睡眠不足が人の体にどんな影響を出すか整理してみましょう。
日中眠くなる
イライラする
病気が長引く
太る
あなたの周りにも「夜に眠れなくて・・・」と睡眠不足を訴えている人はいませんか?
仕事中に「昼夜逆転」傾向というフレーズが出てきたりしませんか?
特に認知症高齢者で多いでしょうか?
睡眠不足の影響や症状、睡眠のメカニズムから、リハビリへの影響と解決策についてまとめました。
睡眠不足とは何時間くらいのこと?
人は睡眠中に、覚醒状態に近い「レム睡眠」と、深い眠りと言われる「ノンレム睡眠」を交互に繰り返しています。
このレム睡眠とノンレム睡眠が交互に現れるサイクルは、約90分に1回現れます。
最初のノンレム睡眠は深く長く現れますが、繰り返すごとに短く浅くなっていき、覚醒を迎えます。
このサイクルを4〜5回繰り返すと、熟睡感のある目覚めが得られると言われています。
たしかに7時間以上眠れた時というのは、気分良く目覚めることができますし、疲れも取れている感じがしますね。
ということは、逆のパターン、つまり6時間くらいだと睡眠不足といえるわけですね。
(年齢によっても違うなど個人差が大きいようです)
睡眠時間6時間というのは睡眠不足の一つの目安になりそうです。
単純に「睡眠時間」で判断せず「熟睡感」や「覚醒後の疲労感」なども合わせて判断すると良さそうです。
では、睡眠時間が不足していた場合、どんな影響が考えられるでしょう??
睡眠不足の影響
ポラール・エレクトロ・ジャパンが行った主要28カ国から得た600万の睡眠データの分析を見てみましょう。
にほ人の平均睡眠時間は
男性:6時間30分
女性:6時間40分
で28カ国中最下位でした。
6時間30分眠っていたら、「眠れている方」かな、と思っていましたけど、海外はもっと眠っているのですね。
「国民が感じる幸福度」とかとも関係がありそうです。。。
日本は世界で見てもダントツに眠れていない状況のようですけど、その影響とは・・・
睡眠不足で肥満
睡眠不足が続くと、自律神経バランスが乱れます。
その結果、ホルモン分泌まで影響を受け「代謝活動」が乱れます。
カロリー消費、食欲コントロールが乱れて、過食につながり、結果的に体重増加につながってしまいます。
もしかしたら、睡眠時間を確保するだけでもダイエット効果があるかもしれませんね。
運動や食事制限を頑張るよりも、「睡眠時間が確保できない」生活の見直しが効果的です。
実際、肥満の人の生活リズムというのは乱れまくっていることをよく聞きます。
睡眠不足で生活習慣病
本来の睡眠中は体を休める副交感神経優位状態となっています。
しかし、睡眠時間が不足していると、1日の中で相対的に交感神経優位状態が長くなります。
それはつまり、コルチゾールなどのホルモンが分泌される時間が長くなることを指します。
その結果、血管が収縮したり(高血圧や心疾患や脳疾患)、血糖値が上がったり(糖尿病)することにつながります。
睡眠時間が確保できなくて自律神経バランスが乱れることで、生活習慣病のリスクも高めてしまうのですね。。。
薬飲むだけでなく、睡眠時間を増やす努力が、当事者には求められますね。
同時に、睡眠時間に配慮した生活指導が医療者側に求められます。
睡眠不足と感染症のリスク
睡眠不足が続いた結果、自律神経バランスが乱れると、白血球の数など免疫システムにも異常を来たします。
「ちょっと忙しくて、睡眠時間を削って仕事していたら、風邪をひいてしまった」という経験はされたことがあるのではないでしょうか?
風邪で済むならまだいいですか、インフルエンザなどの感染力の高い疾患を医療施設や介護施設で流行させるととんでもないことになります。
医療者、介護者、教育関係、サービス関係、およそ人と関わる仕事をしている人は、努めて睡眠時間を確保する努力をした方がいいです。
それが一番の予防です。
睡眠時間を増やそう
他にも、気分の浮き沈みや頭痛などのちょっとした体調不良も、睡眠不足を原因とした自律神経バランス、ホルモン分泌の乱れから説明できます。
直接の病気の原因となるというよりは、病気の引き金となる状態に陥ってしまう原因として睡眠不足はあげられるのですね。
睡眠時間を使って情報整理


私たちは、日中に大量の情報を受け取ります。
その情報の全てを覚えていられるでしょうか?
