

 

◆ 本日のまとめ

色々とお話しましたが、まとめると……

  • 現状把握し、対策は迅速に!
  • 仕組み上仕方ないから脱却する一手を!
  • 3つの予防プログラム!

僕ら作業療法士が関わるのは人の人生です。人生においてより良い選択をしてもらう為にも、身障系、精神科系などの分野にこだわらず、患者さんと関わっていきましょう!

IAIR副会長/作業療法士齋藤信
IAIR副会長/作業療法士 齋藤 信

 

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参考データ

*1.厚労省患者調査:http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000108755_12.pdf
*2.厚労省これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会資料より:http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000125867.pdf

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