触診が上手くなるためのセラピストの準備

療法士にとって触診とは、「筋の触り分け」というのが一般的なイメージだと思います。

起始と停止を確認して、目的の筋へアプローチするためのスキル。

そんなイメージではないでしょうか?

 

まだ若手の頃、全身の筋を触り分ける研修会に、2カ月に1回の頻度で約1年掛けて参加することがありました。

丁寧に一つ一つ触れていく研修だったので、学生の頃に不十分だった解剖のイメージ、覚えきれていない筋、手関節周囲の細かな筋や骨をじっくり学ぶことができました。

PTということもあって上肢は苦手意識があったので、勉強になりました。

 

さて、1年の研修を終えて、患者さんへのリハビリは何が変わったか?

 

実は、良く分からないんです...(笑)

 

確かに触り分けは出来るようになりました。

「これは○○筋だ」

「ここは大分硬くなっているな」

しかし、治療が上手くなったかというと、正直分かりませんでした。

 

その時感じたのは

「触り分けが出来る」≠「治療が上手い」

ということでした。

 

もちろん、セラピストにとってはとても重要なスキルです。

私自身の経験年数が少なかったということもあるでしょう。

しかし、それだけでは足りないのだということを身をもって感じました。

 

その時足りなかったものは何か?

治療の技術でしょうか?経験なんでしょうか?

今日は今すぐできる、触診技術が治療に結びつく考え方について。

 

徒手療法とは?

徒手的なアプローチは、不動で動きが制限されている筋肉や関節周囲の組織を動かし、動作で使われていない筋肉を刺激して働きやすくする、そんな変化を提供することが目的です。

筋肉を触り分けられるということは、目的とする筋肉に到達し、適切に刺激を入れるための大切なスキルです。

しかし、徒手による治療の目的は、触り分けではありません。

 

あくまでも「変化」です。

 

患者さんがリハビリテーションに来る目的は、良くなることです。

私たちの触診は、その変化を提供し、それを自分でも感じ取ることができて初めて、リハビリテーションの目的と合致します。

 

例えば、医師が触診をする目的は病気を見つけることです。

そして、各種検査を用いて病態を把握し、投薬、手術といった治療を行います。

 

療法士は、触診によって異常を見つけたら、それを徒手によってアプローチしなければなりません。

IAIRでは、触診の技術を1日掛けてお伝えするセミナーもあります。

そして、変化を感じるために培うべき技術が必要です。

変化を感じ取れなければ、触診技術は自己満足の領域を出ないかもしれません。

 

セラピストの感受性を高める

変化を感じるために大切なスキルは、筋の起始停止を知っているとか、作用を知っているだけではありません。

自分自身が緊張していない、自然体であるということです。

 

例えば

  • 自分の体に痛いところがあったらどうでしょう?
  • 相手の変化を感じることができるでしょうか?
  • 治療姿勢をとるだけで体が悲鳴を上げているような、硬い体だったらどうでしょう?
  • 昨夜いろいろ考えすぎて眠れず、ボーっとしていたら?
  • パートナーと喧嘩して、ムシャクシャしていたら?
  • 相手の微細な変化を感じることが出来るでしょうか?

 

触診技術が治療に結びつく考え方

前述のとおり、セラピストが自然体でないと変化は感じ取れないということはお分かりになると思います。

今から気を付けるべきことは「自分自身が力が抜けているか?」ということを意識することです。

先ほどの状況になっていれば、変化を感じることは出来ないでしょう。

 

先ずは自分を整えること、これがリハビリをする上でも大切なテクニックです。

テクニックというよりは、ある意味で準備といった方がいいかもしれません。

 

野球選手のイチローは、試合前の準備に対してこう言っています。

「ハイレベルのスピードでプレイするために、ぼくは絶えず体と心の準備はしています。自分にとっていちばん大切なことは、試合前に完璧な準備をすることです」

 

患者さんの治療に入る前、適切な準備が出来ていますか?

 

最後まで読んでいただけて感謝です。

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国際統合リハビリテーション協会

理事 理学療法士 福留良尚

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福留 良尚

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国際統合リハビリテーション協会常任理事 IAIR九州専任講師 理学療法士 コンディショニングサロン仁愛クリニカルルーム代表 3児の父 
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