膝が痛い人の背景を考える【国際事業部 Step.14】

IAIR(国際統合リハビリテーション協会)
国際事業部より

 

ハロー!
IAIR国際事業部 所属の
吉田頌平です。

私のコラムでは、
「海外のリハビリ事情」をテーマに
海外でも療法士として
活躍したいと思っている方、

海外から来られた患者さんとの対応に
困っている方へ
お届けして参ります。

 

【自己紹介】

初めてお会いする方も
いらっしゃると思いますので
簡単に自己紹介をさせていただきます。

私は2012年に
作業療法士免許を取得し、
同年6月にカナダへ留学いたしました。

2012年11月より、
カナダのクリニックへ
1年間勤務したのちに帰国、

その後は急性期〜生活期の方々を対象に
整形外科の病院・クリニックで
働いております。

現在は、
IAIR関東支部で
インストラクターを務める傍で

国際事業部を担当しており、
IAIRの国際化を推進しています。

 

【本日のテーマは?】

今回も、IAIR国際事業部のツイッターから
ほぼ毎日発信している文献の中でニュース
気になったものをピックアップしていきます。

本日のテーマは、
「変形性膝関節症(以下、膝OA)」です。

以前のコラムでも膝OAに関わるテーマでお伝えしましたが、
今回は少し視点を変えて
膝OAが社会的にどのような影響を及ぼすのか?
をお伝えしたいと思います。


【仕事にどのように影響する?】

中等度の変形性膝関節症を持つ
サービス業(61名)、
非サービス業(30名)、工業関連(14名)、政府関連(8名)、農業(4名)
に従事する方を対象としたアンケート調査によると、

一回あたりの物理療法を含むリハビリテーション、
薬物療法、手術などにかかる総平均額は149ユーロかかり、

 

仕事に関して、全体の半数以上が
「仕事をコントロールできていない感じがする」
「実力を出せない」
「もっと仕事が欲しい」
「心理的に不安定」
と感じていたそうです。

また、膝伸展障害が起こった方の場合、
ハムストリングスが短縮し、骨盤が後傾する傾向にあります。
そのため、膝の痛みだけではなく腰の痛みも併発し、
強いストレスを感じながら
仕事に取り組んでいた様子が伺えます。

 

【日常生活中に、膝への負担がかかる場面はあるの?

変形性膝関節症(膝OA)は、
スクワットや正座、立ち上がること、歩行、山登り、荷物の持ち運び、荷物を持ち上げること等と
関連がみられなかったという報告です。

30-70代の女性を、

対象群:780人→263人
コントロール群:4373人→263人
に選り分けたケースコントロールで

振り分け前の対象群では

日常生活中の関連動作のうち、
歩行とスクワットに強い相関を認めていました。

よく教科書などでは、大臀筋の筋力低下があると
踵接地〜荷重応答期にかけて十分に膝が伸展せず
大腿四頭筋による膝の安定力が供給されないため、

ハムストリングスの緊張を高めて
股関節屈曲を代償すると説明されています。

また、スクワット時に骨盤を前傾位で保持できないと
大腿四頭筋の筋活動が発生せず、
大臀筋の力で踏ん張ることが難しくなります。

すると、膝を前に出すようにして、
ハムストリングスの張力で
踏ん張る力を得るように代償するようになります。

個人的には、こうした膝へかかる剪断力の繰り返しが
膝へ負担をかけていると考えていましたが、

統計的には、
膝OA発症とは関連はなかった、ということです。

個人差を考慮する必要はあると思いますが、
必ずしも歩行動作やしゃがみ動作の異常が膝OAにつながるわけではない、
と考える方が自然です。

【広く見渡してみると、リハビリの目的が見えてくる】

患者さんが求める「OAを治す」の意味は、
「痛みを和らげ、もっと働けるようになりたい」
という訴えを表現したものかもしれません。

背景には、
「医療費がかかる上に、有給取ってるから
これ以上、家族や会社に迷惑をかけたくない…」
そんな想いが潜んでいるかもしれません。

私自身も、ついつい目の前の身体状態だけにこだわってしまいがちですが、
1単位20分は、患者さんの人生の一部に関わっていることを自覚しながら
普段の臨床に臨みたいものですね。

広い視点で考え、ひとりの患者さんのことを考える。
すでに英語で表現された情報があるのに、
日本語になっていないだけで敬遠してしまうのは
非常に勿体無いです。

これからの療法士には、英語で情報を得るだけでなく
英語で考える能力が必要となります。

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*参考文献・参考資料

(1) 膝OAを抱える労働者の生産性と医療負担額:
Job Hermans et al.Productivity costs and medical costs among working patients with knee osteoarthritis. Arthritis Care&Research.2012  June.64(6).853–861

(2)日常生活は膝OA発症リスクとなるのか?:

Jaleh Gholami et al.Are daily physical activities risk factors for knee osteoarthritis?.International journal of Rheumatic disease.2016 March.19(3).241–247

 

今後、IAIR国際事業部が発信するコラムでは
海外の療法士や患者さんと
交流できるようになるために

「海外のリハビリ事情」をテーマに
皆様にお届けできればと思います。

リハビリ分野に関わりながら海外へ出てみたい!
と思われている方は、
ぜひ「IAIR国際事業部」をチェックしてください!

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

IAIR国際事業部

吉田頌平

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