無理ですよね。
覚えていられたらすごいことです。
むしろなんでも覚えていて、忘れることがなかったら、苦しい人生を迎えることになると私は思います。
忘れてしまいたい体験をいくつもしています、私。
忘れることができなかったとしたら、、、ゾッとします。
睡眠時間で脳が行っているすごいこと
人は適宜、情報の取捨選択をすることで脳内をクリアに保っているようです。
睡眠中に脳は情報の編集作業を行なっていると言われています。
日中の膨大な情報に対して、必要な情報は記憶に残し、重要でないと判断した記憶は片付ける。
パソコンで例えていうなら、よく使うファイルはデスクトップ上に残し、あまり使わないファイルは外付けHDDに保存する、という感じですね。
そして本当にいらないファイルは表面上、探せない状態にしてしまいます。
つまり、シナプスのネットワークを遮断するというのです。(synaptic homeostasis hypothesis )
仮にこの睡眠が妨害されたり、なんらかの理由で睡眠不足に陥ると、「望まない情報の強化」につながることになることがあります。
手順や感情の記憶が間違って書き換えられたり、記憶に残らないまま削除されたりというのが、睡眠不足の結果として起きてしまうのです。
睡眠不足、恐ろしいですね。。。
まだありますよ、睡眠不足の怖さ。
睡眠不足は日中の活動低下につながる
ご存知のように十分な睡眠は「日中の活動」にとって、とても大切です。
睡眠不足は日中の微小睡眠を誘発します。
目が覚めているのに数秒間意識がシャットダウンするようなことにもつながります。
車の運転中や、何かしらの機械の捜査中、人への施術中にそうなったとしたら、これが大変危険なことであるというのはわかっていただけると思います。
と、いいましても、睡眠不足の脳内への影響が完全に明らかになったかというと、まだこれからという段階なので今後も研究を見ていこうと思います。
関連記事:The sleep-deprived human brain How lack of sleep affects the brain
睡眠を質の良いものにしていくには、多くの方法があると言われます。
病院や施設ではよく睡眠導入剤が出てきますが・・・
睡眠不足の改善のために
大切なのは自律神経の調節になります。
温度や食事や環境などからホルモン分泌を整えていく方法がおすすめです。
私自身も術後の患者として入院中に経験がありますが、「同室者のいびきで眠れない」という場合にどうするか?
これは結構重要な問題であることを、まず医療者は認識しましょう。
いびきをかいている人も良質な睡眠は行えていません。
そのいびきを聞いている人も睡眠不足になってしまいます。
夜間の管理をすることで、日中の活動に結びつけることが可能です。
入院している場合は部屋移動を検討してもらう形になるでしょうか。。。
眠剤だせばいいってもんじゃないと思うんですよ。。。
睡眠を管理するアプリなどで対策を試みる
睡眠中の体の動きを計測して、最適な目覚めをサポートするアプリなどがあります。
医療機関や介護施設などでも、利用者の体動をモニターして夜間の徘徊や危険行動の防止につなげたりしていくことでしょう。
個人の睡眠パターンが把握できてくると、夜勤スタッフのストレスマネジメントにもつながりそうですよね。
夜勤スタッフはそうでなくても睡眠のリズムを壊しているので、ストレス状態です。
少しでもスタッフの負担軽減につながるようになってほしいです。
睡眠不足への対処法
一般的には、睡眠への導入には「温度、光、音」が関係すると言われます。
それぞれの刺激をその人にとって快適なレベルにすることで入眠を手伝うことが可能です。
自律神経の働きへの関与という意味では、やはり「運動」と「食事」が挙げられます。
軽いストレッチを行ったり、カフェインを控えたり、食事時間の配慮も大切ですね。
あとは、リラックスした会話とか音楽も有効です。
睡眠不足で行うリハビリに効果はない?
病気や怪我からの回復に向けて、リハビリは重要です。
睡眠不足の状態に陥ると、リハビリを行う上でどんなことに困るでしょうか?
それを知るには「睡眠中に何が起きているか?」を知ることが大切です。
リハビリを進めていく上で、「学習」は重要な役割を担います。
・起き上がる、立ち上がるといった方法を学習する
・運動時のリスクを学習する
・病棟や居室での決まりを学習する
・痛みの出る動作、出ない動作について学習する
といった具合に。
その学習において「記憶」は注意を払わないといけない機能です。
「方法、リスク、決まりなど」を「覚えていない」としたらリハビリはうまく進みません。
仮に痛みが出ない動作方法を伝えたとしても、覚えていられなかったとしたら、痛みが出てしまうやり方を続けることになり、組織の回復は得られにくくなってしまいます。
だから、記憶については注意深くみておかないといけません。
リハビリとして行うのなら、頭蓋へのアプローチなどで自律神経バランスを整えるのも睡眠不足にへの対処法としていいと思います。
私は頭蓋へアプローチしている時に何度も相手の「熟睡」を経験しました。
ほとんどの場合、「睡眠不足を自覚」している人たちでした。
頭蓋へのアプローチでは、血液循環にフォーカスします。
施行後「スッキリした」と言われることが多いのですが、この「スッキリした」は眠れた後の起床時と同じですね。
頭蓋へのアプローチを行なったことで
・患者さんの覚醒状態が改善した
・夜間の不穏がなくなった
という睡眠状態への効果を導いた療法士が、私以外にもたくさんいます。
睡眠不足は日中の活動性や判断力を低下させてしまいます。
さらに学習機能(記憶)の妨げになるとも言われているので、「眠れない」という言葉を患者さんから聞いたら要注意です。
頭蓋へのアプローチはリハビリの時間以外の体調管理を目指している人には、ぜひ習得してほしい技術です。
詳しくはこちら
↓
もちろん、療法士自身が睡眠不足だともっと問題ですね・・・
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